製品安全

事故情報特記ニュースNo.33

2001.1.17

「積層強化ガラス製食器」の商品テスト結果について

経済産業省は、事故の情報に基づいて、原因究明等のための事故情報処理テストを実施しています。

この度、「積層強化ガラス製食器」の品質・安全性等に関する商品テストが終了しましたので、その結果の概要について、事故の再発防止に資する観点から情報提供することとしました。

1. テスト対象商品

テスト対象商品は、事故品と同等のもので当該小学校で45回使用されたもの(以下、「事故同等品」という。)及び同一仕様の新品(以下、「同等品」という。)のものとし、他に比較品として、別メーカーの風冷強化ガラス製食器、強化磁器製食器、一般的な磁器製食器を用いる。

テスト対象商品の仕様を表1に示す。

表1 テスト対象商品の仕様
試料 種類 外径
(mm)
長さ
(mm)
重量
(g)
備考
事故同等品
同等品
強化ガラス ボール 126 60 166 積層強化、耐熱性
比較品 強化ガラス ボール 121 52 167 風冷強化
強化磁器 飯椀 135 65 211 アルミナ系
磁器 深皿 142 35 162  
積層強化:
熱膨張係数の異なる2種類のガラスを溶融状態で接着させて冷やすことにより表層に圧縮応力層を作り、破壊強度を強くする方法
風冷強化:
ガラスを軟化点に近い高温に加熱した後に急冷し、表層に圧縮応力層を作り、破壊強度を強くする方法

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2. 落下試験 Ⅰ(事故同等品)

事故同等品が落下した場合、破壊するか調べるため、表2に示す条件で各10枚ずつ自然落下させ、破壊した場合の飛散状況を確認する。

表2 落下条件Ⅰ
Pタイル*1
落下高さ 70cm*2
衝突部 フチ、底
  • *1:Pタイルの床は、厚さ2mmで30cm角のPタイルをコンクリートの上に貼り、学校の床を再現 した。
  • *2:70cmは身長120cmの子供(7歳児)の肘の高さ
  • (日本人の人体計測データ「社団法人人間生活工学研究センター発行」参照)

テストの結果は表3のとおりで、以下のことが確認された。

  1. (1)フチから落下させた場合は10枚中3枚が破壊したが、底から落下させた場合は破壊しなかった。
  2. (2)破壊時の破片の飛散状況は、細かく破壊した破片が勢いよく周囲に飛散した。
  3. (3)針状の微細な破片や鋭利な薄片が無数に存在した。
表3 再現試験の結果
衝突部 破壊の有無 破壊時の飛散状況
フチ 3枚破壊 最も高く飛散した場合、細片が最高200cm以上の高さに勢いよく跳ね上がり、落下地点から半径約300cmの範囲に飛散した。
破壊せず

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3. 落下試験 Ⅱ(同等品及び比較品)

同等品と比較品の落下強度を比較するため、表4に示す条件で各試料の未使用品を5枚ずつ自然落下し、破壊するか確認する。

表4 落下条件Ⅱ
コンクリート*3、Pタイル*1、フローリング*4
落下高さ 110cm*5、70cm*2
衝突部 フチ、底
  • *3:コンクリート床は側溝の蓋を使用した
  • *4:フローリングの床は厚さ12mmの木製床材(合板)を数本の角材で固定したもので落下地点は角材の上とする
  • *5:110cmは身長170cmの大人の肘の高さ

テストの結果、以下のことが確認できた。

  1. (1)同等品及び比較品の風冷強化ガラスは、コンクリートでは破壊することもあったが、Pタイルやフローリングでは破壊せず、強化磁器や磁器よりも落下強度が高かった。
  2. (2)2.(1)の結果から、事故同等品はPタイルで破壊するものもあったが、同等品では破壊しなかった。
  3. (3)比較品の強化磁器及び磁器はフチから落下した場合に破壊しやすいが、底からの落下には比較的強かった。

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4. 落下試験 Ⅲ(飛散状況)

同等品と比較品の破片の飛散状況を比較するため、各試料の未使用品を3枚ずつ表5に示す条件で自然落下し、破壊させ、飛散状況を確認する。

ただし、同等品及び比較品の強化ガラスはPタイルで割れないため、表裏全面に研磨紙(180番)で傷を付けてから試験を行う。

表5 落下条件Ⅲ
Pタイル*1
落下高さ 110cm*5、70cm*2
衝突部  フチ、底  

テストの結果は、表6及び表7に示すとおりで、以下のことが確認できた。

  1. (1)最高飛散高さ
    1. a.同等品の最高飛散高さは、フチから落下させた場合、200cm以上であり、底から落下させた場合、落下高さ70cmで120cm、落下高さ110cmで165cmであった。
      フチから落下させた場合、食器の傾き方で破片が斜め方向に偏る場合もあった。
    2. b.比較品の風冷強化ガラスについても破片は細片となって飛散するが、同等品よりも飛散する破片の数は少なく、最高飛散高さも約110cmであった。
    3. c.強化磁器及び磁器は大きな破片に破壊し、飛散高さは30cm~50cmであったが、落下高さ110cmでは、斜め方向に数個の破片が約80cmの高さまで飛散することがあった。
  2. (2)飛散範囲
    飛散した破片の広がり方は、表6に示すように楕円形や円形に大別することができ、同等品及び比較品の風冷強化ガラスは半径200~300cmの範囲に多数の破片となって飛散するのに対し、強化磁器及び磁器は半径100~250cmの範囲に少数の破片が飛散するだけであった。
  3. (3)破片の形状の違い
    同等品及び比較品の風冷強化ガラスの破片は、強化磁器及び磁器に比べて破片が細かいだけでなく、細片以外に針状の微細な破片や鋭利な破片が無数に存在した。
    また、同等品は、フチから落下して破壊した場合、フチの部分も細片になってしまう傾向があったが、底から落下して破壊した場合は、フチの部分が大きな破片となって残る。
    事故品の破片には、フチの部分の大きな破片が残っていないことから、フチから落ちて破壊したものと考えられる。
  4. (4)落下高さの違い
    どの試料も落下高さが高い方が高く飛散する破片数が多く、遠く飛散する破片数も多い傾向が見られた。
表6 飛散範囲のパターン
試 料 円形に飛散する場合 楕円形に飛散する場合
同等品 積層
強化ガラス
比較品 風冷
強化ガラス
強化磁器
磁器
表7 落下破壊による飛散状況
試料


飛散の様子 最高飛散高さ 最大飛散範囲
落下高さ
110cm
落下高さ
70cm
落下高さ
110cm
落下高さ
70cm
同等品 積層
強化



フチ 多くの細片が勢いよく垂直方向に飛散する。ただし、食器の傾き方によって斜め方向に飛散する。 200cm
以上
200cm
以上
300cm 250cm
  多くの細片が放射状に飛散する。 165cm 120cm 280cm 250cm



風冷
強化



フチ   多くの細片が、斜め方向に高く飛散するが、同等品よりも破片の数は少数である。 115cm 110cm 280cm 190cm
  多くの細片が放射状に飛散するが、破片の数は同等品よりも少ない。 70cm 65cm 170cm 170cm
強化磁器 フチ   大きな破片に破壊し、あまり飛散しないが、落下高さが110cmでは少数の細片が飛散する。 85cm 30cm 250cm 150cm
破壊せず  -  -  -  -
磁器 フチ   大きな破片に破壊し、あまり飛散しない。 50cm 45cm 180cm 100cm
  大きな破片に破壊し、落下高さが110cmでは斜め方向にやや高く飛散するが、70cmでは飛散しない。 85cm 35cm 200cm 180cm
  • 飛散の様子にある図は3枚割ったうち、最も高く飛散したときのイメージ図である。
  • 最高飛散高さは3枚割ったうち、最も高く飛んだ破片の高さであり、最大飛散範囲は  落下地点から最も遠く飛んだ破片の距離を示す。

お問い合わせ

独立行政法人製品評価技術基盤機構 製品安全センター  リスク評価広報課
TEL:06-6612-2066  FAX:06-6612-1617
住所:〒559-0034 大阪市住之江区南港北1-22-16 地図