製品安全

事故情報特記ニュースNo.27

2000.4.13

「レーザポインター」の試買テスト結果について

通商産業省は、平成10年度に発生したレーザポインターに係る事故の情報に基づいて、その危険性に関して注意喚起を行ってきました(平成10年11月2日付、事故情報特記ニュースNo.24参照)。その際、次年度以降、当該製品の市場流通品について、実態を調査するための試買テストを予定している旨伝えていました。 この度、「レーザポインター」の品質・安全性等に関する商品テストが終了しましたので、その結果の概要について、事故の再発防止に資する観点から情報提供することとしました。

1 テスト商品について

レーザポインターは本来OHP等の使用時における指示器として使われるものであるが、ペンやキーホルダー型にしたものもある。
レーザ光は、エネルギー密度が高く、光の強さによっては目や皮膚に傷害を及ぼす危険性がある。レーザ光が目に入ると、角膜、水晶体で集光されて眼底に届くため、傷害が起きやすい。このため、特に安全性についての実態調査を行った。

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2 テスト対象商品

レーザ製品の安全性については、JIS C 6802「レーザ製品の安全基準」があり、危険度によってクラス1、2、3A、3B及び4の5段階に分けられている。なお、クラスの数値が大きいほど危険度は高く、表1ー1のように説明されている。また、諸外国にも「レーザ製品の安全基準」が定められているところがあり、米国の例を示すと表1-2のとおりである。

表1-1 レーザ光の危険度(JIS)
クラス1 合理的に予知可能な運転条件で安全である。
クラス2 400nm~700nmの波長範囲で可視放射を放出する。目の保護は、通常まばたき反射作用を含む嫌悪反応によってなされる。
クラス3A 裸眼での観察に対して安全である。400nm~700nmの波長範囲で放出するレーザに対して、保護はまばたき反射作用を含む嫌悪反応によってなされる。他の波長に対しては、裸眼に対する危険性はクラス1よりも大きくはない。光学的手段(顕微鏡等)による直接のビーム内観察状態(直接ビームまたは鏡面反射光を観察する状態)は危険。
クラス3B 直接のビーム内観察状態は、常に危険なものである。
拡散反射の観察は、通常安全である。
クラス4 危険な拡散反射を生じる能力を持つ。それらは皮膚障害を起こし、また火災発生の危険がある。これらの使用には細心の注意が必要である。
表1-2 レーザ光の危険度(FDA)
クラスⅠ 危険でないもの
クラスⅡa 1×10 秒より短いか等しい時間で観察するときは危険でないが、1×10 秒より長い時間での慢性な観察では危険なもの
クラスⅡ 長時間の観察は危険なもの
クラスⅢa 放射照度いかんによっては、激しいビーム内観察又は長時間の観察はいずれも危険になるもの。またもし直接光学機器で観察するときは、激しい観察は危険になるもの。
クラスⅢb 直接放射を当てると、皮膚及び眼に対しては重大な危険となるもの。
クラスⅣ 直接放射及び分散された放射も、皮膚及び眼に対して危険となるもの。
表2 テスト対象商品一覧
試料
電圧[V]
(使用電池)
安全
表示等
クラス*4
表示
購入価格
(円)
原産国 購入
時期
1 4.5
(LR44×3個)
CE*1
FDA*2
クラスⅢA 3,580 記載なし

10

11
2 4.5
(LR41×3個)
CE  GS*3
FDA
クラスⅢA 2,980 記載なし
3 4.5
(LR44×3個)
CE
FDA
クラスⅢA 5,480 記載なし
4 3.0
(単5×2個)
なし クラス2 8,800 ベトナム
5 4.5
(LR44×3個)
なし クラスⅢA 3,980 記載なし
6 6.0
(LR44×4個)
なし クラスⅢa 4,450 中国
7 6.0
(LR41×4個)
CE  GS
EMC
クラスⅢA 3,280 台湾
8 1.5
(単4×1個)
CE  GS
FDA
クラスⅢA 2,980 記載なし
9 4.5
(LR44×3個)
CE  GS
FDA EMC
クラスⅢA 2,980 台湾
10 4.5
(LR44×3個)
CE
FDA
クラスⅢA 3,950 記載なし
11 3.0
(単4×2個)
CE  GS
FDA
クラスⅢA 3,250 記載なし
12 3.0
(単4×2個)
FDA クラスⅢA 4,180 中国
13 3.0
(CR2×1個)
CE
FDA
クラスⅢA 9,800 台湾
14 4.5
(LR44×3個) 
なし クラスⅢA 4,500 台湾
*1 CE  :
EUのCEマーキング制度における電磁適合性表示。
*2 FDA :
米国食品医薬品局の適合性表示。
*3 GS  :
ドイツの製品安全表示。
*4クラス表示:
試料№1~3、5~14は、FDA基準におけるクラス表示有り。試料№4は、JIS基準におけるクラス表示あり。

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3 テスト項目、方法及び結果

3.1スイッチの構造

全試料とも、操作は容易でスイッチを押しているときにレーザ光が照射され、スイッチから指を離せば照射が止まる構造であった。

3.2 レーザ放射の評価

JISを適用し、(1)波長、(2)放射パワー、(3)放射照度の測定を行い、レーザ放射のクラス分けを行った。

表3 レーザ放射測定結果及びクラス分け
試料№
波長
[nm]
放射パワー(P)[mW] 放射照度(E)
[W/m]
結果
(JIS)
表示
(表2再掲)
1 656 4.99 131 クラス3B クラスⅢA
2 649 4.26 121 クラス3B クラスⅢA
3 654 0.870 23.2 クラス2 クラスⅢA
4 637 0.914 23.3 クラス2 クラス2
5 650 3.99 108 クラス3B クラスⅢA
6 676 3.06 82.5 クラス3B クラスⅢa
7 655 3.98 108 クラス3B クラスⅢA
8 676 2.78 76.7 クラス3B クラスⅢA
9 658 1.64 53.7 クラス3B クラスⅢA
10 654 3.82 104 クラス3B クラスⅢA
11 648 5.19 138 クラス3B クラスⅢA
12 654 1.75 48.7 クラス3B クラスⅢA
13 635 4.79 129 クラス3B クラスⅢA
14 656 4.73 127 クラス3B クラスⅢA

3.3 放射パワーの減衰

試料からの距離が1m、10m、20m、30mのときの放射パワーを測定した結果、30m離れていても放射パワーが1mW(クラス2の基準値)のパワーを超える試料があった。

3.4 反射光の測定

レーザ光の鏡による反射率は、どの角度においても65~93%と高かった。

3.5 指示器としての実用性

指示器としての実使用テストの結果、クラス2とクラス3Bに特に指示器としての違いは認められず、クラス2の製品であっても使用上の支障はなかった。

3.6 警告ラベル及び取扱説明書

  1. (1) 警告ラベル
    8試料に日本語による警告ラベルが付いていたが、そのうち6試料は本体に貼付されておらず、購入者自身が同封されている警告ラベルを本体に貼る必要があると思われた。残りの6試料には、英語による警告ラベルが付いていた。警告ラベルは、FDA及びJIS基準に基づいた様式又はそれに準じたものであり、注意事項、波長、出力、クラスが表示されていた。
  2. (2) 取扱説明書の注意事項
    11試料に日本語、3試料には英語による取扱上の注意事項が記載されていた。

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4 まとめ

  1. (1) レーザ光の危険性について
     JISによりレーザ光のクラス分けを行ったところ、14試料中、12試料がクラス3B、2試料がクラス2の製品であった。JISの指針によると、クラス3Bの製品は、直接ビームが目にはいった場合に網膜に傷害を及ぼす危険性がある。
    また、テスト商品にはJISに基づく表示とFDAに基づく表示が混在しており、消費者に正しい情報を与える必要がある(レーザ光の危険性は表1参照)。
  2. (2) 警告ラベル及び取扱説明書について
    一般消費者には、レーザ光の危険性についての認識があまりないと考えられることから、事故を防止するために、必ず日本語の警告ラベル及び取扱説明書を添付し、注意事項をできる限り具体的に記載する必要があると考えられる。
  3. (3) 照射スイッチの構造
    全試料とも、スイッチを押しているときにレーザ光が照射され、スイッチから指を離せば照射が止まるようになっていたが、このようなスイッチでは、子供でも容易に照射できることから、子供に触れさせない注意が必要と考えられる。

お問い合わせ

独立行政法人製品評価技術基盤機構 製品安全センター  リスク評価広報課
TEL:06-6612-2066  FAX:06-6612-1617
住所:〒559-0034 大阪市住之江区南港北1-22-16 地図