製品安全

年度報告書(平成10年度)

平成11年 7月 1日
通商産業省産業政策局製品安全課
通商産業省製品評価技術センター

1.事故情報収集制度について

本制度は、消費生活用製品の欠陥等によって人的被害が発生した事故、人的被害が発生する可能性がある物的事故及びこれらの事故を生ずる可能性の高い製品の欠陥に関して情報を収集するとともに、その内容の調査、検討及び公表を行うことを通じて消費生活用製品の安全対策のために必要な施策の充実並びに事故の未然防止及び再発防止に資することを目的として、昭和49年10月に発足した制度であり、事故防止及び被害者救済のための総合製品安全対策の一翼を担っている。

具体的には、通商産業省所掌の消費生活用製品を対象に、消費者団体、地方自治体(都道府県、市町村等)、消費生活センター、製造事業者及び流通業界、製品安全協会、一般消費者等の協力を得て、製品事故に関する情報収集を行っているものである。また、平成6年8月から「フリーダイヤルファクシミリ(0120-232529:ツウサンジコツイキュウ)」を製品評価技術センター(以下、評価センターという。)に設置し、一般消費者等からの事故情報の収集を強化したところである。

収集した事故情報は、評価センターで内容を整理・分析し、また事故原因の解明のためのテストが必要と判断したものについては評価センターにおいて事故情報処理テストを実施し、通商産業省は、その結果に基づき、製造事業者等に対し再発防止策を講ずるよう指導する等、所要の行政上の措置を行っている。

また、これらの事故情報については、その動向を分析・整理の上、評価センター内に設置されている学識経験者、消費者団体、検査団体等で構成される事故動向等解析専門委員会(平成6年度より開催)における検討を経て、定期的に情報提供を行っているものである。

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2.情報提供内容等の見直し

(1) 事業者名、銘柄及び型式に係る情報の追加的提供

平成8年度分から、消費者の生命又は身体に係わる事故の防止に一層遺漏無きを期する観点から、事故の原因が製品に起因する事例について、当該製品を特定できる情報(当該製品の製造事業者名、銘柄及び型式)を提供し、消費者の注意喚起を図ることとした。

なお、その中には、情報提供時点の販売分については既に再発防止措置を講じたものも含まれること、また、情報提供が事業者の法的責任を予断するものではないことに留意されたい。

具体的には、事故の原因が製品に起因すると認められる下記の場合について、当該製品に係る事業者名等に係る情報提供を行っている。

  1. 1 製造、販売時点から製品自体に問題のあるもの
    A:
    専ら設計上、製造上又は表示等に問題があったと考えられるもの
    B:
    製品に問題があり、使い方も事故発生に影響したと考えられるもの
  2. 2 製造・販売時には製品に問題はないが、製造後長期間経過したり、長期間の使用により性能が劣化したものと考えられるもの

(2) より機動的な情報提供の実施

平成9年度分から、

  1. 1 事故の原因等の調査を終了し、所要の手続きを終えたものについては、年1回の本報告書による情報提供に加え、消費者行政ニュース(消費経済課において四半期毎に発行している)を活用し第1四半期から第3四半期分について情報提供を行った。
  2. 2 ただし、重大事故(死亡又は重度障害に結びつき得るもの)については、1 にかかわらず上記の基準に該当することが確認された後、可及的速やかな公表による情報提供を行っている。(別紙「事故情報収集制度実施要領に基づく最近の公表実績」参照)

なお、平成10年度第4四半期(1~3月)の事故情報通知件数は計438件(10年度累計1,204件)で、5月末までに調査が終了し、その後所要の手続きを終えた案件は382件(10年度累計782件)あり、調査中のもの263件を含めた平成10年度分を本報告書で情報提供することとした。

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3.平成10年度事故情報の収集結果について

(1) 概況

事故情報収集制度に基づく平成10年度の事故情報総通知件数は、「1,204件」であった。このうち「交通事故」等の本制度の趣旨になじまないもの及び重複情報の159件を差し引いた残りの「1,045件」が実質的な事故情報収集件数となった。

この収集件数は、前年度より約8%の減であり、商品分類別では、燃焼器具、家庭用電気製品、乗物・乗物用品の順となり、9年度同様、燃焼器具の比率が増加した。

(2) 事故情報通知者の状況

事故情報総通知件数1,204件の情報通知者の状況は、図-1のとおりである。

図-1 事故通知者の状況

図-1より、事故情報通知者の内訳は、「製品安全協会」(56.0%)からの情報通知が最も多く、「消費生活センター」(21.2%)と合わせて全体の約77%を占めた。次いで、「製品評価技術センター」(11.5%)、「製造事業者等」(4.1%)、「地方自治体」(3.6%)、「通産省消費者相談室」(1.8%)、「消費者(個人)」(0.8%)、「その他」(1.0%)の順になっている。

このうち、製品安全協会については、通商産業省が事故情報収集の強化の一環として、同協会に委託し平成7年から全国47都道府県に配置している事故情報モニターからの事故情報収集を積極的に展開しているが、製品安全協会からの情報通知件数については、前年度(727件)に比べて減少(674件)した。事故の情報が前年度に比べ減少していることについては、事故の減少が必ずしも事故全体の減少傾向を示すものではないことに留意する必要がある。

また、フリーダイヤルファクシミリを利用した事故等の通知件数は、前年度の89件に対して51件であった。

(3) 商品分類別の事故通知件数(表1参照)

商品分類別にみた事故通知件数及び割合は、図-2のとおりである。

図-2 商品分類別の事故通知件数及び割合

図-2より、商品分類別にみると、通知件数の多い商品は、「燃焼器具」(32.9%)及び「家庭用電気製品」(30.3%)で、合わせて全体の63%を占めている。次いで、「乗物・乗物用品」(16.6%)、「身のまわり品」(5.7%)、「レジャー用品」(3.7%)、「家具・住宅用品」(2.7%)、「保健衛生用品」(2.4%)、「台所・食卓用品」(1.9%)、「乳幼児用品」(1.1%)、「繊維製品」(0.8%)等となっている。

(4) 被害の状況(表2参照)

製品事故は、被害状況より大別して「人的被害の発生した事故」と「人的被害の発生しなかった事故」に分類される。

人的被害の発生した事故は、「死亡事故」、「重傷事故」、「軽傷事故」に分類され、一方、人的被害の発生しなかった事故は、「拡大被害」(他の製品に被害が拡大したもの)、「製品破損」(製品破損のみにとどまったもの)、「特に被害なし」に分類される。

被害の状況は、図-3のとおりである。

図-3 被害状況

図-3より被害状況についてみると、人的被害の発生した事故は、401件と事故通知件数の38.4%、物的被害のみ発生した事故は、640件と事故通知件数の61.2%を占めているが、特に被害のなかったものは9年度の12件から4件へと減少している。

1 人的被害の発生した事故

人的被害の発生した事故(死亡、重傷、軽傷)については以下のとおりとなっている。

a「死亡事故」

死亡事故は94件あり、商品分類別にみた死亡事故発生状況は、「燃焼器具」(52%)が最も多く、次いで「家庭用電気製品」(21%)、「乗物・乗物用品」(18%)、「レジャー用品」(5%)、「その他」(3%)の順となっている。

死亡事故の内容を見ると、

「燃焼器具」では、石油ストーブ、ガスコンロ等が火元と見られる火災で焼死する事故が多くあった。また、ガス湯沸器、ガス風呂釜、石油ファンヒーター、石油給湯器等による一酸化炭素中毒死の事故もみられた。

「家庭用電気製品」では、電熱器具による事故が集中し、その中で、電気コンロ、電気ストーブ、電気あんか、電気こたつ等が火元と見られる火災による焼死が目立った。

「乗物・乗物用品」では、ジャッキの外れにより車体の下敷きになったという事故が目立った。その他、四輪自動車のパワーウインドウに幼児が挟まれた事故、年少者保護装置に係る事故、高齢者の電動三輪車転落事故等がみられた。

「レジャー用品」では、例年同様、釣り竿による感電死がみられた。また、パラグライダーでの落下事故も見られた。

「その他」では、除雪機による圧死事故、電動のこぎりによる出血多量事故等がみられた。

b「重傷事故」

重傷事故は70件あり、商品分類別にみた重傷事故発生状況は、「燃焼器具」(21%)、「乗物・乗物用品」(13%)が多く、次いで「家庭用電気製品」(10%)、「家具・住宅用品」(10%)、「身のまわり品」(10%)、「レジャー用品」(9%)、「乳幼児用品」(7%)、「保健衛生用品」(3%)、「その他」(16%)の順となっている。

重傷事故の内容をみると、

「燃焼器具」では、石油ストーブのカートリッジタンクに灯油を補給した際にタンクのふたを十分に締めなかったり、ストーブを点火したままで給油したため、漏れた灯油に引火して火災が発生し火傷を負った事故、誤ってガソリンを給油したため異常燃焼による火災で火傷を負った事故、簡易ガスコンロのカセット容器の爆発による事故、ガスコンロ(LPガス用及び都市ガス用)及びガスストーブ(LPガス用)の火災あるいは爆発による事故が特に目立った。その他、ガスこんろの炎が衣服に引火して火傷した事故もみられた。

「乗物・乗物用品」では、自転車で走行中、フォークが折損したり突然前輪がロックしたりブレーキが利かなかったりして転倒し重傷を負った事故が目立った。

「家庭用電気製品」では、換気扇からの火災による事故、蛍光灯の引き紐で指を切断した事故、ミキサーのカッターで手を切った等の重傷事故がみられた。

「家具・住宅用品」では、金属製脚立からの転落による骨折事故等が多くみられた。その他、上げ下げ窓や折り畳みベッドで指を挟んだことによる骨折事故が見られた。

「身の回り品」では、簡易ガスライターによる重度の火傷事故が目立った。その他、婦人靴による転倒事故が見られた。

「レジャー用品」では、釣り竿による感電事故、着火剤による火傷事故及びパラグライダーのプロペラによる折損事故が見られた。

「乳幼児用品」では、乳幼児用ベッドで首を挟む事故及び転落する事故が目立った。その他、自転車用幼児座席からの転落事故、乳母車に指を挟んだ事故等が見られた。

「保健衛生用品」では、殺虫剤の噴射針が刺さった事故、入浴剤による転倒事後が見られた。

「その他」では、除雪機による体の損傷事故が目立った。その他、水上バイクによる重傷事故が見られた。

c「軽傷事故」

軽傷事故は237件あり、商品分類別にみた軽傷事故の発生状況は、「燃焼器具」(29%)が最も多く、次いで「身のまわり品」(19%)、「家庭用電気製品」(15%)、「乗物・乗物用品」(12%)、「保健衛生用品」(6%)、「レジャー用品」(5%)、「台所・食卓用品」(4%)、「家具・住宅用品」(4%)、「繊維製品」(3%)、「乳幼児用品」(2%)の順となっている。

軽傷事故の内容をみると、

「燃焼器具」では、石油ストーブによる火傷の軽傷事故が最も多く発生しているほか、ガス湯沸器、ガス風呂釜、ガスコンロ等による火傷又は一酸化炭素中毒事故がみられた。

「身のまわり品」では、簡易ガスライターによる火傷等の軽傷事故が最も多く、その他では湯たんぽによる火傷等の軽傷事故がみられた。

「家庭用電気製品」では、製造時に不具合が生じ、社告された乾電池(アルカリ)の液漏れによる火傷事故のほか、配線器具、電気こたつ及び電気ストーブからの火災による火傷事故、脱毛器による軽度の火傷事故、照明器具のカバー清掃中に指を切った等の軽傷事故がみられた。

「乗物・乗物用品」では、自転車(折り畳み式を含む。)のフレームの折損による転倒、車輪のロック、ブレーキが効かなかったことによる転倒事故が目立った。その他、自動車の衝突による事故、リクライニングシートで指を切った軽傷事故等がみられた。

「保健衛生用品」では、スプレー缶(殺虫剤、消臭剤)による火傷事故が目立った。その他、洗浄剤による軽傷事故が見られた。

「レジャー用品」では、玩具(花火、ヨーヨー等)による子供の軽傷事故及びゴルフクラブ、着火剤による軽傷事故が見られた。

「台所・食卓用品」では、鍋の取っ手の破損による事故、缶入り飲料の開封の際のけが、蒸気発生機能付き弁当容器による火傷等の軽傷事故が見られた。

「家具・住宅用品」では、金属製脚立からの転落による打撲、椅子やベッドによる打撲、浴槽用混合栓による火傷事故等の軽傷事故がみられた。

「繊維製品」では、合成皮革製婦人用ズボンのクリーニング後の使用によるかぶれ等の軽傷事故が目立った。その他、シーツ、海水パンツによる軽傷事故が見られた。

「乳幼児用品」では、自転車用幼児座席からの転落、乳幼児用ベッドからの転落事故及び乳母車のフレーム等の接合部に幼児が指を挟む事故がみられた。

2 人的被害の発生しなかった事故

人的被害の発生しなかった事故については、次のとおりである。

a「拡大被害」

拡大被害は412件で、商品分類別にみた拡大被害の発生状況は、「家庭用電気製品」(39%)及び「燃焼器具」(50%)で全体の89%を占めた。次いで、「乗物・乗物用品」(4%)、「保健衛生用品」(2%)の順となっている。

被害の内容をみると、

「家庭用電気製品」では、社告品である乾電池(アルカリ)の液漏れによる機器損傷等、加湿器及び空気清浄機からの発火による室内損傷の拡大被害が多くみられたほか、エアコン、オーブントースター、カラーテレビ、ヘアドライヤー、屋内配線、換気扇、照明器具、電気あんか、電気こたつ、電気コンロ、電気ストーブ、電気洗濯機、電気冷蔵庫、配線器具等、幅広い商品にわたって、延焼による拡大被害が多くみられた。

「燃焼器具」では、石油ストーブ及びガスコンロによる拡大被害が多くみられたほか、石油ファンヒーター、ガスストーブ、ガス及び石油風呂釜、石油給湯器等からの延焼による拡大被害がみられた。

「乗物・乗物用品」では、四輪自動車の火災事故によるものが多くみられた。

「保健衛生用品」では、スプレー缶の破裂による拡大被害が多くみられた。

b「製品破損」

製品破損は228件あり、商品分類別にみた製品破損の発生状況は、「乗物・乗物用品」(45%)、「家庭用電気製品」(40%)に多く発生しており、次いで、「レジャー用品」(3%)の順となっている。

製品破損の内容をみると、

「乗物・乗物用品」では、四輪自動車による製品破損が最も多く発生した。

「家庭用電気製品」では、カラーテレビによる製品破損(発煙)、パソコン用ディスプレー、ビデオデッキ、乾電池(アルカリ)、照明器具、電気カーペット等の広範囲の商品にわたり、製品破損がみられた。

「レジャー用品」では、社告品である水中カメラ用ストロボの製品破損が目立った。その他、玩具等の破損も見られた。

(5) 事故原因(表3参照)

事故原因をみると、「専ら誤使用や不注意な使い方によると考えられるもの」(375件)による事故が最も多く、次いで「原因不明のもの」(206件)、「専ら設計上、製造上又は表示等に問題があったと考えられるもの」(109件)、「業者による工事、修理又は輸送中の取り扱い等に問題があったと考えられるもの」(35件)、「製造後長期間経過したり、長期間の使用により性能が劣化したと考えられるもの」(26件)、「製品自体に問題があり、使い方も事故発生に影響したと考えられるもの」(17件)、「その他製品に起因しないと考えられるもの」(14件)となっている。

なお、「調査中のもの」(263件)は、引き続き調査を行っており、逐次事故原因を究明しているところである。

商品分類別にみた事故原因は、図-4のとおりである。

図-4 商品分類別の事故原因

(6) 事故原因別の被害状況(表4参照)

事故原因別の被害状況は、図-5のとおりである。

図-5 事故原因別の被害状況

図-5より、死亡事故とその事故原因をみると、「専ら誤使用や不注意な使い方によると考えられるもの」(51%)が最も多く、次いで「原因不明のもの」(22%)となっており、「製造後長期間経過したり、長期間の使用により性能が劣化したと考えられるもの」、「業者による工事、修理又は輸送中の取り扱い等に問題があったと考えられるもの」及び「その他製品に起因しないと考えられるもの」に起因した死亡事故が各1件あった。

また、「専ら誤使用や不注意な使い方によると考えられるもの」に起因する死亡事故が約半数と特に多いことから、消費者に対する何らかの対応が必要である。「原因不明のもの」については、事故品の多くは、焼損が著しいこと等から製造業者、型式等の確認ができず、詳細な調査ができず原因究明できなかったものである。しかしながら、警察署及び消防署との協力を図ること等により更に情報収集に努め、事故品の割り出し、原因究明等について必要に応じて評価センター及び原因究明ネットワーク機関の活用を考え、死亡事故の再発防止を図る必要があると考えている。

図-5より、重傷事故とその事故原因をみると、「専ら誤使用や不注意な使い方によると考えられるもの」(49%)が最も多く、次いで「原因不明」(14%)、「専ら設計上、製造上又は表示等に問題があったと考えられるもの」(9%)、「製品自体に問題があり、使い方も事故発生に影響したと考えられるもの」(7%)、「その他製品に起因しないと考えられるもの」(3%)の順となっている。

このうち、「専ら設計上、製造上又は表示等に問題があったと考えられるもの」と判断された「折り畳み式自転車」については、速やかに注意喚起のための公表を行っている。

また、特に多い「専ら誤使用や不注意な使い方によると考えられるもの」に起因する重傷事故については、死亡事故の場合と同様に消費者への対応が必要であり、また、「専ら設計上、製造上又は表示等に問題があったと考えられるもの」に起因する重傷事故には、製造業者等に対して、必要に応じて構造・表示等の改善を求めている。

図-5より、軽傷事故とその事故原因をみると、「専ら誤使用や不注意な使い方によると考えられるもの」(37%)が最も多く、次いで「原因不明」(16%)、「専ら設計上、製造上又は表示等に問題があったと考えられるもの」(15%)、「製品自体に問題があり、使い方も事故発生に影響したと考えられるもの」(3%)、「業者による工事、修理又は輸送中の取り扱い等に問題があったと考えられるもの」(3%)の順となっている。

このうち、「専ら誤使用や不注意な使い方によると考えられるもの」に起因する軽傷事故については、死亡事故及び重傷事故に比べて、極めて発生件数が多いことから、消費者のうっかりミスに対する、注意喚起が特に必要と考えられる。

また、「専ら設計上、製造上又は表示等に問題があったと考えられるもの」に起因する事故については、軽傷事故といえども、重大事故になる可能性も考えられるため、必要に応じて製造業者等に対して改善を求めている。

図-5より、拡大被害とその事故原因をみると、「専ら誤使用や不注意な使い方によると考えられるもの」(43%)が最も多く、発火による他の製品への延焼といった事故が多い。次いで「原因不明のもの」(19%)、「専ら設計上、製造上又は表示等に問題があったと考えられるもの」(7%)の順となっている。

拡大被害についても、消費者の誤使用・不注意に起因した被害が多く発生していることから、特に消費者に対して注意喚起を行っており、また、「専ら設計上、製造上又は表示等に問題があったと考えられるもの」及び、「製品自体に問題があり、使い方も事故発生に影響したと考えられるもの」については、製造業者等に対し、一層の改善を求めていくこととする。

図-5より、製品破損とその原因をみると、「原因不明のもの」(26%)が最も多く、次いで「専ら設計上、製造上又は表示等に問題があったと考えられるもの」(16%)、「専ら誤使用や不注意な使い方によると考えられるもの」(11%)の順となっている。

製品破損についても、人的被害の発生した事故や拡大被害のあった事故と同様に、消費者の誤使用・不注意に起因した被害が多く発生していることから、消費者に対して注意喚起を行っていく。

(7) 再発防止措置状況(表5参照)

再発防止措置状況は、300件の事故について措置が実施されており、そのうち、個別に措置を行ったものを除いた措置件数は延べ239件で、その内訳は、図-6のとおりである。

事故原因が判明したものの中で、原因が製品に起因するものについては、事故再発防止の観点から、メーカー、関係業界等に対して、製品交換、製造工程の管理強化等、所要の措置を講ずるよう指導を、また、必要な場合には回収命令等、法令に基づく措置を行うこととしている。

当省の平成10年度中に発生した事故に係るメーカー名、型式名を含む事故情報等の公表(公表日は、平成11年5月24日)は、注意喚起1件(「折り畳み式自転車」)となっている(詳細は別紙参照)。

また、事故情報に基づき通知された事故製品の再発防止・未然防止を図る観点から当該商品群について安全性等の分析調査を実施しているが、平成10年度は、電動車椅子・三輪車について事故原因等分析調査を実施し、メーカー名、型式名を含む調査概要を公表している。これらの情報については公表のほかに評価センターの「事故情報特記ニュース」により各消費生活センターに情報提供し、消費者への周知徹底を図っている。

図-6 再発防止措置状況

図-6より、再発防止措置状況は、「製品の改良、製造工程の改善、品質管理の強化等を行ったもの」(48.1%)が最も多く、次いで「製品の交換、部品の交換、安全点検等を行ったもの」(21.8%)、「政府、団体、事業者等の広報等により消費者に注意を喚起したもの」(12.6%)、「表示の改善、取扱説明書の見直し等を行ったもの」(10.9%)、「製品の製造、販売又は輸入を中止したもの」(6.7%)となっている。

表5より、商品分類別にみた再発防止措置状況は、「家庭用電気製品」が最も多く(総措置件数239件のうち81件/34%)、製品の改良及び製造工程の改善の措置が行われているほか、製品の交換、部品の交換の措置、表示・取扱説明書の改善等の措置も行われている。

「乗物・乗物用品」では、製造工程の改善、品質管理の強化の措置が多く行われているほか、政府、団体、事業者の広報活動も行われている。

「燃焼器具」では、製品の交換、安全点検等の措置、政府、団体、事業者の広報活動等が行われている。

「身のまわり品」では、製品の改良、製造工程の改善の措置が多く行われている。

「台所・食卓用品」では、製品の改良、製造工程の改善の措置が行われているほか、表示の改善等の措置が行われている。

「保健衛生用品」では、製品の改良、製造工程の改善の措置、表示の改善等の措置が行われている。

「レジャー用品」では、製品の改良、製造工程の改善の措置、製品の交換、部品の交換等の措置が行われている。

「乳幼児用品」及び「繊維製品」では、製品の改良及び製造工程の改善等が行われている。

(8) 商品分類別製造業者等の被害者への措置状況(表5参照)

商品分類別にみた製造業者、販売業者等の被害者への措置状況は、282件について措置がされており、「身のまわり品」(73%)、「台所・食卓用品」(70%)、「家具・住宅用品」(61%)、「乳幼児用品」(58%)、「繊維製品」(50%)については、被害者への対応率が高い。次いで、「レジャー用品」(44%)、「乗物・乗物用品」(42%)、「保健衛生用品」(36%)、「家庭用電気製品」(32%)等となっている。一方、「燃焼器具」(5%)については対応率が比較的低い。

対応率の高い商品については、被害者への対応が良いという半面、事故原因として、製品自体に起因するものが多いとの見方もできる。

一方、対応率の低い商品は、主に事故原因が被害者の誤使用・不注意によるものが多く、また、製品の焼損が著しく製造業者名及び型式が判明できないものが多いことによると推測される。

被害者への措置の内訳は、被害金額の支払い、製品交換、代金返済、謝罪、調査結果の説明等であった。

(9) 事故情報処理テスト

収集した事故情報のうち、平成10年度中に自転車、自動車部品、簡易ガスこんろ、電動車椅子、カラーテレビ、温水洗浄便座、トレーニング器具、電気ジャーポット、ヘアドライヤー等35件(そのうち、特に自転車に係るテストが7件あることが目立った。)について、事故原因の究明のためのテストを行った。主な事故情報処理テスト事例は、表6のとおりである。

(10)社告回収等一覧

平成10年度及び平成11年5月末までに通知があり、新聞紙上に社告を掲載し、又は自主回収を行い、製品の回収・交換等を実施しているものは、21製品(22社)となっている。その概要は、表7のとおりである。

なお、これらの社告に該当する製品事故情報が平成10年度中に26件寄せられた。その内訳は、1 平成11年1月27日付け、社告品の加湿器で7件、2 平成10年8月28日付け、社告品の水中カメラ用ストロボで6件、3 平成10年5月21日付け、社告品の空気清浄機で3件、4 平成10年4月15日付、社告品のカラーテレビで3件、5 平成10年12月26日、平成11年1月12日付け、社告品の座椅子ヒーターで3件等である。また、6 平成10年11月5日付け、リコール品である車載用スピーカーで3件となっている。

一方、平成10年度以前に社告等を掲載し、又は自主回収を行い、製品の回収・交換等を実施しているにもかかわらず、これらの社告に該当する製品事故情報が平成10年度中に18件寄せられた。その内訳は、1 平成9年10月31日付け、社告品の乾電池(アルカリ)で6件、2 平成4年8月6日付け、平成5年7月付け、平成6年10月付け及び平成7年8月付け、再社告品のスプレー缶(塗料)で3件、3 平成4年2月25日付け、平成8年4月11日付、社告品のカラーテレビデオで各々1件等である。

したがって、社告後に事故の再発を生じている製品の製造事業者等は、事故の未然防止及び再発防止に資する観点から、社告品の回収・交換の実効性が高まるための再度の取り組みが望まれる。

また、消費者は、社告等の情報の入手に努め、所有している家庭用品について再点検を行い、社告品の一掃が望まれる。

(11)事故情報の収集方法

事故情報収集制度は各種の行政施策に反映するため、通商産業省の所掌に係る消費生活用製品の欠陥等により人的被害が生じた事故、人的被害が発生する可能性の高い物的事故及びこれらの事故の生ずる可能性の高い製品の欠陥に関する情報等を収集している。

事故情報は、個人を含む各種の団体等から通知を受け評価センターが、以下の方法により収集している。

  1. 1 消費者団体、地方自治体、消費生活センター等、製品安全協会、国民生活センター等からの通知
  2. 2 販売業者及びこの関係団体からの通知
  3. 3 製造事業者及びこの関係団体からの報告
  4. 4 一般消費者からのフリーダイヤルファクシミリによる通報
  5. 5 一般消費者、報道機関、病院、警察署、消防署、その他からの連絡

お問い合わせ

独立行政法人製品評価技術基盤機構 製品安全センター  製品安全広報課
TEL:06-6612-2066  FAX:06-6612-1617
住所:〒559-0034 大阪市住之江区南港北1-22-16 地図