製品安全

事故情報収集制度における事故情報の調査結果及び収集状況について(平成18年度第2四半期)

平成19年2月26日
独立行政法人製品評価技術基盤機構

はじめに

独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE:ナイト)は、消費生活用製品等に関する事故情報の収集を行い、その事故原因を調査究明し、さらにその結果を公表することによって、事故の未然・再発防止を図り、国民生活の安全・安心の実現に貢献しています。

情報収集に当たっては、経済産業省が、製造・輸入事業者、地方公共団体、消費生活センター、消費者団体等に対して、事故情報をNITEに通知するよう働きかけています。

また、NITEは独自に地域関係機関から情報収集を行うともに関連する新聞情報を日々収集しています。

NITEは、これら関係機関等から通知された事故情報と自ら収集した事故情報のすべてについて、通知者、製造・輸入事業者等から事実関係等を聴取するほか、事故発生現場の確認や事故品の入手等に努めるとともに、必要に応じて事故の再現テスト等を実施して技術的な調査及び評価を行い、事故原因の究明と事業者の再発防止措置の評価を行っています。

これらの事故情報やその調査状況・調査結果は、NITEから随時経済産業省に報告するとともに、ホームページ等を通じて公表しています。また、必要な場合には経済産業省から事業者や業界に対して行政上の措置が講じられます。

本書は、こうした事故情報収集制度に基づき、平成18年度第2四半期(平成18年7月~9月)において、機構が事故情報に関し調査、確認、評価を行った上で、専門家により構成される事故動向等解析専門委員会による検討を経た結果及び機構が収集した事故情報の収集状況について取りまとめたものです。

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Ⅰ.事故情報調査結果

平成18年度第2四半期中に事故原因等の調査が終了し、事故動向等解析専門委員会の審議を終えたものは439件ありました。その内訳は、平成16年度までの収集分3件、平成17年度収集分257件、平成18年度収集分179件です。

1.製品区分別事故原因

期間中に調査が終了した事故情報を年度ごとに製品区分別、事故原因区分別に示したものが表1です。

「E.誤使用や不注意によるもの」が多く見られ、燃焼機具が大きな原因となっています。

表1 製品区分別事故原因                   (平成18年度第2四半期分)
年度 製品区分 件数(件) 合計
事故原因区分
製品に起因する事故 製品に起因しない事故 G.原因不明のもの
A.設計、製造又は表示等に問題があったもの B.製品及び使い方に問題があったもの C.経年劣化よるもの D.施工、修理又は輸送等に問題があったもの E.誤使用や不注意によるもの F.その他製品に起因しないもの
平成
16
年度
家庭用電気製品
燃焼器具
合計
平成
17
年度
家庭用電気製品 12 28 23 79
台所・食卓用品
燃焼器具 96 30 133
家具・住宅用品
乗物・乗物用品 17 32
身のまわり品
保健衛生用品
レジャー用品
乳幼児用品
繊維製品
合計 32 10 133 66 257
平成
18
年度
家庭用電気製品 15 15 14 51
燃焼器具 103 113
家具・住宅用品
乗物・乗物用品
身のまわり品
保健衛生用品
レジャー用品
合計 20 125 25 179
合計       439

2.事故原因別被害状況

期間中に調査が終了した事故情報を年度ごとに事故原因別に被害状況を整理したものが表2です。

「E.誤使用や不注意によるもの」のなかで、重大事故(死亡、拡大被害)が顕著となっています。

            表2 事故原因別被害状況                 (平成18年度第2四半期分)
被害状況
事故原因区分
人的被害 物的被害 合計
死亡 重傷 軽傷 拡大
被害
製品
破損
被害
なし
平成16年度 製品に起因する事故 A.設計、製造又は表示等に問題があったもの
B.製品及び使い方に問題のあったもの
C.経年劣化によるもの
製品に起因しない事故 D.施工、修理又は輸送等に問題があったもの
E.誤使用や不注意によるもの
F.その他製品に起因しないもの
G.原因不明のもの
合計
平成17年度 製品に起因する事故 A.設計、製造又は表示等に問題があったもの 17 11 32
B.製品及び使い方に問題のあったもの
C.経年劣化によるもの
製品に起因しない事故 D.施工、修理又は輸送等に問題があったもの 10
E.誤使用や不注意によるもの 32 78 133
F.その他製品に起因しないもの
G.原因不明のもの 32 11 66
合計 18 10 63 134 26 257
平成18年度 製品に起因する事故 A.設計、製造又は表示等に問題があったもの 13 20
B.製品及び使い方に問題のあったもの
C.経年劣化によるもの
製品に起因しない事故 D.施工、修理又は輸送等に問題があったもの
E.誤使用や不注意によるもの 33 81 125
F.その他製品に起因しないもの
G.原因不明のもの 16 25
合計 38 119 10 179

3.製品区分別再発防止措置等の実施状況

製品に起因する事故(平成17年度:44件、平成18年:25件)について、製造事業者等による事故の再発防止措置が行われたものは、平成17年度32件、平成18年度22件となっています。

事故の再発防止措置は、既に製造を終了しており、他に同種事故が発生していないものなどを除き、再発防止措置が必要と考えられるすべての事故について事業者による措置がとられています。

事故の再発防止のために実施された措置は、いくつかの措置の組み合わせで行われるのが一般的であり、実施された再発防止措置をその措置内容と製品区分別に整理したものが表3です。

 
表3 製品区分別再発防止措置等の実施状況          (平成18年第2四半期分)
年度 製品区分 実施件数 再発防止措置
製品交換、部品交換、安全点検等 製品の製造、販売又は輸入を中止 製品改良、製造工程改善、品質管理強化等 表示改善、取扱説明書見直し 消費者への注意喚起 被害者への個別措置
平成
17
年度
家庭用電気製品
台所・食卓用品
燃焼器具
家具・住宅用品
乗物・乗物用品 17 17 17 17 17
合計 32 29 21 27 30
平成
18
年度
家庭用電気製品 17 13 16 16 17
家具・住宅用品
乗物・乗物用品
身のまわり品
保健衛生用品
合計 22 18 18 21 22
注:
事故の発生に対して取られた複数の再発防止措置をそれぞれの措置ごとに集計。
個別措置のみのものを除く。

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Ⅱ.事故情報収集状況

1.事故情報収集件数

平成18年度第2四半期中に収集した製品事故の情報のうち、同一の製品事故に対して複数の情報源から通知(報告)された重複情報を除いた事故情報収集件数は665件でした。

2.製品区分別事故情報収集件数

事故情報の情報源別の収集件数は、表4のとおりです。

製品区分別の事故情報収集件数は、表5に示すとおり「家庭用電気製品」の収集件数が最も多く、次いで「燃焼器具」が主な製品です。

上位2製品区分に係る事故情報の合計は485件で、収集した事故情報に占める割合は、約73%となっています。

表4情報源別事故情報収集件数
(平成18年度第2四半期分)
情報源 件数及び割合
当機構(新聞情報) 295 44.4%
製造事業者等 195 29.3%
消費生活センター等 67 10.1%
自治体(消防機関含む) 43 6.5%
国の機関 27 4.1%
消費者 19 2.8%
その他 19 2.8%
合計 665 100.0%
表5製品区分別事故情報収集件数
(平成18年度第2四半期分)
順位 製品区分 件数及び割合
家庭用電気製品 274 41.2%
燃焼器具 211 31.7%
乗物・乗物用品 66 9.9%
家具・住宅用品 38 5.7%
身のまわり品 22 3.3%
レジャー用品 17 2.6%
繊維製品 13 2.0%
台所・食卓用品 10 1.5%
保健衛生用品 9 1.4%
10 乳幼児用品 5 0.7%
合計 665 100.0%

3.品目別事故情報収集件数

事故情報を品目別に分け、収集件数の多い順に示したものが表6です。

「ガスこんろ」(火災)の収集件数が最も多く全体(665件)の約6分の1を占めています。

「シュレッダー」については、幼児の指切断事故が相次いで発生したことから、経済産業省が業界団体に対し同種機種事故発生件数の調査、報告を要請したことに基づき、事業者からの通知(27件)が加わりました。

表6 事故情報上位5品目
平成18年度第2四半期
(事故情報収集件数 665件)
順位 品目名 件数 割 合
ガスこんろ(※) 116 17.4%
四輪自動車 46 6.9%
エアコン 35 5.3%
シュレッダー 29 4.4%
ふろがま 20 3.0%
合計 246 37.0%
※:ガス種別内訳は次のとおりです。
LPガス用
3件
都市ガス用
3件
不明
110件

4.被害状況

事故の被害状況は、表7のとおりです。

人的被害の発生した事故情報は237件で、その内訳は、死亡事故40件、重傷事故55件、軽傷事故142件です。

また、人的被害はなく、火災の発生や製品周辺に被害が広がる等の拡大被害が発生したものは257件でした。

表7 製品区分別被害状況                  (平成18年度第2四半期分)
製品区分 被害状況
件数
人的被害 物的被害 被害なし
死亡 重傷 軽傷 拡大被害 製品被害
家庭用電気製品 274 26 36 134 73
燃焼器具 211 17 51 106 21
乗物・乗物用品 66 13 39
家具・住宅用品 38 15
身のまわり品 22 10
レジャー用品 17
繊維製品 13 11
台所・食卓用品 10
保健衛生用品
乳幼児用品
合計 665 40 55 142 257 156 15

5.社告状況

今期間中に、製造事業者等から製品の欠陥や不具合による事故の発生を防止するための社告が36件、47事業者から行われ、「浴室暖房乾燥機」「ガス給湯器」「シュレッダー」「ノートパソコン用バッテリー」「照明器具」などの製品について、回収、交換等の措置がとられています。

(別添:平成18年度第2四半期社告回収等一覧表

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おわりに

製品事故に対する社会の関心の高まり、関係者のご協力により事故情報収集件数が前年同期比で拡大(前年同期430件)しています。このうち、今期の特徴は次のとおりです。

1.事故情報調査結果について

第2四半期に調査の終了した439件の事故情報で、原因不明を除く事故原因が判明した348件のうち、69件が「製品に起因する事故」でした。「製品に起因する事故」に関しては、再発防止措置が必要と考えられるすべてのものについて、製造事業者等による消費者への注意喚起、製品交換、製品の改良などの措置がとられています。

特に、「自転車」「直流電源装置」「照明器具(天井つり下げ型)」は、それぞれの製品の製造・販売事業者が新聞紙上に社告を行い回収に努めています。

他方、「製品に起因しない事故」279件のうち、「誤使用や不注意によるもの」が約93.2%、260件ありました。

「ガスこんろ」を使用中にその場を離れ、天ぷら油やなべが過熱して火災に至ったもの、「石油ストーブ」の上部に干していた洗濯物が落下して火災に至ったもの、「石油ストーブ」の火をつけたまま給油中に灯油がこぼれて火災に至ったもの、「電気ストーブ」を付けたまま就寝してしまい、就寝中にふとんなどが電気ストーブに接触したため火災に至ったものなど、調理器具や暖房器具による事故が多く見られました。

2.事故情報収集状況について

第2四半期に収集した事故情報については、「ガスこんろ」「四輪自動車」「エアコン」が関係する事故が多数収集されたほか、製造事業者等からは、製品の欠陥や不具合による事故が多発した「ゆたんぽ(電子レンジ加熱式)」「電気こんろ」等に関して、拡大被害や人的被害が発生する可能性のある情報が報告されました。

(問い合わせ先)
独立行政法人 製品評価技術基盤機構
生活・福祉技術センター 製品安全企画課
電話
06-6942-1113

◇当四半期において調査が終了した事故情報を含む、平成16年度、平成17年度、平成18年度の製品区分別被害状況、製品区分別事故原因、事故原因別被害状況、製品区分別再発防止措置等の実施状況を別表1から別表12に示しております。ご参照ください。

別表1 製品区分別被害状況

別表2 製品区分別事故原因

別表3 事故原因別被害状況

別表4 製品区分別再発防止措置等の実施状況

別表5 製品区分別被害状況

別表6 製品区分別事故原因

別表7 事故原因別被害状況

別表8 製品区分別再発防止措置等の実施状況

別表9 製品区分別被害状況

別表10 製品区分別事故原因

別表11 事故原因別被害状況

別表12 製品区分別再発防止措置等の実施状況

お問い合わせ

独立行政法人製品評価技術基盤機構 製品安全センター  製品安全広報課
TEL:06-6612-2066  FAX:06-6612-1617
住所:〒559-0034 大阪市住之江区南港北1-22-16 地図