化学物質管理

CMC letter No.4(第4号)- [化学物質管理センターからのお知らせ]

「身の回りの製品に含まれる化学物質シリーズ」
化粧品・塗料(家庭用)・接着剤(家庭用)を発刊しました。

私たちは朝起きてから、夜寝るまで(寝ながらも)さまざまな製品を利用しています。

また、その使用に当たっては、特に製品の特徴や性質を意識しなくても、さらに、それらの製品が化学的に、どんな成分でできているかなどを知らなくても、上手に使いこなしながら、毎日の生活を送っているのではないでしょうか。

しかし、もう少し製品の特徴や成分を知っていれば、さらに便利に使うことができ、もしかすると、問題が起こっていないだけで、知らず知らず、適切な使い方をしていない可能性もあります。

身の回りの製品におけるトラブルは、それが日常に使う用品であるだけに小さいものから人命にかかわるものまで、多種多様なものが生じています。もし、もう少しこれらの製品に対する知識があれば、回避できたトラブルも多いのではないでしょうか。

また、トラブルが起こってしまった時、何が問題なのかを探る手がかりとして、まったく知識がないところから調べるよりは、その商品の特徴や成分を知っていた方が、より誤解もなく、適切な対策を講ずることができます。

また、それらの成分について知識をもっていれば、用途に応じ、適切な商品選択ができ、消費生活にも大いに役立つことでしょう。

そこで、当センターは、私たちの身の回りにある製品に使用されている化学物質について、正しく理解していただき、より安全・安心に使用するための糸口になればと考え、ホームページにおいて、「塗料」、「家庭用接着剤」、「建材用接着剤」、「洗剤」、「殺虫剤等」、「化粧品」、「食器」、「子供用おもちゃ」、「繊維製品」について、それぞれ、(1)製品の概要、(2)種類、(3)成分、(4)関係するおもな法律、をわかりやすく解説してきました。

http://www.safe.nite.go.jp/shiryo/product/productinfo.html

なお、ここで示している成分は個々の製品に関する組成ではなく、その種類の製品に使われている主な化学物質を載せています。個々の製品の具体的な化学成分を知るには、その製品の製造者に確認する必要がありますが、「身の回りの製品に含まれる化学物質シリーズ」からでも、おおよそですが、成分を知ることができます。

具体的な成分(化学物質名)を知ることができれば、当センターのホームページで公開しているデータベース「化学物質総合検索システム(CHRIP)」を利用して、より詳しい情報を入手することができます。

今回は、そのうち、「塗料」、「家庭用接着剤」、「化粧品」をリニューアルしました。内容を、簡単に紹介しましょう。

化粧品のイメージ図 化粧品が「具体的に何の目的で使用するのか、それはどんな作用をしているのか」など知らずに、なんとなく「使用すると良いような気がするので使用している」のではないでしょうか。

具体的に「化粧水」とは何かと聞かれた時、明確な解答ができるでしょうか。真水と化粧水は違うということはわかっても、真水との違いが「色がついているからとか、香料が入っているから」ではないことは、漠然とは知っていても、「化粧水」とはどういう液体を言うのかは明確に答えるのは難しいかもしれません。

さらに、化粧水と美容液の違いはというともっと難しくなるでしょう。

皮膚に水分や保湿分を求めるなら化粧水でよいのですが、皮膚をしっとりやわらかく整えるのであれば美容液となります。化粧水にするべきか美容液にするべきか、両方必要なのか選択するには、それぞれの特徴を正しく知っていないと良い選択ができません。

塗料のイメージ図 次に、塗料について、見てみましょう。

日曜大工で犬小屋を作り塗装し、残った塗料で家内のトイレのドアも塗り替えようかとした時、前もって、塗料の種類や選択の仕方について知っていれば、快適に作業ができ、作業後も周囲への影響が少なく、ドアも犬小屋もきれいになることでしょう。

しかし、選択を誤るといつまでも溶剤臭が残ったり、ひどい場合は自分や家族が体調を崩したりするかもしれません。塗料にはどのような種類があるのか、どのような成分が含まれているか、環境や人に影響の少ない塗料は何か、など、正しく知ってもらうことが正しい選択の第一歩です。

今回のリニューアルは、このように解説の充実とともに、挿絵を多く盛り込み、化学が専門ではなくても、わかりやすく理解しやすいよう工夫しました。

リニューアルされた「塗料」、「家庭用接着剤」、「化粧品」についてはインターネットでの公開だけでなく、「塗料(家庭用)」、「接着剤(家庭用)」、「化粧品」としてコラムも盛り込んだ冊子(B5版)も準備しております。

しかし、印刷部数が限られていますので、ホームページのPDF版から印刷していただけば冊子と同じ物が作成できます。残りの5製品につきましても、順次、リニューアルの予定でおりますので、よろしくご活用ください。

詳しいお問い合わせは、当センター情報業務課まで。

リニューアルされた「化粧品」「塗料(家庭用)」「接着剤(家庭用)」の冊子

ページトップへ

「ECO-Manufacture2006」及び「エコプロダクツ2006」に出展しました。

nite化学物質管理センターは、これまで、企業や行政の担当者などの皆様を対象に展示を行ってきました。今回は、それらのお客様に加え、化学物質管理において、重要な主体と位置づけられている市民や児童、生徒の皆さんに対して、当センターの業務や化学物質管理制度に関する広報を行いました。

ECO-Manufacture2006(略称ECOMA)

会場
:パシフィコ横浜(横浜市)
日程
:平成18年11月29日(水)~12月1日(金)

エコプロダクツ2006(略称エコプロ)

会場
:東京ビッグサイト 東展示場 1~4ホール
日程
:平成18年12月14日(木)~16日(土)

nite展示ブース ブースでは、パネルやパソコンによるCHRIPやPRTR排出源マップの展示、パンフレットの配布などを行い、職員と訪れたお客様とのコミュニケーションを図りました。

REACHなどによる欧州化学物質規制が目前となり、化学物質の有害性などの情報の入手に関してお尋ねになる企業関係者の方も多く、化学物質管理への関心の高さが伺えました。しかし、同時に実施したアンケート調査によると、nite化学物質管理センターの認知度は、約50%と低いことやホームページの閲覧についても、閲覧経験がある人が約40%であり、化学物質総合管理のナショナルセンターとしてのさらなる広報が必要であることが明らかとなりました。

当センターの業務の一つに、リスクコミュニケーションの普及促進があります。その検討において、一般市民の化学物質に関するマイナスイメージの強さが指摘されており、科学情報を読み解く力(リテラシー)の向上のためには、児童、生徒の皆さんへの科学や環境教育が重要であるとも言われています。

そこで、エコプロでは、(社)日本環境教育フォーラムと協働して、ローレンスホール科学教育研究所(米)のプログラムGEMS(Great Explorations in Math and Science)の一つである「化学反応」に、化学物質の安全管理の視点を加えた児童、生徒向けの実験プログラムを準備しました。併せて、化学物質管理に関するわかりやすい説明パネルを作成し、化学物質管理に関する科学(環境)教育を試みました。

実験は、ビニール袋中で、重炭酸ナトリウム(重曹)と塩化カルシウムを混ぜ、炭酸カルシウム(チョークの原料)を生成する実験を素材に、発熱、フェノールレッドによるpH変化の確認、二酸化炭素の発生などを体験し、併せて、化学反応による新たなものづくりとそのための化学物質管理の重要性を学ぶものです。

エコプロでの児童・生徒向けの実験プログラム 期間中、niteの地元である渋谷区立代々木中学校を始め、中学校9校、小学校2校、その他ご家族連れなど、68名の皆さんにご参加いただきました。子どもたちは、熱心に実験に取り組み、それぞれの変化に対する驚きを素直に表現しているのが印象的で、化学物質管理に関する教育の可能性を確認することができました。

リスクコミュニケーションは難しいもの、との声を聞くことが多い昨今ですが、「特集・2」に示したように、説明会ばかりではなく、このような児童、生徒向けの出前授業や工場見学を地域との繋がりにおいて、うまく組み合わせている事例も多く見られます。子どもたちやその保護者を通じて、企業の化学物質管理の考え方を地域に発信していくことも、地道なリスクコミュニケーションの取り組みの一つではないでしょうか。

ページトップへ

平成19年度第1回少量新規化学物質の申出手続について(化審法)

『少量新規化学物質申出』とは、通常新規化学物質の届出の特例として、製造・輸入数量の総量が年間(4月1日から翌年3月31日までの単年度)1トンを超えない範囲で確認を受けるために行う(「少量新規化学物質の製造等に係る確認」)申出です。申出された化学物質については、化学物質ごとの製造・輸入数量の合計量が年間1トンを超えない範囲で確認が行われます。申出期間は年度内に4回(第1回:1月20~30日、第2回:6月1~10日、第3回:9月1~10日、第4回:12月1~10日)ありますが、各年度の第2回目以降の申出時において、すでに1トン確認を受けている化学物質については確認はされません。本申出は、製造又は輸入しようとする年度ごとに申出が必要となりますので注意してください。申出者は確認通知書を受け取った日から年度内に限り製造又は輸入が可能となります。また、確認後にその名称は公表されません。申出手続きは、電子化と書類による2種類の方法がありますが、その詳細は、niteのホームページにも掲載されていますのでご参照ください。

http://www.safe.nite.go.jp/kasinn/kaisei/kaiseikasinhou08.html

少量新規化学物質の申出・確認の流れ

ページトップへ

英文誌「Accreditation and Quality Assurance」に論文が掲載されました。
Determination of the purity of acidimetric standards by constant
・current coulometry, and the intercomparison between CRMs

標準物質は、化学分析・計測を行うときに信頼性のあるデータを得るための基準となる物質で、研究、環境分析、品質管理、商取引などでも重要な役割を果たします。nite化学物質管理センター計画課標準物質室では、標準物質の整備に関する業務を行っています。その成果として、英文誌「Accreditation and Quality Assurance」に容量分析用標準物質の開発に関する論文が掲載されました。これは、酸化還元滴定を用いる標準物質のうち、よう素酸カリウムの純度を電量滴定で値を決定したチオ硫酸ナトリウムを用いて決定し、同時に二クロム酸カリウムを用いて方法の妥当性確認を行ったものです。電量滴定は、電気をベースとした分析法であり、電気量の計測によって直接純度を決定可能で、高い精度、精確さを有しています。

Springerhttp://www.springer.com/オンライン掲載(Nov.15,2006)

ページトップへ

日本環境化学会誌(【環境化学】)に論文が掲載されました。
化学物質の初期リスク評価手法の開発(3)
—プレ・スクリーニング手法の開発と初期リスク評価結果による検証—

リスク評価課が行っている「化学物質のリスク評価及びリスク評価手法の開発」プロジェクトの成果の一部が論文として掲載されました。

この研究は、PRTR対象物質の初期リスク評価を効果的に実施するため、評価の優先順位づけを行う方法を提案するものです。化学物質の有害性の強さとPRTR排出量を暴露の程度として評点化し、その積で優先度をつけています。

PRTR対象物質の初期リスク評価結果により検証すると、優先度評点との対応関係が極めて良好であり、簡易リスク評価手法として一般的に適用できるものと考えられています。

環境化学 Vol.16,No.4,pp.585-603,2006

ページトップへ

nite化学物質管理センターHPの更新情報

2006/12/26
:<第11回GHS分類結果公表>88物質分の分類結果を公表しました。
2006/12/26
:<参考資料>GHS分類結果に対するコメント及び修正状況まとめシートを掲載しました。
2006/12/25
:厚生労働省医薬食品局、経済産業省製造産業局及び環境省総合環境政策局から平成18年12月21日に「平成19年度第1回少量新規化学物質の申出手続について」が公表されました。
2006/12/21
:「身の回りの製品に含まれる化学物質」の塗料、家庭用接着剤、化粧品の解説をリニューアルしました。
2006/12/4
:「リスク評価体験ツール」の機能を一部変更しました。
2006/11/30
:<第10回GHS分類結果公表>76物質分の分類結果を公表しました。
2006/11/27
:「平成17年度PRTR対象物質の取扱い等に関する調査報告書」を公開しました。
2006/11/27
:『「中間物等に係る事前確認の申出」に係る年間予定について』が公表されました。
2006/11/10
:平成18年11月10日に、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律第4条第1項第3号に該当するものであると判断された新規化学物質の名称(いわゆる「白」物質)が新たに197物質公示されました。
2006/11/1
:「GLP試験施設一覧」を更新しました。

お問い合わせ

独立行政法人製品評価技術基盤機構 化学物質管理センター
TEL:03-3481-1977  FAX:03-3481-2900
住所:〒151-0066 東京都渋谷区西原2-49-10 地図
お問い合わせフォームへ