製品安全

事故情報特記ニュースNo.19

1998.3.6

いわゆる「省エネ五徳」による一酸化炭素中毒事故に係る注意喚起について

通商産業省は、製品評価技術センターが実施した事故情報処理テストの結果を受けて、事故再発防止を図るため、平成10年3月6日にいわゆる「省エネ五徳」による一酸化炭素中毒事故に係る注意喚起について、以下のような内容を公表しました。

1.概要

平成9年12月16日、沖縄県那覇市において、いわゆる「省エネ五徳」を取り付けて調理中、一酸化炭素(以下、「CO」という。)中毒による死亡事故が発生した。また、その後平成10年2月3日、昨年6月16日に北海道札幌市で発生したCO中毒による死亡事故の原因も「省エネ五徳」の可能性有りとの情報が当省に寄せられた。

いわゆる「省エネ五徳」は鋳物製のすり鉢状の五徳であり、ガスこんろに付属している五徳を取り外して代わりに取り付けて使用するものであり、「ガス代30%お徳」及び「経済的で省エネ抜群」等と表示され一個当たり約1,000円程度で販売されている。 (別図参照)  当該製品の販売元は、それぞれモンパル株式会社とサンムーン株式会社と推定されており、両社から販売されている製品を入手し、当省製品評価技術センターが事故情報処理テストを実施した。その結果、当該「省エネ五徳」を使用し調理した場合、燃焼のための空気が不足し不完全燃焼が起き、基準値(理論乾燥燃焼ガス中のCO%(体積%):0.14%以下)を大幅に超えるCOガスが発生することが確認された。

また、省エネ効果について熱効率試験を行い、「省エネ五徳」を使用した場合とこんろに付属している五徳を使用した場合とを比較したが、有意な差は認められなかった。  現在のガスこんろの使用環境を考察すると、住宅の気密性が高まっていること、ガスこんろのハイカロリー化が進められていること等から、いわゆる「省エネ五徳」を使用した場合、CO濃度の上昇が起こり、CO中毒、最悪の場合死亡事故が発生する可能性があると判断される。

当省で把握している限りでは、モンパル株式会社及びサンムーン株式会社以外でも、ほぼ同様な形状・寸法の類似製品が販売されている。その数量は全国で累計約900,000個以上が販売・配布されており、現在も一般消費者に使用されている可能性が高いと思われる。

当省としては、事故の未然・再発防止を図るため、これらのいわゆる「省エネ五徳」を使用している者に対し、直ちに使用を中止する必要がある旨の注意喚起を行うこととした。

(対象製品)
製品名 ガスこんろ用五徳
商品名及び型式 省エネ五徳 省エネ五徳
販売事業者 モンパル株式会社
大阪市東淀川区小松3-7-17
TEL06-324-8775
サンムーン株式会社
大阪市東淀川区小松3-20-59
TEL06-328-6331
販売期間 平成2年~平成9年末 昭和57年6月~平成10年1月
販売個数 159,500個 約750,000個
CO中毒事故件数 1件 1件
商品名及び型式 ナイス五徳 省エネ五徳
販売事業者 株式会社ビックスワロー
新潟県燕市桜町227-4
TEL0256-63-9708
青木工業株式会社(倒産と推定)
岐阜県岐阜市鏡島2423-5
不通
販売期間 平成4年~平成6年 不明
販売個数 18,400個 不明
CO中毒事故件数 なし なし
  1. (注)現在通商産業省で把握している製品であり、それ以外に販売されている可能性がある。

(当該製品の問題点)
テストの結果、現在市販されているガスこんろにおいて、ガスの種類、なべの種類 及び火力の違い(ただし、とろ火は除く。)に関係なく、「省エネ五徳」等を使用し た場合にだけ、燃焼排ガスから0.14% (体積%)を大幅に超える多量のCOガスの発 生が確認された。〔市販されているガスこんろは、付属の五徳を使用することを前 提に理論乾燥燃焼ガス中のCO濃度が0.14%(体積%)以下に設定されている。〕
模擬の部屋(6畳を想定)を用いて再現試験を行った結果、換気率0.5(2時間で 部屋の空気が入れ替わる状態。)の状態で使用した場合、約2時間後に部屋のCO濃 度が約1,400~1,600ppmとなった。〔CO濃度1,500ppm:30分~1時間の吸入で、生 命の危険のおそれがある濃度。〕
また、当該製品を使用した場合と、こんろに付属している五徳を使用した場合の熱 効率に有意な差はなかった。
したがって、当該製品は、広告内容ほどの省エネ効果はなく、燃焼のための空気の 供給を妨げる構造のため不完全燃焼を起こし、高濃度のCOを発生させる製品といえ る。

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2.当該「省エネ五徳」の使用に関する事故の概要

  1. 1 平成9年 6月16日 北海道札幌市において、大きななべで煮物をしていた男性がCO中毒により死亡した事故が発生。
    換気の状況については、台所横の小さな窓が少し開いていたが、換気扇は使用されていなかった。
    (情報提供者:札幌市消防局 情報提供日:平成10年2月3日)
  2. 2 平成9年12月16日 沖縄県那覇市で鉄筋作りのアパートにおいて、同居する姉弟2名が、台所床面に倒れて死亡しているのが発見された。
    換気の状況については、自然排気式の排気ダクトはあるものの、換気扇は取り付けられていなかった。
    (情報提供者:沖縄県 情報提供日:平成9年12月22日)

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3.注意喚起事項

これまで当省に寄せられた事故情報及び事故情報処理テストの結果を勘案すれば、いわゆる「省エネ五徳」を使用した場合、燃焼排ガスから多量のCOガスが発生すること、住宅の気密性か高まっていること、ガスこんろのハイカロリー化が進められていること等から、室内のCO濃度が高まり、生命に危険な状態になる可能性がある。このため、事故の未然・再発防止を図る観点から、いわゆる「省エネ五徳」の使用者は、直ちに使用を中止する必要がある。

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4.留意事項

  1. (1)「省エネ五徳」等を使用した場合と、ガスこんろに付属している五徳を使用した場合を比較しても、省エネ効果に有意な差はないと思われる。
  2. (2)ガス燃焼器具を使用する際は、十分な換気を図ること、また、燃焼不良を起こしそうな市販の補助具は使用しないように留意する必要がある。

別図

省エネ五徳の形状図

省エネ五徳の各部の寸法

お問い合わせ

独立行政法人製品評価技術基盤機構 製品安全センター  リスク評価広報課
TEL:06-6612-2066  FAX:06-6612-1617
住所:〒559-0034 大阪市住之江区南港北1-22-16 地図