製品安全

平成17年度事故情報収集結果

はじめに

独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE:ナイト)は、消費生活用製品等に関する事故情報の収集を行い、その事故原因を調査究明し、その結果を公表することによって事故の未然・再発防止を図り、国民生活の安全・安心が求められる種々の情報を提供しています。
情報収集に当たっては、経済産業省が、製造・輸入事業者、地方公共団体、消費生活センター、消費者団体等に対して、事故情報をNITEに通知するよう働きかけています。
NITEは、これら関係機関等から通知された事故情報と自ら収集した事故情報のすべてについて、通知者、製造・輸入事業者等から事実関係等を聴取するほか、事故発生現場の確認や事故品の入手等に努めるとともに、必要に応じて事故の再現テスト等を実施して技術的な調査及び評価を行い、事故原因の究明と事業者の再発防止措置の評価を行っています。原因究明に当たっては、学識経験者等により構成される事故動向等解析専門委員会における審議を通じてNITEの調査結果等の妥当性を検証しています。
これらの事故情報やその調査状況・調査結果は、NITEから随時経済産業省に報告するとともに、ホームページ等を通じて公表しています。また、必要な場合には経済産業省から事業者や業界に対して行政上の措置が講じられます。
本報告書は、平成17年度(平成17年4月~平成18年3月)に収集された事故情報の収集状況、平成17年度に調査・評価が終了し公表された事故情報に関する各種データ、事故情報調査結果の分析・評価と事故動向等について取りまとめ平成17年度版として公表するものです。
製品に起因して発生したと判断される製品事故については、本報告書の中で事故製品の銘柄、型式、製造事業者名等の情報も併せて公表しています。これは同種事故の未然・再発防止を図るために行っているものです。
また、調査の結果、製品に起因しない誤使用や不注意による事故と判明したものについてもその内容を公表しています。これは消費者への注意喚起を行うとともに、製品の使用実態や事故の発生状況を製造・輸入・販売事業者に提供することにより、可能な限り誤使用や不注意とされる事故を技術的に防ぐ方法が開発されることを期待してのことです。
本報告書が、製品の安全な使用・保守に役立てられるとともに、事業者に対する設計、製造、供給又はアフターサービスの面での対応の促進、そして消費者に対する製品使用上の注意喚起に寄与することにより、製品事故の減少に役立てていただければ幸いです。
平成18年11月21日
独立行政法人製品評価技術基盤機構

1.事故情報収集制度において収集する事故情報

事故情報収集制度では、消費生活用製品等(家庭用電気製品、燃焼器具、乗物、レジャー用品、乳幼児用品等)が関係して発生した事故で、1 人的被害が生じた事故、2 人的被害が発生する可能性の高い物損事故及び3 人的被害が発生する可能性の高い製品の不具合に関する情報を収集しています。

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2.事故情報の収集体制と事故情報収集結果

独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)では、消費者をはじめ全国の消費生活センター、行政機関、製造事業者等から事故情報の通知を受けるとともに、新聞、インターネットに掲載された事故情報を全国から日々入手する体制(事故情報収集モニターの配置)を確立し、事故情報を網羅的に収集することに努めています。
平成17年度における事故情報の情報源別事故情報収集件数は表1のとおりです。
平成17年度、事故情報収集件数が最も多かったのは新聞情報等で、事故情報収集件数全体の約65%を占め、前年度比55%増となっています。この要因は、この2、3年、自動ドアによる死亡事故、回転遊具の事故、自動車の欠陥による事故などが立て続けに発生し、社会全体で安全、安心問題に関心が高まってきた中にあって、さらに、石油温風暖房機による事故(平成17年11月に消費生活用製品安全法第82条に基づく緊急命令が発動された)が大きく報じられたことや、平成17年12月から平成18年2月の間の大雪(平成18年豪雪)による除雪機関連の事故等が増加したことによるものと考えられます。
続いて製造事業者等からの通知が全体の約19%を占めましたが、前年度比では47%減となっています。これは、平成16年度には、特定の事業者から特定の製品において多発した事故情報が多数通知されたこと、事故隠し等が発覚し企業倫理が社会問題化するなかで、事業者からの事故報告が多数寄せられたこと等から平成15年度に比べて大幅に増加しましたが、平成17年度においては同一製品による多発事故の通知が少なかったために報告件数は減少したと考えられます。
以下は消防機関を含む自治体からの通知が次に多く約7%、消費生活センターからの通知が約5%となっています。この2機関からの事故情報提供は拡大し、それぞれ前年度比75%増、30%増となっています。
表1 平成17年度情報源別事故情報収集件数
情報源 件数及び割合(前年度比)
製造事業者等 575件 19.4%(▼47%)
自治体(消防機関含む) 194件 6.6% (75%)
消費生活センター等 136件 4.6% (30%)
国の機関 46件 1.6%(▼43%)
消費者 41件 1.4%(▼15%)
その他 44件 1.5%(▼21%)
小計 1,036件 35.1%(▼30%)
新聞情報等 1,916件 64.9% (55%)
合計 2,952件 100.0% (8%)
(注)
新聞情報では同一事故を複数紙が報道した場合でも
1件とカウントしています。
収集された事故情報のうち、同一の製品事故に対して複数の情報源から通知されたもの、調査の結果、製品が事故発生に関係していないことが判明したもの及び事故品が経済産業省所管製品以外の製品であるものを除いた正味の事故情報は2,413件(平成18年6月15日現在。事故原因調査中のものを含む。)でした。
平成17年度における事故情報の製品区分別事故情報収集件数は表2のとおりです。
製品区分別収集件数は、燃焼器具の事故情報件数が最も多く、事故情報収集件数の約44%(前年度比86%増)を占めています。これは、石油温風暖房機の事故に関する消費生活用製品安全法第82条に基づく緊急命令発動後、燃焼器具の事故に関する新聞報道が増えたことが要因と考えられます。続いて家庭用電気製品が収集件数の約36%(前年度比9%減)、乗物・乗物用品が収集件数の約9%(前年度比37%減)の順になっています。
表2 平成17年度製品区分別事故情報収集件数
順位 製品区分 件数及び割合(前年度比)
燃焼器具 1,055件 43.7% (86%)
家庭用電気製品 860件 35.7% (▼9%)
乗物・乗物用品 204件 8.5%(▼37%)
家具・住宅用品 102件 4.2% (85%)
身のまわり品 75件 3.1%(▼21%)
レジャー用品 61件 2.5% (56%)
台所・食卓用品 23件 1.0% (▼4%)
保健衛生用品 19件 0.8%(▼63%)
繊維製品 8件 0.3%(100%)
10 乳幼児用品 6件 0.2%(▼68%)
11 その他 0件 0.0%    
合計 2,413件 100.0% (14%)
※:
本表の件数は、調査の結果、重複情報や収集対象外情報であることが判明したものを除いたものです。

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3.事故情報の調査

NITEにおいては事故情報の調査のため、次のとおり、追跡調査、重大事故等の調査、原因究明調査の3つの調査を実施しています。

(1) 追跡調査

NITEでは、収集した事故情報のすべてに対して、関係者から事故状況や事故に関係したと考えられる製品の詳細確認等の事故原因の究明に必要な追跡調査を行っています。
平成17年度には、石油給湯器からの灯油漏れによる出火事故、電気ストーブ付近からの出火事故等重大なもの40件の事故について現場調査を実施しました。
また、事故品や同等品が入手可能なものについては、積極的に入手に努めて原因究明のための調査を行っています。平成17年度は、ヘアードライヤー内部配線の短絡事故、ガスふろがまからの熱湯火傷事故、融雪用電熱シートが関係した火災事故等265件の事故について事故品や同等品を確認しました。
これらの調査の結果、製品の製造事業者名、型式等が判明した場合は、事故の再発防止を図るために、事故発生の情報を当該製造事業者等に通知し、事故発生の原因、事故再発防止措置等について報告書の提出を求め、その内容を確認、検討を行っています。また、必要な場合、事故原因及びその再発防止措置について意見交換を行って適切な事故の未然・再発防止が図られるように努めています。
平成17年度において、事故原因究明のために行った現場調査及び事故品確認の状況は表3のとおりです。また、事故品の製造事業者名等の情報が判明したものは表4のとおりです。
表3 NITEにおける事故調査状況(現場調査、事故品確認)
現場調査及び事故品確認状況 現場調査を実施したもの 40件
事故品を確認したもの 265件
表4 NITEにおける事故調査状況(製造事業者等の特定)
事故品の製造事業者等の特定状況 製造事業者等からの通知により判明したもの 448件
NITEの事故調査により判明したもの 515件

(2) 重大事故等の調査状況

NITEでは、死亡又は重傷の人的被害並びに火災等の拡大被害等の重大事故、同一型式製品で同種事故が多発した事故、法令の技術基準違反に係わる事故等並びに事故の未然・再発防止の必要性の高い事故については、必要な措置が適宜実施可能なように調査の進捗を確認する体制を取っています。
平成17年度、調査を行った重大・多発・注目事故の事例には、表5のとおり、石油温風暖房機による一酸化炭素中毒死亡事故、電気ストーブによる製品破損多発事故、照明器具(蛍光灯)点灯用ひもによる重傷事故、簡易ガスライターの残火による火災事故、ペットボトルを使用するスチーム式加湿器による火傷事故、電気温水器の破裂事故、食器洗い乾燥機による火災事故及び電気こたつ中間スイッチからの発煙多発事故などがありました。
表5  重大・多発・注目事故事例
製品名 NITEの調査概要 講じられた再発防止措置
FF式石油温風暖房機
【重大事故】
【多発事故】
石油温風暖房機から漏れた一酸化炭素により中毒事故が立て続けに発生し、2名が死亡、7名が重軽傷を負ったとの通知があった。
調査を行った結果、石油温風暖房機の長期の使用によって、取り付け時にストレスが残留した2次エアホースの湾曲部の表層に大気雰囲気中に存在するオゾン等の酸化物質が作用し、さらに熱が反応を促進して酸化したために、クラックが発生・成長し孔を生じ、燃焼室側からその孔を通じて一酸化炭素を含んだ燃焼排ガスが逆流・漏洩したものと推定。さらに、それぞれの事故ごとに他の異状が加わったことが燃焼排ガス中の一酸化炭素濃度を増加させる結果となったものと推定した。
事業者は経済産業大臣の平成17年11月29日付け消費生活用製品安全法第82条に基づく緊急命令を受けて同構造の25機種に対して回収又は点検、改修と消費者への注意喚起の徹底を行った。
電気ストーブ
【多発事故】
ハロゲンヒーターを使用中、ヒーター管が白くなったのに気付いたため、スイッチを切ったところ、ヒーター管が突然破裂しフローリング等を焦がしたとの通知があった。
調査を行った結果、ガラス管製造時に材料の不良等の問題から不具合があり破損したものと推定した。
なお、事業者に報告を求めるため連絡したところ連絡がとれず、所在を確認したところ当該事業者の事務所がないことを確認。当該事業者は平成16年3月22日付けで東京地方裁判所より破産宣告を受け、倒産していたことが判明した。
事業者は平成16年2月11日付けの新聞に社告を掲載し、製品の無償点検・修理を行っていたが、事業者が裁判所の破産宣告を受け対応できない状態にあるため、当機構は平成17年4月28日付け及び同年12月1日付けの特記ニュースで事業者の無償点検・修理を受けていないものは使用を中止するよう注意喚起を行った。 
照明器具
(蛍光灯)
【重大事故】
照明器具の引き紐を幼児が引っ張ったところ、引き紐の根元の金具部分が伸びて本体から外れ、幼児の右目に当たり水晶体を損傷したとの通知があった。
調査を行った結果、事故発生時の状況、当該製品のスイッチ取り付け部の構造、設計基準、当該部品の外れ強度、同種事故件数等を調査。当該事故は、女児がベッド上で引き紐を引張って遊んでいた時、引き紐に強い力が加わり、引き紐と蛍光灯のスイッチをつなぐ金属製S環が伸びてスイッチから外れ、被害者の目に突き刺さったものと推定した。
保護者の不注意とみられる事故であるが、事業者はより安全な製品とするため、S環を改良し、強い力が加わって外れる場合、環は本体に留まり、引きひものみが外れるように設計変更を行った。
簡易ガスライター
【重大事故】
ライターを使用後にベッドの上に置いていたら、「カチッ」という音がしたのでライターの方向を見たらベッドカバーとスプリングマットが燃えていたとの通知があった。
調査を行った結果、事故品の着火レバー及びガイド付近は溶融しておりこれがレバーの復帰を妨げていた。この溶融は残火によるものか特定できなかったが、復帰不良を起こす同等品を確認したところ、ガイドが湾曲しているものやガイド付近にバリのあるものが確認されたことから、消火時にこれらに引っかかり完全にレバーが復帰せず残火が生じたものと推定した。
事業者は販売を中止するとともに、ホームページ及び平成17年6月10日付け新聞で製品回収の告知を行った。
石油給湯器
【多発事故】
民家の屋外に設置されていた石油給湯器から出火したとの通知があった。
調査を行った結果、油量調整弁付き電磁ポンプの外部シール部に使用されているOリングのシール寸法確保の余裕が少なめだったため、燃焼時の電磁ポンプ発熱、燃焼熱等によりOリングの収縮が促進され、部品の寸法バラツキによって一部シール性能が確保できないものが発生し、漏れた灯油が熱交換器フランジ部から燃焼室内に浸入して溜まり、バーナーの火が引火し、給湯器内を焼損したものと推定した。
事業者は平成14年10月24日、平成15年6月2日及び7月22日付け新聞紙上に社告を行い、無償で点検・修理を行った。また、Oリングの劣化対策として、制御弁セット付属電磁弁のOリング材質をNBRから化学的に安定なフッ素ゴムに変更しており、平成13年4月以降の器具については、対策を行った。
スチーム式加湿器
【注目事故】
ペットボトルを差し込んで使用するスチーム式加湿器が倒れ、その際に流れ出た熱湯で幼児が肘に火傷を負ったとの通知があった。
調査を行った結果、事故品は幼児の就寝時に枕元付近に置いて使用していたこと、転倒試験(10°傾斜時)から構造上の安定性に問題はないことが確認されたため、外部からの衝撃(幼児の寝返り等)により転倒し、熱湯が流出したものと推定した。
なお、取扱説明書には「1.乳幼児に付き添いなしでは使用しない旨。2.本体の置き場所は床面上0.5~1mの水平なところに置く旨。」の記載がされている。
事業者は他に同種事例はなく、既に当該型式の輸入・販売を終了しており、保護者の不注意とみられる事故であるため、措置はとらなかった。
なお、今後は床置きで使用しない旨の本体表示を追加することとした。
電気温水器
【重大事故】
電気温水器が破裂し、タンクが垂直に飛ばされ、1階及び2階の住宅の庇部分に衝突・破損させ、敷地外の林に落下したとの通知があった。
 調査を行った結果、電気温水器に水道水が供給されず、4年以上未使用で放置されたまま電源が通電状態であったことから、タンク内の水が電気防食回路の通電により電気分解されて、水素ガス・酸素ガスが発生し、長期間不使用によりガスが増加するとともにタンク内の水位が徐々に低下し、タンク内に組み込まれた防食電極と水の間で火花放電が発生し、ガスに引火してタンクが破裂したものと推定した。
事業者は平成9年7月31日付けの新聞告知により、顧客へ長期不使用時の注意喚起を行い、当該機種の可能性がある顧客への訪問調査を継続して実施している。
なお、平成元年以後の電気温水器は、電気防食方式を用いないステンレスタンクに変更している。
食器洗い乾燥機
【重大事故】
台所に置いて使用していた食器洗い乾燥機が発火焼損し、流し台及び蛍光灯が焼損したとの通知があった。
調査を行った結果、給水弁パッキンの締め付け不良によって水漏れを起こし、送風ファンや乾燥用ヒーターセット部に洗浄水の汚れや泡が堆積して送風ファンの回転が低下したことにより、ヒーターが異常過熱して付近の樹脂が溶融し、発煙、発火したものと推定した。 
事業者は平成15年7月10日付けの新聞及びインターネットのホームページに社告を掲載し、製品の無償点検・修理を実施した。また、給水弁ナットの製造工程での作業の見直しと締め付け確認の再徹底を行った。
電気こたつ
(中間スイッチ)
【多発事故】
電気こたつを使用中、中間スイッチ部から発煙し、スイッチ裏面の一部が溶解してふとんに付着したとの通知があった。
調査を行った結果、電気こたつの中間スイッチ付電源コードの製造工程において、スイッチの「入・切」動作が重いものに限り、可動片にグリスを塗布していたが、当該グリスが多量に塗布されたものがあり、その一部が接点部に達し、接触不良が生じて発熱し、スイッチ部の樹脂が溶けたものと推定した。
事業者は平成17年4月20日付及び平成17年12月13日付の新聞に社告を掲載し、電源コードの無償交換を実施した。
なお、販売店への店頭ポスター告知、店頭チラシ配布等を実施した。

(3) 製品等の調査

NITEでは、事故原因が不明の重大事故や多発の可能性がある事故、事業者等の事故調査結果に疑義がある事故などについては、収集した事故情報の調査の一環として、事故品、同等品等を用いたテストを実施し、事故原因の究明(原因究明テスト・調査)を行っています。
また、事故原因を究明する手法が未整備のもの、事故原因の究明やテスト結果を評価するために必要な基礎データが不足しているものについては、原因究明手法開発調査を実施し、事故原因究明に必要な手法の整備や必要なデータの取得・蓄積をして事故の原因究明を迅速に行う環境を構築することに努めています。さらに、収集した事故情報については、収集状況及び調査結果等に基づく事故動向の解析を行うとともに、製品安全に関する調査を行っています。原因究明手法開発調査の結果及び製品安全に関する調査の結果などは、NITEの事故原因究明に活用するとともに、関係機関等へ提供しています。
平成17年度に実施した事故原因究明テスト・調査の概要は表6、原因究明手法開発調査の概要は表7のとおりです。
表6  平成17年度の原因究明テスト・調査の例
件名 事故内容とテスト目的 テスト結果の概要
自転車(折りたたみ式) 会社から自転車に乗って帰宅中、突然サドル下のパイプが折れて転倒したことから、フレームパイプが折れた原因を調べる。 有限要素法による解析、破面解析により、破断箇所(溶接部)が、応力集中箇所であり、また外力によりき裂が発生し、引き続き繰り返し外力により疲労破壊が進展し、比較的短時間で破断に到ったと考えられる。しかし、材料の成分や強度には問題はなく、同等品の振動試験でも異常はなく、事故品と同等品に溶接状態に大きな差違も見い出せないことから、原因の特定はできなかった。
石油ファンヒーター ファンヒーターのクリーニングボタンを押してクリーニングした後、点火ボタンを押したところ、吹き出し口より炎が出て、消火器で消火したことから、吹き出し口から炎が出た原因を調べる。 種々の条件で再現テストを試みたところ、タンクを満タンにしてクリーニングを行うと生ガスが吹き出すことがあり、これが蓄積した埃に染み込み、この状態で着火操作を行なうと埃に着火し、事故と同様に、炎を出して燃えることを確認した。
ラミネーター 窓を閉め、エアコンを付けた約8畳の部屋で、購入後初めてラミネートしたところ、目や喉が痛くなり、2mほど離れた所にいた文鳥が死亡し、空気清浄機が強(赤)の状態が数時間続いたことから、ラミネーターを使用する際に放散される揮発性成分(VOC)を捕集し、事故原因を調べる。 ラミネータから放散されるVOCを測定した結果、放散物質は、27物質で、厚労省が指針値を示す物質で比較的量が多いものは、ホルムアルデヒド、スチレン及びキシレンであった。この放散量から、事故発生時と同じ広さの部屋に均一に拡散したと仮定した場合の試算濃度(換気を考慮せず。)を厚労省指針値と比較したところ、指針値以下であり、TVOCについては、指針値の1.6倍の濃度であった。1時間エージングを行った後では、放散物質は15物質に減少し、量もほぼ半減した。このことから、有害なホルマリン等の放散が認められたが、人への影響を明確に指摘することはできなかった。
塩化ビニル製手袋 塩化ビニル手袋でアレルギー性接触皮膚炎になったことから、製品から化学物質を抽出し、事故原因を調べる。 製品から化学物質を抽出し、抽出化学成分の分離・精製後、分離した化学物質によるパッチテストを行い、皮膚炎原因物質(アレルゲン)の化学構造、物質名を特定した。
デスクマット デスクマットでアレルギー性接触皮膚炎になったことから、製品から化学物質を抽出し、事故原因を調べる。 製品から化学物質を抽出し、抽出化学成分の分離・精製後、分離した化学物質によるパッチテストを行い、皮膚炎原因物質(アレルゲン)の化学構造、物質名を特定した。
FF式石油温風暖房機 石油温風暖房機から漏れた一酸化炭素により使用者が死亡、重体となる事故が立て続けに発生したことから、石油温風暖房機から一酸化炭素が漏れた原因を調べる。 石油温風暖房機の長期の使用によって、取り付け時にストレスが残留した2次エアホースの湾曲部の表層に大気雰囲気中に存在するオゾン等の酸化物質が作用し、さらに熱が反応を促進し酸化したために、クラックが発生・成長し孔を生じ、燃焼室側からその孔を通じて一酸化炭素を含んだ燃焼排ガスが逆流・漏洩したものと推定される。さらに、それぞれの事故ごとに他の異状が加わったことが燃焼排ガス中の一酸化炭素濃度を増加させる結果となったものと推定した。
ヘアドライヤ- 使用中、空気吹き出し口から火花が飛び出し、髪の毛の一部を焦がしたことから、空気吹き出し口から火花が飛び出した原因を調べる。 内部の配線がヒータ線に接触し、ヒータ線の熱で内部配線の絶縁物を溶かしショートし、ヒータ線の一部がファンによる風力で飛ばされ髪の毛を焦がしたものと推定した。
表7  平成17年度の原因究明手法開発調査
テーマ 調査の目的 調査の内容と結果
電源コードの短絡痕識別手法の改良に向けた検証 NITEが開発した電源コード一・二次痕の生成温度推定法(CS法)の短絡痕体積は、従来、断面寸法から算出している。この体積は概算値であることから、温度推定結果への影響が少なからずあると考えられるところである。今般、この体積を比重法で求めることにより精度が向上することが火災学会で発表されたことから、この比重法について、検証を行った。 検証の結果、1 比重法に比べてCS法は短絡痕体積を大きく算出することを確認。2 比重法は形状が不定形でも測定可能であることを確認。3 比重法で推定した温度がサンプル作成時の温度とほぼ一致。また、CS法による温度の推定値は実際の温度より低い傾向があることを確認。4 比重法は著しく表面酸化したものには適用できないことを確認。

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4.事故情報調査結果の分析と事故動向

(1) 事故情報調査結果の分析体制

事故情報の調査結果は、NITE自ら専門的な分析を行った後、後述する「事故原因技術解析ワーキンググループ」で技術的観点からの解析、評価をした上で、「事故動向等解析専門委員会」において検討し、最終調査結果としてとりまとめています。
また、平成17年度には特定事項の審議を行うための小委員会及び特定の技術事項を検討・評価する検討グループを設置しました。

1 事故動向等解析専門委員会

事故調査の結果を公正、中立な立場で検討を行うために学識経験者、消費者代表等で構成する「事故動向等解析専門委員会」を設置しています。
当委員会では、事故原因や再発防止措置等の調査結果、別途必要に応じて当委員会のもとに設置する事故原因技術解析ワーキンググループによる技術的な解析、評価結果等の妥当性等について審議を行うとともに、事故の動向解析を行っています。

2 事故原因技術解析ワーキンググループ

電気、機械、化学・生体障害の技術分野ごとに学識経験者や有識者等の第三者から構成する事故原因技術解析ワーキンググループを設置し、それぞれの技術分野に該当する製品事故について技術的な解析、評価を行っています。
また、誤使用によって発生した事故についても製品誤使用技術解析ワーキンググループが設置され、使用方法や製品のあり方についての解析、評価を行っています。
事故原因技術解析ワーキンググループとその作業内容は表8のとおりです。

3 小委員会及び検討グループ

平成17年度、新たに特定の事故について詳細な原因究明を行うため、小委員会及びその下部組織である検討グループを設置しました。
平成17年度は、石油温風暖房機から漏洩した一酸化炭素による中毒事故の発生を受け、事故同等製品の危険性の検証と同様他社製品の安全性(危険性)の検証を小委員会及び検討グループを設置して行いました。
表8  事故原因技術解析ワーキンググループ
グループ名 ワーキンググループの作業内容等
電気技術解析
ワーキンググループ
カラーテレビ、エアコン、冷蔵庫、配線器具等の電気製品による発煙・発火事故等の解析、製造事業者の調査結果や再発防止措置の評価を行っています。また、NITEが行うテストへの助言、テスト結果の評価等を行っています。
機械技術解析
ワーキンググループ
自転車等の破損による事故、石油ストーブ、ふろがま等による火災事故等の解析、製造事業者の調査結果や再発防止措置の評価を行っています。また、NITEが行うテストへの助言、テスト結果の評価等を行っています。
化学・生体障害技術解析ワーキンググループ 簡易ガスライター等の身の回り品による事故、ゴム手袋、ブラウス等に含まれる化学物質による皮膚障害(アレルギー)等の解析、製造事業者の調査結果や再発防止措置の評価を行っています。また、NITEが行うテストへの助言、テスト結果の評価等を行っています。
製品誤使用技術解析
ワーキンググループ
調査の結果、「誤使用や不注意による事故」について、事故に至った使用方法の解析、製品の現状とあり方を検討しています。また、NITEが行っている調査への助言等を行っています。

(2) 平成17年度の事故調査結果

1 事故原因別事故情報件数

平成17年度中に事故原因等の調査が終了し、事故動向等解析専門委員会の審議を終えたものは1,756件です。その内訳は平成15年度収集分38件、平成16年度収集分865件、平成17年度収集分853件です。
平成17年度中に調査が終了した年度ごとの事故原因別の事故情報件数は、表9、表10及び表11のとおりです。
 
表9 事故原因別の事故情報件数  (平成15年度収集分)
事故原因区分 件数(件)
製品に起因する事故                                 3
  A: 専ら設計上、製造上又は表示等に問題があったと考えられるもの
B: 製品自体に問題があり、使い方も事故発生に影響したと考えられるもの
C: 製造後、長期間経過したり、長期間の使用により性能が劣化したと考えられるもの
製品に起因しない事故                             18
  D: 業者による工事、修理又は輸送中の取り扱い等に問題があったと考えられるもの
E: 専ら誤使用や不注意な使い方によると考えられるもの 11
F: その他製品に起因しないと考えられるもの
事故原因が判明しないもの                           17
  G: 原因不明のもの 17
合計 38
※:
表に示す件数は平成15年度に収集した事故情報1,594件のうち、平成17年度に調査が終了した38件に関するものです。
表10 事故原因別の事故情報件数  (平成16年度収集分)
事故原因区分 件数(件)
製品に起因する事故                              205
  A: 専ら設計上、製造上又は表示等に問題があったと考えられるもの 173
B: 製品自体に問題があり、使い方も事故発生に影響したと考えられるもの 15
C: 製造後、長期間経過したり、長期間の使用により性能が劣化したと考えられるもの 17
製品に起因しない事故                            440
  D: 業者による工事、修理又は輸送中の取り扱い等に問題があったと考えられるもの 37
E: 専ら誤使用や不注意な使い方によると考えられるもの 376
F: その他製品に起因しないと考えられるもの 27
事故原因が判明しないもの                         220
  G: 原因不明のもの 220
合計 865
※:
表に示す件数は平成16年度に収集した事故情報2,124件のうち、平成17年度に調査が終了した865件に関するものです。
表11  事故原因別の事故情報件数  (平成17年度収集分)
事故原因区分 件数(件)
製品に起因する事故                              183
  A: 専ら設計上、製造上又は表示等に問題があったと考えられるもの 144
B: 製品自体に問題があり、使い方も事故発生に影響したと考えられるもの 11
C: 製造後、長期間経過したり、長期間の使用により性能が劣化したと考えられるもの 28
製品に起因しない事故                            439
  D: 業者による工事、修理又は輸送中の取り扱い等に問題があったと考えられるもの 20
E: 専ら誤使用や不注意な使い方によると考えられるもの 399
F: その他製品に起因しないと考えられるもの 20
事故原因が判明しないもの                          231
  G: 原因不明のもの 231
合計        853
※:
表に示す件数は平成17年度に収集した事故情報2,413件のうち、平成17年度に調査が終了した853件に関するものです。

2 製品区分別事故原因

平成17年度に収集した事故情報について、平成18年6月15日現在、調査の終了したものについて製品区分ごとの事故原因は表12のとおりです。
結果の判明したものが最も多かった家庭用電気製品(340件)についてみると、「製品に起因する事故」が122件で家庭用電気製品全体の約36%、「製品に起因しない事故」は103件で同じく約30%を占めています。「製品に起因しない事故」のうち最も多かったのは「誤使用や不注意による事故」で83件となっており、「製品に起因しない事故」中で約81%を占めており、家庭用電気製品全体の事故(340件)に対しても約24%を占めています。事故時の詳細な状況や製品に関する情報が得られず、原因を特定するに至らなかった等の「原因不明」は115件で家庭用電気製品全体(340件)の約34%を占めています。
燃焼器具の事故原因をみると、「製品に起因する事故」は4件で燃焼器具全体 (326件)の約1%に過ぎません。一方、「製品に起因しない事故」は278件で燃焼器具全体(326件)の約85%を占めています。「製品に起因しない事故」のうち「誤使用や不注意による事故」と判定された事故は266件で、「製品に起因しない事故」中で約96%とそのほとんどを占めています。
表12  製品区分別事故原因(平成17年度収集分)
事故原因
     区分
製品区分
製品に起因する事故 製品に起因しない事故 原因不明のもの 合計
小計 小計
家庭用電気製品 89 10 23 122 83 14 103 115 340
台所・食卓用品
燃焼器具 11 266 278 44 326
家具・住宅用品 14
乗物・乗物用品 18 18 18 23 51 92
身のまわり品 16 17 11 11 35
保健衛生用品
レジャー用品 10 12 28
乳幼児用品
繊維製品
合計 144 11 28 183 20 399 20 439 231 853
※:
表に示す件数は平成17年度に収集した事故情報2,413件のうち、平成17年度に調査が終了し、事故原因が確定した853件に関するものです。
(事故原因区分)
  1. A:専ら設計上、製造上又は表示等に問題があったと考えられるもの。
  2. B:製品自体に問題があり、使い方も事故発生に影響したと考えられもの。
  3. C:製造後長期間経過したり、長期間の使用により製品が劣化したもの。
  4. D:業者による工事、修理又は輸送中の取り扱い等に問題があったと考えられるもの。
  5. E:専ら誤使用や不注意な使い方によると考えられるもの。
  6. F:その他製品に起因しないと考えられるもの。
  7. G:原因不明のもの。
 

3 被害状況

事故原因別被害状況は表13のとおりです。
「製品に起因する事故」で人的被害(死亡、重傷及び軽傷)が発生したものは33件ですが、死亡又は重傷の人的被害は重傷事故1件で、死亡事故はありません。この1件の重傷事故は、女性が座っていた「パイプいす」の支柱と脚部の結合部分が破損し、床に尻もちをついた際に尾てい骨を骨折したという事故です。物的被害(拡大被害及び製品破損)のみが発生したのものは145件です。
「製品に起因しない事故」で人的被害(死亡、重傷及び軽傷)が発生したものは 146件で、死亡又は重傷の人的被害が発生したものは48件、物的被害(拡大被害及び製品破損)のみが発生したものは292件です。人的被害の状況をみると「誤使用や不注意による事故」を主因として発生しており、死亡事故31件、重傷事故15件となっています。死亡事故の内容は、主に「ガスこんろ」で調理中に発生した火災、「石油ストーブ」「電気ストーブ」「電気こたつ」等の暖房器具を使用中に発生した火災、「脚立」を使用中の転落、「シュノーケル」を使った遊泳中などに発生しています。重傷事故は、主に「石油ストーブ」「電気ストーブ」の使用中に発生した火災、「照明器具」引きひもの外れ、「湯たんぽ」を長時間肌に接触させたことなどにより発生しています。
表13  事故原因別被害状況(平成17年度収集分)
被害状況事故原因 人的被害 物的被害 被害
無し
合計
死亡 重傷 軽傷 小計 拡大被害 製品破損 小計
製品に起因する事故 29 29 65 46 111 144
10 10 11
12 12 24 28
小計 32 33 87 58 145 183
製品に起因しない事故 10 15 20
31 15 92 138 240 21 261 399
13 16 20
小計 33 15 98 146 263 29 292 439
原因不明 23 11 40 74 105 51 156 231
合計 56 27 170 253 455 138 593 853
※:
表に示す件数は平成17年度に収集した事故情報2,413件のうち、平成17年度に調査が終了し、事故原因が確定した853件に関するものです。
(事故原因区分)
  1. A:専ら設計上、製造上又は表示等に問題があったと考えられるもの。
  2. B:製品自体に問題があり、使い方も事故発生に影響したと考えられもの。
  3. C:製造後長期間経過したり、長期間の使用により製品が劣化したもの。
  4. D:業者による工事、修理又は輸送中の取り扱い等に問題があったと考えられるもの。
  5. E:専ら誤使用や不注意な使い方によると考えられるもの。
  6. F:その他製品に起因しないと考えられるもの。
  7. G:原因不明のもの。
製品区分別被害状況は表14のとおりです。
平成17年度に収集した事故情報における製品区分別の人的被害は、燃焼器具、家庭用電気製品、家具・住宅用品、レジャー用品、繊維製品において、前年度に比べて増加しています。特に燃焼器具による死亡被害が前年度比160%増となっており、火災事故の収集件数が増加したことによるものと考えられます。家庭用電気製品については、「電気ストーブ」「電気こたつ」等による火災による人的被害が前年度比95%増となっています。家具・住宅用品による人的被害は前年度比139%増となっています。これは、平成18年豪雪による除雪作業中の「除雪機」「はしご」の事故情報が多数、発生したことによるものです。レジャー用品による人的被害は前年度比96%増となっています。これは、「シュノーケル」を使った遊泳中の事故情報が前年度に比べて増加したことによるものです。繊維製品による人的被害は133%増加しており、「パンティストッキング」による皮膚障害の事故通知があったことによるものです。
表14  製品区分別被害状況(平成17年度収集分)
被害状況
製品区分
人的被害の発生した事故 人的被害の発生しなかった事故 合計
(前年度比)
死亡
(前年度比)
重傷
(前年度比)
軽傷
(前年度比)
合計
(前年度比)
拡大被害
(前年度比)
製品破損
(前年度比)
被害なし
(前年度比)
家庭用電気製品 75
(150%)
26
(117%)
102
(65%)
203
(95%)
522
(24%)
132
(▼68%)

(0%)
860
(▼9%)
台所・食卓用品
(▼75%)

(33%)

(▼10%)

(200%)

(▼30%)

(▼50%)
23
(▼4%)
燃焼器具 156
(160%)
39
(70%)
257
(90%)
452
(107%)
574
(97%)
21
(▼49%)

(▼53%)
1055
(86%)
家具・住宅用品 11
(267%)
45
(221%)
30
(58%)
86
(139%)

(▼38%)
11
(0%)
102
(85%)
乗物・乗物用品 18
(▼5%)

(▼63%)
46
(▼36%)
71
(▼35%)
25
(79%)
108
(▼46%)
204
(▼37%)
身のまわり品
(150%)

(▼29%)
33
(10%)
43
(10%)
16
(▼11%)
16
(▼58%)
75
(▼21%)
保健衛生用品
(0%)

(▼58%)
10
(▼52%)

(125%)
19
(▼63%)
レジャー用品 12
(50%)
11
(120%)
24
(118%)
47
(96%)

(0%)

(▼25%)

(200%)
61
(56%)
乳幼児用品
(▼79%)

(▼79%)

(▼67%)

(▼50%)

(▼68%)
繊維製品
(100%)

(133%)

(100%)
合計 278
(128%)
136
(58%)
517
(39%)
931
(61%)
1160
(53%)
306
(▼60%)
16
(▼43%)
2413
(14%)
※:
表に示す件数は平成17年度に収集した事故情報2,413件に関するものです。
重傷とは、全治1か月以上のけが等をいいます。
拡大被害は、製品以外に他の物的被害に及んだものをいいます。

4 再発防止措置

平成17年度中に調査が終了した事故情報(1,756件)のうち、事故原因が「製品に起因する事故」(事故原因区分:A、B、C)における再発防止措置等の実施件数は、表15のとおりです。
「製品に起因する事故」391件のうち、約92%の359件の事故に対して製造事業者等により再発防止措置が講じられていることが確認されました。
残りの約8%は、火災等で製品の製造事業者等が特定できず対応が不可能であったもの、経年劣化で発生した事故で、販売後長期間が経過し、市場や家庭における当該製品の残存数も少なく、同種の事故情報が収集されていないことから特段の再発防止措置がとられなかったもの等です。
再発防止措置が講じられた事故のうち209件は、延べ58社の製造事業者等により新聞、ホームページ等に社告等が掲載され、製品の回収・交換等が実施されています。その他の単品不良と考えられる事故、表示や使用方法の問題で発生した事故等については、事業者は販売店においてポスター掲示による告知や、事業者のホームページ等で消費者に注意喚起を行ったり、製造工程の改善、品質管理の徹底・強化、取扱説明書や表示の改善等の再発防止措置がとられています。
表15 製品に起因する事故における年度別再発防止措置の実施状況
事故情報
収集年度
17年度に調査が終了した件数 製品に起因する
事故情報件数
再発防止措置
実施件数
平成15年度 38
平成16年度 865 205 192
平成17年度 853 183 165
合計 1,756 391 359
※:
事故による被害者対応のみを実施した事故を除く

(3) 最近3年間の事故動向

1 事故情報の情報源別収集件数

最近の3年間にNITEが収集した事故情報件数の推移は表16のとおりです。平成15年度が2,124件、平成16年度が2,721件、平成17年度が2,952件でした。
情報源別事故情報収集件数の推移をみますと、収集される事故情報は年々増えています。平成17年度において、新聞情報等からの収集件数が前年度1,237件から1,916件に679件、前年度比55%増加しました。また、自治体等(消防機関を含む)からの収集件数が111件から194件に83件、消費生活センター等からの収集件数が 105件から136件に31件それぞれ増加しました。一方で、製造事業者等からの通知は前年度1,084件から575件に509件、前年度比47%減少してしています。
このうち、新聞情報等からの事故情報収集件数については毎年増加する中、特に平成17年度においては増加が著しくなっています。製品事故に係る情報(石油温風暖房機による一酸化炭素中毒事故など)が報道で多く取り上げられたこと、平成18年豪雪による除雪作業中の「除雪機」「はしご」の事故が多発したこと等が収集件数の増加につながっていると考えられます。
また、製造事業者等からの通知については、平成16年度には、特定の事業者から特定の製品において多発した事故情報が多数通知されたこと、事故隠し等が発覚し企業倫理が社会問題化するなかで、事業者からの事故報告が多数寄せられたこと等から平成15年度に比べて大幅に増加しましたが、平成17年度においては多発事故の通知が前年度に比べ少なかったために、通知件数は平成15年度の件数とほぼ同じ件数となりました。
表16 年度別情報源別事故情報収集件数※(平成17年度は再掲)
  平成15年度 平成16年度 平成17年度
情報源 件数及び割合 件数及び割合 件数及び割合
製造事業者等 573件 27.0% 1,084件 39.8% 575件 19.4%
自治体(消防機関含む) 122件 5.7% 111件 4.0% 194件 6.6%
消費生活センター等 102件 4.8% 105件 3.9% 136件 4.6%
国の機関 140件 6.6% 80件 2.9% 46件 1.6%
消費者 32件 1.5% 48件 1.8% 41件 1.4%
その他 81件 3.9% 56件 2.1% 44件 1.5%
小計 1,050件 49.5% 1,484件 54.5% 1,036件 35.1%
新聞情報等 1,074件 50.5% 1,237件 45.5% 1,916件 64.9%
合計 2,124件 100.0% 2,721件 100.0% 2,952件 100.0%
※:
表に示す件数は、平成18年6月15日現在の調査結果に基づき取りまとめたものです。

最近の3年間にNITEが収集した事故情報件数(重複情報や収集対象外の情報を除いたもの)の推移は表17のとおりです。平成15年度が1,594件、平成16年度が2,124件、平成17年度が2,413件(平成18年6月15日現在。調査中を含む。)です。
製品区分別事故情報収集件数の推移をみますと、平成16年度までは家庭用電気製品の収集件数が最も多く、それに燃焼器具が続く傾向となっていましたが、 平成17年度は家庭用電気製品を抜いて燃焼器具の収集件数が最も多くなりました。
これは、製造事業者からの家庭用電気製品の事故通知件数が減少する一方、緊急命令の発動に関連して燃焼器具の事故情報が新聞に報道されることが多くなったことが順位の入れ替わった原因と考えられます。

表17 製品区分別事故情報収集件数※(平成17年度は再掲)
  平成15年度 平成16年度 平成17年度
製品区分 件数及び割合 件数及び割合 件数及び割合
家庭用電気製品 625件 39.2% 944件 44.4% 860件 35.7%
台所・食卓用品 24件 1.5% 24件 1.1% 23件 1.0%
燃焼器具 541件 33.9% 567件 26.7% 1,055件 43.7%
家具・住宅用品 65件 4.1% 55件 2.6% 102件 4.2%
乗物・乗物用品 155件 9.7% 326件 15.4% 204件 8.5%
身のまわり品 77件 4.8% 95件 4.5% 75件 3.1%
保健衛生用品 20件 1.3% 51件 2.4% 19件 0.8%
レジャー用品 29件 1.8% 39件 1.8% 61件 2.5%
乳幼児用品 49件 3.1% 19件 0.9% 6件 0.2%
繊維製品 9件 0.6% 4件 0.2% 8件 0.3%
その他 0件 0.0% 0件 0.0% 0件 0.0%
合計 1,594件 100.0% 2,124件 100.0% 2,413件 100.0%
※:
本表の件数は、調査の結果、重複情報や収集対象外情報であることが判明したものを除いたものです。

2 事故情報の製品別収集件数

平成15年度から平成17年度までの最近3年間において、事故情報の収集件数が多かった上位10品目を表18に、平成17年度上位10品目の最近3年間の収集件数の推移は図のとおりです。
最近3年間の品目別収集件数をみますと、平成15年度最も多かった「直流電源装置」の収集件数が毎年減少し、平成17年度は45件と平成15年度の163件に比べて大幅に減少しています。これは、「直流電源装置」の事故として収集した事故件数のうち約9割を占める特定事業者の電気シェーバー用充電器による発火、発煙事故の情報が減少したことによるものです。
「ガスこんろ」「石油ストーブ」「電気ストーブ」「四輪自動車」は毎年上位5品目に入っており、平成17年度において、「ガスこんろ」「石油ストーブ」の事故情報は、平成16年度に比べて約2倍の情報が収集されています。これは、平成17年度における新聞において製品の関与について言及した記事が大きく増加したことに伴って収集件数が増加したと考えられます。
「電気ストーブ」に関する事故情報は、平成16年度に比べて約半分の収集件数となっています。これは、平成16年度に多くみられた特定の事業者の製品不具合による事故の多発が減少したためと考えられます。しかしながら、平成15年度の収集件数に比べると3倍強の収集件数となっており、収集件数の上位に位置しています。
「四輪自動車」については車両火災に関する情報がその大半を占めています。
上位10品目に「まきストーブ」「まきふろがま」が新しく入っています。これは、「ガスこんろ」「石油ストーブ」と同様に両製品の関与を記載した記事が増加したことによって収集件数が増えたものです。
表18 年度別事故上位10品目
平成15年度
(事故情報収集件数1,594件)
平成16年度
(事故情報収集件数2,124件)
平成17年度
 (事故情報収集件数2,413件)
品目 件数 割合% 品目 件数 割合% 品目 件数 割合%
直流電源装置 163 10.2 電気ストーブ 348 16.4 ガスこんろ 407 16.9
ガスこんろ 152 9.5 ガスこんろ 200 9.4 石油ストーブ 266 11.0
石油ストーブ 126 7.9 自転車 163 7.7 電気ストーブ 173 7.1
四輪自動車 89 5.6 石油ストーブ 132 6.2 四輪自動車 120 5.0
電気ストーブ 50 3.1 四輪自動車 112 5.3 エアコン 50 2.1
小計 580 36.3 小計 955 45.0 小計 1,016 42.1
簡易ガスライター 47 3.0 直流電源装置 65 3.1 まきストーブ 49 2.0
自転車 36 2.3 エアコン 63 2.9 配線器具(延長コード) 49 2.0
玩具 34 2.1 カラーテレビ 41 1.9 まきふろがま 46 2.0
屋内配線 29 1.8 簡易ガスライター 38 1.8 直流電源装置 45 1.9
配線器具(延長コード) 29 1.8 配線器具(延長コード) 38 1.8 石油ファンヒーター 44 1.8
            電気こたつ 44 1.8
小計 175 11.0 小計 245 11.5 小計 277 11.5
合計 755 47.3 合計 1,200 56.5 合計 1,293 53.6
図 年度別事故上位品目の件数の推移

3 事故情報の原因別件数

年度別の事故原因別事故情報件数は表19のとおりです。
平成15年度から平成17年度の過去3年間に収集した事故情報(6,131件)のうち、調査の終了した4,491件について、「製品に起因する事故」は1,457件で調査の終了した事故情報全体の約32%、「製品に起因しない事故」は1,962件で約44%です。
「製品に起因する事故」のうち、「専ら設計、製造及び表示の問題による事故」が1,290件で「製品に起因する事故」全体の約89%を占めています。また、「製品に起因しない事故」のうち、「誤使用や不注意による事故」が1,691件で「製品に起因しない事故」全体の約86%を占めています。
年度別の「製品に起因する事故」と「製品に起因しない事故」の割合をみますと、平成15年度は「製品に起因しない事故」の割合(約48%)が高く、「製品に起因する事故」(約29%)の約1.7倍となっています。平成16年度は「製品に起因する事故」(約40%)と「製品に起因しない事故」(約37%)がほぼ同じ割合となっています。
表19 事故原因別事故情報件数(平成17年度は再掲)    (件)
事故原因区分 平成15年度 平成16年度 平成17年度 合計
製品に起因する事故 458 816 183 1,457
A:専ら設計上、製造上又は表示等に問題があったと考えられるもの 407 739 144 1,290
B:製品自体に問題があり、使い方も事故発生に影響したと考えられるもの 25 36 11 72
C:製造後、長期間経過したり、長期間の使用により性能が劣化したと考えられるもの 26 41 28 95
製品に起因しない事故 755 768 439 1,962
D:業者による工事、修理又は輸送中の取り扱い等に問題があったと考えられるもの 58 66 20 144
E:専ら誤使用や不注意な使い方によると考えられるもの 637 655 399 1,691
F:その他製品に起因しないと考えられるもの 60 47 20 127
事故原因が判明しないもの 370 471 231 1,072
G: 原因不明のもの 370 471 231 1,072
小計 1,583 2,055 853 4,491
調査中 11 69 1,560 1,640
合計 1,594 2,124 2,413 6,131
※:
平成17年度において平成18年6月15日現在で調査が終了し、事故原因が確定したものです。

4 製品区分別事故原因

平成15年度から平成17年度までの年度別、製品区分別事故原因は表20、表21及び表22のとおりです。
なお、平成17年度に収集した事故情報の調査は、当該年度に収集した事故情報の約35%しか終了していないことから、平成15年度、平成16年度に収集し、調査の終了した事故情報の調査結果に基づいて製品区分別の事故原因をみることとします。
平成17年度において収集件数が最も多かった「燃焼器具」の事故原因をみると、平成15年度、平成16年度ともに「製品に起因しない事故」(平成15年度440件、平成16年度441件)が燃焼器具全体(平成15年度541件、平成16年度567件)の約80%を占め、そのうち約90%前後が「誤使用や不注意による事故」(平成15年度395件、平成16年度410件)となっています。「製品に起因する事故」(平成15年度18件、平成16年度28件)は、ともに1%以下となっています。
収集件数が次に多い「家庭用電気製品」の事故原因をみると、「製品に起因する事故」が家庭用電気製品全体(平成15年度625件、平成16年度944件)の平成15年度が約46% (289件)、平成16年度が約58%(551件)を占め、「製品に起因しない事故」については、平成15年度が約28%(173件)、平成16年度が約20%(185件)となっています。平成16年度において、「製品に起因する事故」の割合が高いのは、特定事業者の特定の型式の製品による事故が多発し、それらの事故通知があったことと、事故隠し等が発覚し企業倫理が社会問題化し、事業者からの事故報告が多数寄せられ、これらは製品に起因した事故の報告であるたためです。
「乗物・乗物用品」の事故原因をみると、「原因不明」が乗物・乗物用品全体(平成15年度155件、平成16年度326件)の約5割(平成15年度81件、平成16年度163件)を占めています。
表20 製品区分別事故原因(平成15年度収集分)
事故原因
     区分
製品区分
製品に起因する事故 製品に起因しない事故 原因
不明
調査中 合計
小計 小計
家庭用電気製品 256 18 15 289 10 129 34 173 155 625
台所・食卓用品 10 10 24
燃焼器具 18 37 395 440 82 541
家具・住宅用品 31 32 20 23 65
乗物・乗物用品 21 25 10 33 49 81 155
身のまわり品 25 26 22 23 27 77
保健衛生用品 12 13 20
レジャー用品 15 17 29
乳幼児用品 42 43 49
繊維製品
合計 407 25 26 458 58 637 60 755 370 11 1,594
※:
表に示す件数は、平成15年度収集分のうち平成18年6月15日現在のものです。
表21 製品区分別事故原因(平成16度収集分
  事故原因
     区分
製品区分
製品に起因する事故 製品に起因しない事故 原因
不明
調査中 合計
小計 小計
家庭用電気製品 488 28 35 551 36 120 29 185 176 32 944
台所・食卓用品 24
燃焼器具 22 28 21 410 441 83 16 567
家具・住宅用品 17 18 23 25 55
乗物・乗物用品 97 98 47 58 163 326
身のまわり品 46 48 24 23 20 95
保健衛生用品 37 38 10 10 51
レジャー用品 14 15 15 18 39
乳幼児用品 19
繊維製品
合計 739 36 41 816 66 655 47 768 471 69 2,124
※:
表に示す件数は、平成16年度収集分のうち平成18年6月15日現在のものです。
(事故原因区分)
  1. A:専ら設計上、製造上又は表示等に問題があったと考えられるもの。
  2. B:製品自体に問題があり、使い方も事故発生に影響したと考えられもの。
  3. C:製造後長期間経過したり、長期間の使用により製品が劣化したもの。
  4. D:業者による工事、修理又は輸送中の取り扱い等に問題があったと考えられるもの。
  5. E:専ら誤使用や不注意な使い方によると考えられるもの。
  6. F:その他製品に起因しないと考えられるもの。
  7. G:原因不明のもの。
表22 製品区分別事故原因(平成17年度収集分・再掲)
  事故原因
     区分
製品区分
製品に起因する事故 製品に起因しない事故 原因
不明
調査中 合計
小計 小計
家庭用電気製品 89 10 23 122 83 14 103 115 520 860
台所・食卓用品 14 23
燃焼器具 11 266 278 44 729 1,055
家具・住宅用品 88 102
乗物・乗物用品 18 18 18 23 51 112 204
身のまわり品 16 17 11 11 40 75
保健衛生用品 13 19
レジャー用品 10 12 33 61
乳幼児用品
繊維製品
合計 144 11 28 183 20 399 20 439 231 1,560 2,413
※:
表に示す件数は、平成17年度収集分のうち平成18年6月15日現在のものです。
(事故原因区分)
  1. A:専ら設計上、製造上又は表示等に問題があったと考えられるもの。
  2. B:製品自体に問題があり、使い方も事故発生に影響したと考えられもの。
  3. C:製造後長期間経過したり、長期間の使用により製品が劣化したもの。
  4. D:業者による工事、修理又は輸送中の取り扱い等に問題があったと考えられるもの。
  5. E:専ら誤使用や不注意な使い方によると考えられるもの。
  6. F:その他製品に起因しないと考えられるもの。
  7. G:原因不明のもの。
「製品に起因する事故」が多かった上位5品目は表23、また「誤使用や不注意による事故」の上位5品目は表24のとおりです。
「製品に起因する事故」の上位5品目をみると、家庭用電気製品が多くを占めています。このうち「電気ストーブ」は3年続けて上位5品目に入っており、特に平成16年度は特定の製品について事故が多発したことによるもので292件もの報告がなされています。また、「直流電源装置」は、平成12年以降発生している特定の事業者が輸入した電気シェーバー充電用製品の事故(設計不良による発煙・発火)が延べ731件(平成18年6月15日現在)にものぼっている影響もあり、他の品目より目立った結果となっています。その他の製品では、「自転車」「靴」「簡易ガスライター」「玩具」等がみられます。
表23  年度別「製品に起因する事故」の上位5品目
平成15年度
(458件)
平成16年度
(816件)
平成17年度
(183件)
品目名 件数 割合% 品目名 件数 割合% 品目名 件数 割合%
直流電源装置 160 35.0 電気ストーブ 292 35.7 直流電源装置 42 22.9
玩具 32 7.0 自転車 65 8.0 電気ストーブ 11 6.0
自転車 18 3.9 直流電源装置 65 8.0 玩具 8 4.4
電気ストーブ 18 3.9 26 3.2 電気こんろ 8 4.4
簡易ガスライター 15 3.3 歯ブラシ 26 3.2 カラーテレビ 6 3.3
電気こんろ 15 3.3       冷蔵庫 6 3.3
合計 258 56.4 合計 474 58.1 合計 81 44.3
「誤使用や不注意による事故」の上位5品目をみると、最近3年間では「ガスこんろ」「石油ストーブ」が1位、2位を占めています。特にこの2品目については、平成17年度は、事故情報の収集件数が前年に比べて多くなっています。
表24 年度別「誤使用や不注意による事故」の上位5品目
平成15年度
(637件)
平成16年度
(655件)
平成17年度
(399件)
品目名 件数 割合% 品目名 件数 割合% 品目名 件数 割合%
ガスこんろ 135 21.2 ガスこんろ 180 27.5 ガスこんろ 172 43.1
石油ストーブ 104 16.3 石油ストーブ 107 16.4 石油ストーブ 35 8.8
電気ストーブ 26 4.1 電気ストーブ 35 5.3 電気ストーブ 20 5.0
四輪自動車 19 3.0 四輪自動車 28 4.3 四輪自動車 15 3.8
配線器具(延長コード) 19 3.0 石油ふろがま 25 3.8 まきふろがま 13 3.2
合計 303 47.6 合計 375 57.3 合計 255 63.9

5 事故原因別被害状況

被害状況別事故原因は表25、表26及び表27のとおりです。
過去3年間に収集した事故情報(6,131件)のうち、調査の終了した4,491件について、「製品に起因する事故」によって発生した死亡又は重傷の人的被害の件数は22件で調査の終了した事故情報全体(4,491件)の約0.5%である一方、「製品に起因しない事故」は291件で約6.5%です。
「製品に起因しない事故」で死亡又は重傷の人的被害のあった事故291件のうち265件は「誤使用や不注意による事故」によるもので、死亡又は重傷の人的被害の大半を占めており、各年度ごとの発生件数をみても毎年同様の傾向を示しています。
表25  事故原因別被害状況(平成15年度収集分
被害状況
事故原因
死亡 重傷 軽傷 拡大
被害
製品
破損
被害
無し
合計
製品に起因する事故 91 212 82 12 407
18 25
13 26
小計 10 93 243 96 15 458
製品に起因しない事故 26 17 58
66 40 188 300 38 637
14 28 60
小計 70 50 210 354 62 755
原因不明 31 21 63 163 85 370
合計 102 81 366 760 243 31 1583
※:
表に示す件数は平成15年度に収集し、平成17年度までに調査の終了した事故情報1,583件に関するものです。
表26  事故原因別被害状況(平成16年度収集分
被害状況
事故原因
死亡 重傷 軽傷 拡大
被害
製品
破損
被害
無し
合計
製品に起因する事故 74 146 499 12 739
27 36
22 17 41
小計 10 81 195 518 12 816
製品に起因しない事故 32 24 66
76 37 178 326 33 655
23 11 47
小計 82 41 189 381 68 768
原因不明 36 30 81 161 156 471
合計 118 81 351 737 742 26 2055
※:
表に示す件数は平成16年度に収集し、平成17年度までに調査の終了した事故情報2,055件に関するものです。
(事故原因区分)
  1. A:専ら設計上、製造上又は表示等に問題があったと考えられるもの。
  2. B:製品自体に問題があり、使い方も事故発生に影響したと考えられもの。
  3. C:製造後長期間経過したり、長期間の使用により製品が劣化したもの。
  4. D:業者による工事、修理又は輸送中の取り扱い等に問題があったと考えられるもの。
  5. E:専ら誤使用や不注意な使い方によると考えられるもの。
  6. F:その他製品に起因しないと考えられるもの。
  7. G:原因不明のもの。
表27  事故原因別被害状況(平成17年度収集分・再掲)
      被害状況
事故原因
死亡 重傷 軽傷 拡大
被害
製品
破損
被害
無し
合計
製品に起因する事故 29 65 46 144
10 11
12 12 28
小計 32 87 58 183
製品に起因しない事故 10 20
31 15 92 240 21 399
13 20
小計 33 15 98 262 30 439
原因不明 23 11 40 105 51 231
合計 56 27 170 455 138 853
※:
表に示す件数は平成17年度に収集し、平成17年度に調査の終了した事故情報853件に関するものです。
(事故原因区分)
  1. A:専ら設計上、製造上又は表示等に問題があったと考えられるもの。
  2. B:製品自体に問題があり、使い方も事故発生に影響したと考えられもの。
  3. C:製造後長期間経過したり、長期間の使用により製品が劣化したもの。
  4. D:業者による工事、修理又は輸送中の取り扱い等に問題があったと考えられるもの。
  5. E:専ら誤使用や不注意な使い方によると考えられるもの。
  6. F:その他製品に起因しないと考えられるもの。
  7. G:原因不明のもの。

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5.事故情報収集結果等の公表

(1) 事故情報収集結果報告書

NITEでは、収集した事故情報について、必要な調査及び分析等を行い、事故動向等解析専門委員会の審議を経た後に、四半期ごとに「事故情報収集制度における事故情報の調査結果及び収集状況について」を、更に年度報告書として「事故情報収集制度報告書」を発行し、消費者、製造事業者、行政機関等に対して情報提供を行っています。
また、NITEのホームページ(http://www.jiko.nite.go.jp)にも収集した事故情報、個別事故原因及び再発防止措置等の情報を掲載して広く情報提供を行っています。

(2) 事故情報特記ニュース

事故情報の調査の結果、事故の未然・再発防止のため消費者や関係機関等に対して情報提供を速やかに行う必要があると判断した案件については、随時「事故情報特記ニュース」(特記ニュース)を発行して情報提供を行っています。
NITEでは、特記ニュースをNITEのホームページに掲載して消費者等に情報提供するとともに、消費生活センター、地方自治体、消防・警察機関、関係業界団体等(約1,200機関)に配布しています。
平成17年度は、「電気ストーブ」「電子冷蔵庫」「松下電器産業(株)に対する緊急命令」等について特記ニュースを発行して情報提供を行いました。

(3) 電子メールマガジン

情報提供の新たな方法として、平成17年7月から電子メールマガジン(製品安全マガジン:PSマガジン)を隔週金曜日に配信を開始しました。PSマガジンでは、製品安全の担当者等を対象に、NITEが収集した事故情報に基づく注意喚起、社告・リコール情報、関係機関情報などの製品安全に関する情報を製品事故の未然・再発防止の観点からタイムリーに提供しています。また、速やかな情報提供を行うために事故情報特記ニュースを発行した場合、同時に特別号を配信してより効果的な情報提供を行っています。
平成17年度は、「電子冷温蔵庫の事故について」「松下電器産業に対する緊急命令について」「電気ストーブの事故について」等の特別号を配信しました。

(4) 広報誌

NITEが取り組む製品安全業務に基づく情報を提供するとともに、広く製品安全に取り組んでおられる関係機関の方々の活動や成果を紹介し、製品安全の情報を総合的に提供するための広報誌「生活安全ジャーナル」の発刊を行うこととし、準備を行いました。
事故情報「特記ニュース」トピックス
No.66 電気ストーブ(カーボンサークルヒーター)の事故について
NITEは、綜合技研株式会社が輸入した電気ストーブ(カーボンサークルヒーター)について、製造上の不具合によりガラスヒーター管が破損し、床やカーペットを焼損する事故情報を受け付け、その調査結果等を公表しました。当該事業者は平成16年2月11日に新聞に社告を掲載し、製品の無償点検・修理を行っていましたが、東京地方裁判所の破産宣告を受け、事業者による自主的な点検・修理がなされていない状況が判明し、未回収品と思われる製品による事故が発生したことから、事故の再発防止、消費者保護を図るために、本件事故について情報提供し、事業者が行った無償点検・修理を受けていない当該製品を所有する消費者に対して、直ちに使用を中止するよう注意喚起を行いました。
No.67 電子冷蔵庫(保冷保温庫デュオ)の事故について
NITEは、株式会社サンバードオート電機が輸入した電子冷蔵庫(製品名:保冷保温庫デュオ)について、製造上の不具合によりプリント基板導電パターン部より発火した事故情報を受け付け、その調査結果等を公表しました。輸入事業者は、発売元である株式会社アムスコーポレーションと連名で新聞に社告を掲載し、製品の自主回収を行っていましたが、当該輸入事業者が民事再生手続きを経て解散し、自主回収が行われなくなりました。当該製品は電気用品安全法における電気用品の技術上の基準に適合しない箇所があり、取扱説明書の記載どおりの使用においても、安全性に疑義があることから、事故の再発防止、消費者保護を図るため、本件について情報提供し、注意喚起を行いました。
No.68 松下電器産業(株)に対する緊急命令について
松下電器産業株式会社が1985年から1992年までの間に製造した温風暖房機から一酸化炭素が漏洩する可能性があり、経済産業省は、同社に対し、平成17年11月29日付けで消費生活用製品安全法第82条の規定に基づき、該当する製品の回収又は点検及び改修、危険性の周知等必要な措置をとるよう、以下のとおり緊急命令を発動したことから、命令の対象となった製品を持ち、松下電器産業株式会社が行う点検・修理を受けていない消費者に対して同社の行う点検・修理を至急受けるように注意喚起を行いました。
No.69 電気ストーブ(カーボンサークルヒーター)の事故について
NITEは、平成17年4月にNO.66事故情報特記ニュースによって事故情報を提供し、注意喚起を行った扇風機型の電気ストーブ(カーボンサークルヒーター)によると思われる事故が暖房シーズンが到来とともに新たに発生したことから、綜合技研株式会社が行っていた無償点検・修理を受けていない当該製品を所有する消費者に対して、直ちに使用を中止するように改めて注意喚起を行いました。

(別添:平成17年度社告回収等一覧

(付属資料:表1~5 平成17年度事故情報収集結果の統計

お問い合わせ

独立行政法人製品評価技術基盤機構 製品安全センター  製品安全広報課
TEL:06-6612-2066  FAX:06-6612-1617
住所:〒559-0034 大阪市住之江区南港北1-22-16 地図