化学物質管理

CMC letter No.2(第2号) - [巻頭言]NITE 化学物質管理センターへの期待

獅山 有邦 経済産業省 製造産業局 化学物質管理課長 獅山 有邦
経済産業省 製造産業局
化学物質管理課長

NITE 化学物質管理センターにおかれましては、日頃から化学物質管理行政の実施面に関して多大なるご貢献をいただき感謝しています。

NITEは、平成13年に、経済産業省製品評価技術センターの事業を引き継いで独立行政法人として発足し、以後、経済産業政策の技術面の実施機関として化学物質管理、バイオテクノロジー、適合性認定、生活安全分野における広範な事業に取り組まれ、その成果は、独立行政法人評価委員会をはじめ内外に高く評価されているところです。

とりわけ、化学物質管理センターは、国民の安全・安心にかかわる化審法、化管法の施行について経済産業省、厚生労働省、環境省と連携しながら技術面からのサポートをするとともに、知的基盤整備の一環として化学物質安全にかかわる専門的で膨大な情報の整理及び化学物質リスク評価を行い、これらをかみ砕いてわかりやすく提供してこられました。この結果、化学物質管理センターは、我が国化学物質管理行政にとって、技術面、情報面の中核的機関としてなくてはならない存在に成長し、また、国際機関においてもその活動が認知されるようになりました。

これは、安全・安心にかかわる広範な技術・膨大な情報について、常に信頼性を確保しつつ迅速に対応するという極めて困難で矛盾するニーズに応えられるさまざまな分野の知識・経験を有する職員皆さんの組織力が基本にあること、また、化管法施行当初からのPRTRデータの整理とそれを活用したリスク評価や管理の研究など、関係民間企業・団体等とのきめ細かなやりとりをベースにしつつ、世界的なリスクベースの化学物質管理への流れに合致する取り組み・成果を着実に実行されてきたことによると思っています。

しかしながら、今日、我が国の内外を取り巻く経済・社会状況を見ると、少子高齢化社会の到来、国際分業の進展等による産業構造の変化、中国やインドといったアジア諸国の成長に伴う国際貿易・市場の変化などが現実のものになっており、世界的規模で進展する情報ネットワーク化・高度工業化社会の到来と相俟って、従来の経済・社会システムの根幹に関わるような変化が進んでいます。 これらを背景とした化学物質を巡る近年の環境変化としては、政策領域の拡大について、(1)化学産業だけの問題からサプライチェーン全体へ(横軸の拡大)、(2)ハザードベースの規制からリスクベースでの管理へ(縦軸の深化)、(3)新規化学物質届出等の増大化(イノベーションの進展及び官民コスト増)、(4)新たな課題の出現(ナノ粒子等の新たなテクノロジーへの対応)、国際動向への対応について、(5)国連主導の国際的な化学品分類調和システムへの対応、(6)欧州REACH、米国TSCA、中国化審法等他国類似制度への戦略的対応、(7)WSSD 合意(化学物質による著しい悪影響を2020年までに最小化)とそのための世界的アプローチとしてのSAICMの採択があげられます。

経済産業省としては、これらの環境変化に鑑み、改めて、我々の社会・暮らしに不可欠な「化学物質」の安全・安心の確保と、国内外の経済社会の持続可能な発展を目的に、更なる安全・安心の追求、国際的制度調和への対応、合理的な規制体系の追求、新規化学物質開発に係るイノベーションの加速化等の観点から化学物質政策の今後のあるべき姿についての論点を整理するため、本年5月に産業構造審議会化学物質政策基本問題小委員会(委員長:中西準子(独)産業技術総合研究所化学物質リスク管理研究センター長)を設置し、検討を開始したところです。この成果は、今後予定されている2007年以降の化管法見直し、2009年以降の化審法見直しをはじめ、WSSD合意の対応に向け、中長期的政策展開に反映していきたいと考えています。

申すまでもなく、これらの最近の環境変化の対応については、政府自身の信頼性や実行可能性の確保が前提になって、広範なステークホルダー間の情報共有や事業者におけるリスク評価管理・削減がなされるものであり、海外における制度設計の議論においても政府機関の実行面の検討とその技術的解決が必要であるとの指摘があります。

すでに、化学物質管理センターは政策の実施機関として、リスク評価を実施する組織の構築、化審法審査支援体制の強化、化学物質の有害性に関するQSARの開発を目指した検討、GHS分類DBの構築と情報提供など、いくつかの課題に先取の意識でもって対応を進めておられます。

これらの活動を進める化学物質管理センターの技術力はまさに我が国の中核機関にあたるものと評価しており、今後は、より一層技術力の高度化を図るとともに関係機関との連携体制を緊密にし、政策課題の解決に向けて検討をすすめてその成果ひとつひとつが政策現場に生かされることを期待しています。

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