製品安全

平成12年度事故情報収集制度報告書

平成13年10月12日
独立行政法人製品評価技術基盤機構

Ⅰ.事故情報件数と事故原因【表-Ⅰ、図-Ⅰ-1及び図-Ⅰ-2参照】

平成12年度中に寄せられた事故情報は1,469件です。このうち、事故原因が判明した事故の件数は823件であり、製品の欠陥に起因する事故の件数は354件です。

<事故原因が判明したもの>(括弧内は平成11年度)

平成12年度中に寄せられた事故情報1,469件(960件)のうち、現在までに事故原因が判明したのは823件(657件)で、その内訳は次のとおりです。

1.製品の欠陥に起因する事故

事故原因が判明したもののうち、製品の欠陥に起因する事故は354件(174件)で、その内訳は次のとおりです。
  1. (1) 専ら設計上、製造上又は表示等に問題があったと考えられる事故が287件(130件)発生しています。
  2. (2) 製品自体に問題があり、使い方も事故発生に影響したと考えられる事故が31件(25件)発生しています。
  3. (3) 製造後長期間経過したり、長期間の使用により性能が劣化したと考えられる事故は36件 (19件)発生しています。
上記(1)~(3)を合計した件数が事故原因が判明したものに占める割合は約43%(約26%)であり、前年度に比べその件数は103%増加しています。
製品の欠陥に起因する事故が前年度に比べ180件増加した主な要因は、製造事業者等からの通知が196件(48件)と前年度に比べ148件増加したためです。そのうち冷蔵庫及び直流電源装置について、同じ銘柄及び同じ型式に関する事故情報がまとまって通知されています(計136件)。

2.製品の欠陥に起因しない事故

事故原因が判明したもののうち、製品の欠陥に起因しない事故は469件(483件)で、その内訳は次のとおりです。
  1. (1) 誤使用や不注意な使い方による事故が380件(448件)発生しています。事故原因が判明したものに占める当該事故の件数の割合は約46%(約68%)で、前年度に比べその件数は約15%減少しています。
  2. (2) 上記(1)のほか、業者による工事、修理又は輸送中の取り扱い等に問題があったと考えられる事故が26件(25件)、製品に起因しないと考えられる事故が63件(10件)発生しています。

<事故原因が判明しないもの>(括弧内は平成11年度)

1.原因不明の事故件数

原因が究明出来なかった事故は230件(252件)ですが、これは主に、家庭用電気製品、乗物・乗物用品、燃焼器具等に関する出火事故によるもので、事故品の焼損が著しいことから原因究明が困難であったものです。

2.調査中の事故件数

平成12年度分において、調査中のものが416件(51件)で、これらに関する原因区分のは確定しておらず、調査終了後に確定します。
表-Ⅰ 事故原因別の事故件数
事故原因区分 件数(件)
製品の欠陥に起因する事故                        
  A 専ら設計上、製造上又は表示等に問題があったと考えられるもの    287
B 製品自体に問題があり、使い方も事故発生に影響したもの    31
C 製造後、長期間経過したり、長期間の使用により性能が劣化したと考えられるもの    36
 小計    354
製品の欠陥に起因しない事故
  D 業者による工事、修理又は輸送中の取り扱い等に問題があったと考えられるもの     26
E 専ら誤使用や不注意な使い方によると考えられるもの    380
F その他製品に起因しないと考えられるもの    63
 小計    469
事故原因が判明しない事故
  G 原因不明のもの    230
H 調査中のもの    416
 小計    646
 合計   1469
図-Ⅰ-1
図-Ⅰ-2
 事故原因判明件数に占める製品の欠陥に起因する事故(A,B,C)及び誤使用・不注意事故(E)の割合

ページトップへ

Ⅱ.商品分類別の事故件数【表-Ⅱ-1、図-Ⅱ-1、表-Ⅱ-2及び図-Ⅱ-2参照】

事故情報を11の商品分類別にみると、家庭用電気製品、燃焼器具、乗物・乗物用品によるものが多く、この3分類の事故情報の割合が全体の約78%を占めています。

※商品分類の内容は、表-Ⅱ-1に示すとおりです。

1.商品分類別の事故件数(括弧内は平成11年度)

商品分類別の事故件数は、表-Ⅱ-1のとおりです。商品分類区分①~③の3分類に関する事故情報の合計は1,141件(794件)で、平成12年度に寄せられた事故情報に占める割合は約78%(約83%)です。
表-Ⅱ-1 商品分類別の事故件数
商品分類区分 件数
12年度(%) 11年度(%)
① 家庭用電気製品 647(44.0) 268(27.9)
② 燃焼器具 317(21.6) 358(37.3)
③ 乗物・乗物用品 177(12.0) 168(17.5)
④ 身のまわり品 98 (6.7) 49( 5.1)
⑤ 保健衛生用品 57 (3.9) 20( 2.1)
⑥ 台所・食卓用品 37 (2.5) 18( 1.9)
⑦ レジャー用品 36 (2.5) 28( 2.9)
⑧ 家具・住宅用品 30 (2.0) 26( 2.7)
⑨ 乳幼児用品 28 (1.9) 10( 1.0)
⑩ 繊維製品 17 (1.2) 10( 1.0)
⑪ その他 25 (1.7) 5( 0.5)
合計 1469 960
注:
四捨五入の関係で、比率(%)の合計は、100%となりません。
図-Ⅱ-1 商品分類別の事故件数

2.事故原因毎の主な商品分類別事故件数(括弧内は平成11年度)

事故原因毎の主な商品分類別事故件数は次のとおりです。
  1. (1) 製品の欠陥に起因する事故は354件(174件)であり、家庭用電気製品232件、乗物・乗物用品と身のまわり品が各31件の順(家庭用電気製品70件、乗物・乗物用品29件、身のまわり品23件の順)となっています。
  2. (2) 製品に起因しない事故は469件(483件)であり、燃焼器具210件、家庭用電気製品95件、乗物・乗物用品と身のまわり品が各44件の順(燃焼器具279件、家庭用電気製品108件、乗物・乗物用品45件の順)となっています。
  3. (3) 事故原因が判明しない事故は646件(303件)であり、家庭用電気製品320件、乗物・乗物用品102件、燃焼器具97件の順(乗物・乗物用品94件、家庭用電気製品90件、燃焼器具64件の順)となっています。
表-Ⅱ-2 商品分類別の事故原因
※( )内は商品分類毎の事故原因割合(%)
事故原因区分
商品分類区分
製品に起因する事故 製品に起因しない事故 事故原因が判明しない事故 合計

専ら設計上、製造上又は表示等に問題があったと考えられるもの

製品自体に問題があり、使い方も事故発生に影響したと考えられるもの 

製造後長期間経過したり、長期間の使用により製品が劣化したもの

業者による工事、修理又は輸送中の取り扱い等に問題があったと考えられるもの

専ら誤使用や不注意な使い方によると考えられるもの

その他製品に起因しないと考えられるもの

原因不明のもの

調査中のもの
① 家庭用電気製品 198
(30.6)

(0.8)
29
(4.5)

(1.4)
79
(12.2)

(1.1)
74
(11.4)
246
(38.0)
647
② 燃焼器具
(0.9)

(0.9)

(1.3)

(2.8)
200
(63.1)

(0.3)
35
(11.0)
62
(19.6)
317
③ 乗物・乗物用品 27
(15.3)

(1.1)

(1.1)

(3.4)
35
(19.8)

(1.7)
64
(36.2)
38
(21.5)
177
④ 身のまわり品 26
(26.5)

(5.1)

(-)

(-)
16
(16.3)
28
(28.6)

(9.2)
14
(14.3)
98
⑤ 保健衛生用品
(7.0)

 (3.5)

(-)

(-)

(15.8)
16
(28.1)
15
(26.3)
11
(19.3)
57
⑥ 台所・食卓用品
(18.9)

(8.1)

(2.7)

(-)
10
(27.0)

(-)
10
(27.0)

(16.2)
37
⑦ レジャー用品
(13.9)

(5.6)

(-)

(2.8)
11
(30.6)

(2.8)

(22.2)

(22.2)
36
⑧ 家具・住宅用品
(16.7)

(6.7)

(-)

(3.3)

(30.0)

(-)

(16.7)

(26.7)
30
⑨ 乳幼児用品 12
(42.9)

(21.4)

(-)

(-)

(14.3)

(-)

(10.7)

(10.7)
28
⑩ 繊維製品     
(-)

(-)

(-)

(-)

(5.9)

(41.2)

(23.5)

(29.4)
17
⑪ その他
(-)

(4.0)

(-)

(-)

(24.0)

(-)

(12.0)
15
(60.0)
25

ページトップへ

Ⅲ.被害状況【表-Ⅲ及び図-Ⅲ参照】

製品の欠陥に起因する事故のうち、死亡、重傷、軽傷等の人的被害のあったものは85件、物的被害が拡大したものは106件です。また、製品の欠陥に起因しない事故のうち、死亡、重傷、軽傷等の人的被害があったものは206件、物的被害が拡大したものは215件です。

1.製品の欠陥に起因する事故による被害状況(括弧内は平成11年度)

  製品の欠陥に起因する事故について、事故の被害状況は次のとおりです。
  1. (1) 人的被害の発生した事故は85件(83件)発生しています。製品の欠陥に起因する事故に占める割合は約24%(約48%)で、前年度に比べその件数は約2%増加しています。また、その内訳は、死亡事故2件(1件)、重傷事故11件(9件)、軽傷事故72件(73件)です。
  2. (2) 人的被害の発生しなかった事故は269件(91件)発生しています。製品の欠陥に起因する事故に占める割合は約76%(約52%)で、前年度に比べその件数は約196%増加しています。また、その内訳は、物的被害が拡大したものは106件(27件)であり、当該事故品の破損のみにとどまったものは157件(59件)、特に被害がなかったものは6件(5件)です。

2.製品の欠陥に起因しない事故による被害状況(括弧内は平成11年度)

製品の欠陥に起因しない事故469件(483件)について、事故の被害状況は次のとおりです。
  1. (1) 人的被害の発生した事故は206件(197件)であり、この内訳は、死亡事故32件(59件)、重傷事故41件(26件)、軽傷事故133件(112件)です。
  2. (2) 人的被害の発生しなかった事故は263件(286件)であり、この内訳は、物的被害が拡大したものは215件(236件)であり、当該事故品の破損のみにとどまった事故は46件(44件)、特に被害がなかったものは2件(6件)です。

3.死亡事故について

死亡事故について、主な商品分類及び事故原因については次のとおりです。
  1. (1) 燃焼器具による事故は36件(死亡事故に占める割合は約53%)で、石油ストーブ、ガスこんろ等が火元と見られる火災で焼死する事故が多発しています。
    一方、平成12年度において、燃焼器具に関する一酸化炭素中毒による死亡事故はありませんでした。
  2. (2) 製品の欠陥に起因する事故のうち「製品自体に問題があり、使い方も事故発生に影響したと考えられるもの」においてのみ2件の死亡事故が発生しています。
  3. (3) 製品の欠陥に起因しない事故のうち「専ら誤使用や不注意な使い方によると考えられるもの」 においてのみ32件の死亡事故が発生しています。
  4. (4) 事故原因が判明しない事故のうち「原因不明のもの」において23件、「調査中のもの」において11件の死亡事故が発生しています。
表-Ⅲ 事故原因別の被害状況
事故
原因
区分
被害
状況
製品の欠陥に起因する事故 製品の欠陥に起因しない事故 事故原因が判明しない事故

専ら設計上、製造上又は表示等に問題があったと考えられるもの

製品自体に問題があり、使い方も事故発生に影響したと考えられるもの

製造後長期間経過したり、長期間の使用により製品が劣化したもの

業者による工事、修理又は輸送中の取り扱い等に問題があったと考えられるもの

専ら誤使用や不注意な使い方によると考えられるもの

その他製品に起因しないと考えられるもの

原因不明のもの

調査中のもの
死亡 32 23 11
重傷 37 10 15
軽傷 52 18 81 50 42 50
拡大被害 90 13 13 196 83 134
製品破損 136 21 33 70 198
被害無し
合計 287 31 36 26 380 63 230 416
図-Ⅲ 事故原因別の被害状況

ページトップへ

Ⅳ.事故情報処理テスト

収集した事故情報のうち、行政上の観点から事故の原因解明が必要と判断したものについては、事故情報処理テストを実施しています。

平成12年度については、配線器具(テーブルタップ)、電気ホットプレート、液化ガス用バーナー付風呂釜、電動介護リフト、ソフトあんか及びキックボード等25件の事故情報処理テストを行っています。
(例 ソフトあんか)
電子レンジで暖めると何度も使用できるソフトあんかを電子レンジで暖めて寝床で使用したところ、袋が破裂して中からゼリー状の内容物が漏れだしたという事故について、その原因を加熱の繰り返しや使用繰り返しによる接着強度の低下、接着不良と想定し、過度の加熱による内容物温度や破裂による火傷事故発生の蓋然性を確認するためにテストを実施しました。
事故は、当該製品をオート加熱ボタンを利用して加熱した場合、製品に示されている加熱制限時間(3分)を越える連続加熱が行われ破裂寸前の状態となったため、使用中に袋が破裂して内容物が漏れたものと考えられること等が確認できたことから、経済産業省では事業者に対して、消費者に対する使用上の注意表示を徹底するよう指導しました。

※電子レンジの調理ボタンで、センサーの働きにより、加熱時間が自動的に設定される機能をもつ。

ページトップへ

Ⅴ.再発防止措置

製品の欠陥に起因する事故(354件)のうち、再発防止対策が必要と判断され、措置が講じられたものは、328件です。

1.製品の欠陥に起因する事故の再発防止措置(括弧内は平成11年度)

製品の欠陥に起因する事故のうち、約93%(約89%)の328件(155件)について再発防止措置が講じられており、ほとんどの事業者が積極的に対応しています。
再発防止措置の具体的な内容は、製品の改良、製造工程の改善、品質管理の強化、製品の交換、部品の交換、安全点検の実施等です。また、183件の事故については、事業者等が新聞紙上に社告等を掲載し、製品の回収・交換等を実施しています。
なお、再発防止措置が講じられなかった事故26件(19件)については、既に製品の生産が終了しており、再発のおそれが無いと判断されたものです。

2.製品の欠陥に起因しない事故の再発防止措置(括弧内は平成11年度)

誤使用や不注意な使い方等、製品の欠陥に起因しない事故についても、約28%(約37%)の129件(181件)について再発防止措置が講じられています。
再発防止措置の具体的な内容としては、誤使用や不注意による事故が発生する可能性をより小さくするため、表示、取扱説明書の見直し等を行っています。

3.社告等の実施による再発防止措置等(括弧内は平成11年度)

事故の未然防止、再発防止の観点から、事業者等が新聞紙上に社告等を掲載し、製品の回収・交換等を実施した旨の報告が冷凍冷蔵庫、直流電源装置、AVアンプ及び蓄熱材等の製品について47回(22回)あり、これらは延べ82社(24社)により実施されました。このうち20回は、事故の再発防止措置として、製品の欠陥に起因する事故183件に対応して事業者が実施したものであり、それ以外の27回の社告等については、製品の不具合等に対応して事業者等が実施したものです。

ページトップへ

Ⅵ.情報提供の充実・強化     

平成11年11月から、年度報告書による冊子及び四半期毎の事故情報提供に加え、随時インターネットホームページにより事故情報、社告情報等を提供する「事故情報のペ ージ」(http://www.jiko.nite.go.jp/)を開設しています。

1.事故情報のページ

平成11年11月から、冊子による年度報告書及び四半期毎の報告書による情報提供に加え、事故原因の分析調査が終了した事故事例から随時、インターネットホームページにより事故情報、社告等を提供する「事故情報のページ(http://www.jiko.nite.go.jp)」を開設しています。
現在までに提供している主な事故関連情報は次のとおりです。
  1. ①事故情報:平成8年度からの約5050件
  2. ②社告情報:平成元年度からの約220件
  3. ③事故情報特記ニュース:約40件
  4. ④苦情・事故原因究明手法:約500件

<参考>原因究明機関ネットワーク

平成12年6月から、「事故情報のページ」上に原因究明機関ネットワーク参加機関について掲載しています。

※原因究明機関とは、製品事故に係る紛争の解決(被害救済)のために事故内容に応じた適切な原因究明を行う企業等です。

 
(本件問い合わせ先)
独立行政法人製品評価技術基盤機構
生活・福祉技術センター製品安全技術課  菅沼、岡野
電話
03-3481-6933

別表1 事故通知件数の年度別推移

別表1 事故通知件数の年度別推移(参考図)

別表2 商品区分別被害状況

別表3 商品区分別事故原因

別表4 事故原因別被害状況

別表5 商品区分別再発防止措置等の実施状況

別表6-1 社告等回収一覧表(平成12年度分)

別表6-2 社告等回収一覧表(平成13年度分)

お問い合わせ

独立行政法人製品評価技術基盤機構 製品安全センター  製品安全広報課
TEL:06-6612-2066  FAX:06-6612-1617
住所:〒559-0034 大阪市住之江区南港北1-22-16 地図