製品安全

平成11年度の事故情報収集制度に基づく事故情報の収集結果について

平成12年 7月 3日
通商産業省産業政策局製品安全課
通商産業省製品評価技術センター

1.事故情報収集制度について

本制度は、消費生活用製品の欠陥等によって人的被害が発生した事故、人的被害が発生する可能性がある物的事故及びこれらの事故を生ずる可能性の高い製品の欠陥に関して情報を収集するとともに、その内容の調査、検討及び公表を行うことを通じて消費生活用製品の安全対策のために必要な施策の充実並びに事故の未然防止及び再発防止に資することを目的として、昭和49年10月に発足した制度であり、事故防止及び被害者救済のための総合製品安全対策の一翼を担っている。

具体的には、通商産業省所掌の消費生活用製品を対象に、消費者団体、地方自治体(都道府県、市町村等)、消費生活センター、製造事業者及び流通業界、製品安全協会、報道機関、警察署・消防署、病院及び一般消費者等の協力を得て、製品事故に関する情報収集を行っているものである。また、平成6年8月から「フリーダイヤルファクシミリ(0120-232529:ツウサンジコツイキュウ)」を製品評価技術センター(以下、評価センターという。)に設置し、一般消費者等からの事故情報の収集を強化している。

収集した事故情報は、評価センターで内容を整理・分析し、また事故原因の解明のためのテストが必要と判断したものについては評価センターにおいて事故情報処理テストを実施し、通商産業省は、その結果に基づき、製造事業者等に対し再発防止策を講ずるよう指導する等、所要の行政上の措置を行っている。

また、これらの事故情報については、その動向を分析・整理の上、評価センター内に設置されている学識経験者、消費者団体、検査団体等で構成される事故動向等解析専門委員会(平成6年度より開催、以下「事故動向委」という。)における検討を経て、定期的に情報提供を行っているものである。

なお、平成12年度からは、事故動向委の下に、技術分野別に事故原因技術解析ワーキンググループ(4グループ)を設置し、個別事故案件の原因を専門技術的観点から分析、また、個別技術課題への提言等を行い、事故動向委事業等の効率的な推進に資することとしている。

〔参考〕事故情報収集制度の概要等
事故情報収集制度の概要・体系図は、別添参考1-1及び1-2【gif:22KB】通商産業省事故情報収集制度の概要及び体系図【gif:22KB】)に示す。

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2.情報提供内容等の充実・強化

(1) 事業者名、銘柄及び型式に係る情報の追加的提供

平成8年度分から、消費者の生命又は身体に係わる事故の防止に一層遺漏無きを期する観点から、事故の原因が製品に起因する事例について、当該製品を特定できる情報(当該製品の製造事業者名、銘柄及び型式)を提供し、消費者の注意喚起を図ることとした。

事故の原因が製品に起因すると認められる場合とは、具体的には以下のとおりである。

  1. ①製造、販売の時点から製品自体に問題のあるもの
    A:
    専ら設計上、製造上又は表示等に問題があったと考えられるもの
    B:
    製品に問題があり、使い方も事故発生に影響したと考えられるもの
  2. ②製造・販売時には製品に問題はないが、製造後長期間経過したり、長期間の使用により性能が劣化したものと考えられるもの

なお、その販売分の中には、情報提供時点で既に再発防止措置を講じたものも含まれること、また、情報提供が事業者の法的責任を予断するものではないことに留意されたい。

(2) より機動的な情報提供の実施

  1. ①平成9年度分から、事故の原因等の調査を終了し、所要の手続きを終えたものについては、年1回の本報告書による情報提供に加え、消費者行政ニュース(消費経済課から発行)を活用し四半期毎の情報提供を行っている。
    ただし、重大事故(死亡又は重度障害に結びつき得るもの)については、上記の基準に該当することが確認された後、可及的速やかな公表による情報提供を行っている。
  2. ②さらに、平成11年11月から、上記①による冊子による四半期毎の事故情報提供に加え、事故原因の分析調査が終了した事故事例から随時インターネットホームページにより事故情報、社告情報等を提供する「事故情報のページ」(http://www.jiko.nite.go.jp)を開始した。
    また、平成12年6月15日から、同「事故情報のページ」上に原因究明機関ネットワーク参加機関(企業)を検索機能付きで掲載している。

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3.平成11年度事故情報の収集結果について

(1) 概況

  1. ①平成11年度第4四半期(1~3月)の事故情報通知件数は計465件(11年度累計1,132件)で、5月末までに調査が終了し、その後所要の手続きを終えた案件は312件(11年度累計797件)あり、調査中のもの167件を含めた平成11年度分を本報告書で情報提供することとした。
  2. ②平成11年度の事故情報総通知件数は、「1,132件」であったが、このうち「交通事故」等の本制度の製品事故に該当しないもの及び重複情報の168件を差し引いた残りの「964件」が実質的な事故情報収集件数となった。
    この収集件数は、前年度より約5%の減であり、その主な要因は、消費生活センター等からの通知が64件減少したためと見ることができる。
    商品分類別では、燃焼器具、家庭用電気製品、乗物・乗物用品の順となり、10年度同様、燃焼器具の比率が高くなっている。

(2) 事故情報通知者の状況

事故情報総通知件数1,132件の情報通知者の状況は、図-1のとおりである。

図-1 事故通知者の状況

図-1より、事故情報通知者の内訳は、「製品安全協会」(60.0%)からの情報通知が最も多く、「消費生活センター」(16.9%)と合わせて全体の約77%を占めた。次いで、「製品評価技術センター」(9.9%)、「製造事業者等」(5.4%)、「地方自治体」(3.6%)、「通産省消費者相談室」(2.4%)、「消費者(個人)」(1.0%)、「その他」(0.8%)の順になっている。

このうち、製品安全協会については、通商産業省が事故情報収集の強化の一環として、同協会に委託し平成7年から全国47都道府県に配置している事故情報モニターからの事故情報収集を積極的に展開しており、情報通知件数が前年度(674件)に比べて増加(680件)した。その反面、消費生活センターからの事故通知件数は、前年度(255件)に比べて減少(191件)している。

なお、事故の情報が前年度に比べ減少していることについては、事故の減少が必ずしも事故全体の減少傾向を示すものではないことに留意する必要がある。

また、フリーダイヤルファクシミリを利用した事故等の通知件数は、前年度の51件に対して39件と減少した。

(3) 商品分類別の事故通知件数

表1【gif:25KB】及び表1参考図【gif:21KB】参照)

商品分類別にみた事故通知件数及び割合は、図-2のとおりである。

図-2 商品分類別の事故通知件数及び割合

図-2より、商品分類別にみると、通知件数の多い商品は、「燃焼器具」(37.2%)及び「家庭用電気製品」(27.8%)で、合わせて全体の65%を占めている。次いで、「乗物・乗物用品」(17.4%)、「身のまわり品」(5.3%)、「レジャー用品」(2.9%)、「家具・住宅用品」(2.7%)、「保健衛生用品」(2.1%)、「台所・食卓用品」(2.0%)、「乳幼児用品」(1.0%)、「繊維製品」(1.0%)等となっている。

(4) 被害の状況

表2【gif:18KB】参照)

製品事故は、被害状況より大別して「人的被害の発生した事故」と「人的被害の発生しなかった事故」に分類される。

人的被害の発生した事故は、「死亡事故」、「重傷事故」、「軽傷事故」に分類され、一方、人的被害の発生しなかった事故は、「拡大被害」(他の製品に被害が拡大したもの)、「製品破損」(製品破損のみにとどまったもの)、「特に被害なし」に分類される。

被害の状況は、図-3のとおりである。

図-3 被害状況

図-3より被害状況についてみると、人的被害の発生した事故は、393件と事故通知件数の40.8%、物的被害のみ発生した事故は、546件と事故通知件数の56.6%を占めている。

①人的被害の発生した事故

人的被害の発生した事故(死亡、重傷、軽傷)については以下のとおりとなっている。

a「死亡事故」

死亡事故は100件あり、商品分類別にみた死亡事故発生状況は、「燃焼器具」(59%)が最も多く、次いで「家庭用電気製品」(20%)、「乗物・乗物用品」(10%)、「レジャー用品」(7%)、の順となっている。

死亡事故の内容を見ると、

「燃焼器具」では、石油ストーブ、ガスコンロ等が火元と見られる火災で焼死する事故が多くあった。また、石油ファンヒーター、石油こんろ等による死亡の事故もみられた。

「家庭用電気製品」では、電熱器具による事故が集中し、その中で、配線器具(延長コード)、電気ストーブ、電気こたつ等が火元と見られる火災による焼死が目立った。

「乗物・乗物用品」では、四輪自動車、乗車用ヘルメットに係る事故がみられた。

「レジャー用品」では、例年同様、釣り竿による感電死がみられた。また、パラグライダーでの落下事故も見られた。

b「重傷事故」

重傷事故は52件あり、商品分類別にみた重傷事故発生状況は、「乗物・乗物用品」(27%)、「燃焼器具」(25%)が多く、次いで「家具・住宅用品」(13%)、「身のまわり品」(10%)、「家庭用電気製品」(8%)、「乳幼児用品」(6%)、「保健衛生用品」(6%)の順となっている。

重傷事故の内容をみると、

「燃焼器具」では、石油ストーブからの発火による火災で火傷を負った事故、石油ファンヒーターによるCO中毒事故、石油ストーブに給油中に引火して火災が発生し火傷を負った事故が特に目立った。カセットこんろからの出火、携帯用ガスバーナーにたき火で点火しようとして火傷した事故もみられた。

「乗物・乗物用品」では、自転車で走行中、ハンドルロック装置が動作したり、ハンドルが緩みコントロールできなくなり転倒した事故、クイックレリーズハブの緩みによる脱輪事故、突然前輪がロックし重傷を負った事故が目立った。

「家庭用電気製品」では、電気こんろで調理中にその場を離れている間の火災で火傷を負った事故、白熱灯器具のガラスカバーの厚さが不均一で割れ、手を切った等の重傷事故がみられた。

「家具・住宅用品」では、金属製脚立からの転落による打撲、骨折事故等が多くみられた。その他、洗面台が割れ、手を切った事故、踏み台からの転倒事故がみられた。

「身の回り品」では、簡易ガスライターによる重度の火傷事故が目立った。その他、筆入れの鉛筆による事故が見られた。

「保健衛生用品」では、電気マッサージ器に挟まれた事故、電気健康器による火傷事故が見られた。

「乳幼児用品」では、自転車用幼児座席使用中に足を挟まれた事故、ハイチェアーからの転落事故等が見られた。

「その他」では、除雪機による身体の損傷事故があった。

c「軽傷事故」

軽傷事故は241件あり、商品分類別にみた軽傷事故の発生状況は、「燃焼器具」(40%)が最も多く、次いで「身のまわり品」(15%)、「家庭用電気製品」(14%)、「乗物・乗物用品」(11%)、「家具・住宅用品」(5%)、「レジャー用品」(4%)、「台所・食卓用品」(4%)、「繊維製品」(3%)、「保健衛生用品」(2%)、「乳幼児用品」(2%)の順となっている。

軽傷事故の内容をみると、

「燃焼器具」では、石油ストーブによる火傷が最も多く発生しているほか、ガス湯沸器、ガスふろがま、ガスこんろ、カセットこんろ等による火傷又は一酸化炭素中毒事故がみられた。

「身のまわり品」では、簡易ガスライターによる火傷等が最も多く、その他では湯たんぽ(電子レンジ加熱用)による火傷等がみられた。

「家庭用電気製品」では、配線器具、電気ストーブからの火災による火傷事故、空気清浄機から湯の飛び出しでの火傷事故、ヘアドライヤーからの発火等による火傷事故がみられた。

「乗物・乗物用品」では、四輪自動車の火災による火傷、自転車(折り畳み式を含む。)のフレームの折損、車輪のロックによる転倒事故が目立った。

「保健衛生用品」では、スプレー消臭剤、保冷剤が目に入って炎症を負った事故、はさみの製造不良により肌に傷つけた事故、電気脱毛器による火傷事故が見られた。

「レジャー用品」では、玩具(花火)による火傷事故、蓄圧式噴霧器の破裂による手等の切り傷が見られた。

「台所・食卓用品」では、鍋、フライパン、調理用カッターなどの調理器具による火傷等が見られた。

「家具・住宅用品」では、金属製脚立からの転落による打撲等がみられた。

「繊維製品」では、ダウンジャケット、パジャマによるかぶれ、こたつ布団、枕内の針がささる等の軽傷事故が目立った。

「乳幼児用品」では、自転車用幼児座席の使用時に、足を挟む事故、ハイチェアーの転倒事故がみられた。

②人的被害の発生しなかった事故

人的被害の発生しなかった事故については、次のとおりである。

a「拡大被害」

拡大被害は358件で、商品分類別にみた拡大被害の発生状況は、「燃焼器具」(49%)及び「家庭用電気製品」(40%)で全体の89%を占めた。次いで、「乗物・乗物用品」(4%)、「保健衛生用品」(2%)の順となっている。

被害の内容をみると、

「燃焼器具」では、石油ストーブ及びガスこんろによる家屋火災が多くみられたほか、石油ファンヒーター、ガス及び石油ふろがま、まきふろがま、石油給湯器等からの延焼による拡大被害がみられた。

「家庭用電気製品」では、アイロン、エアコン、オイルヒーター、カラーテレビ、電気こんろ、冷蔵庫、屋内配線、温水洗浄便座、室内灯、電気カーペット、電気こたつ、電気ストーブ、配線器具等、幅広い商品にわたって、延焼による拡大被害が多くみられた。

「乗物・乗物用品」では、四輪自動車の火災事故によるものが多くみられた。

「保健衛生用品」では、スプレー缶の破裂による室内汚染が多くみられた。

b「製品破損」

製品破損は188件あり、商品分類別にみた製品破損の発生状況は、「乗物・乗物用品」(53%)、「家庭用電気製品」(33%)に多く発生しており、次いで、「燃焼器具」(5%)の順となっている。

製品破損の内訳をみると、

「乗物・乗物用品」では、四輪自動車の製品破損が最も多く発生した。

「家庭用電気製品」では、カラーテレビの発煙、パソコン、パソコン用ディスプレー、充電池、室内灯、掃除機、冷蔵庫等の広範囲の商品にわたり、製品破損がみられた。

「レジャー用品」では、ボート、玩具等の破損も見られた。

(5) 事故原因

表3【gif:22KB】参照)

事故原因をみると、「専ら誤使用や不注意な使い方によると考えられるもの」(410件)による事故が最も多く、次いで「原因不明のもの」(214件)、「専ら設計上、製造上又は表示等に問題があったと考えられるもの」(106件)、「業者による工事、修理又は輸送中の取り扱い等に問題があったと考えられるもの」(23件)、「製品自体に問題があり、使い方も事故発生に影響したと考えられるもの」(20件)、「製造後長期間経過したり、長期間の使用により性能が劣化したと考えられるもの」(17件)、「その他製品に起因しないと考えられるもの」(7件)となっている。

なお、「調査中のもの」(167件)は、引き続き調査を行っており、逐次事故原因を究明しているところである。

商品分類別にみた事故原因は、図-4のとおりである。

図-4 商品分類別の事故原因

(6) 事故原因別の被害状況

表4【gif:17KB】参照)

事故原因別の被害状況は、図-5のとおりである。

図-5 事故原因別の被害状況

表4【gif:17KB】及び図-5より、死亡事故とその事故原因別内訳をみると、「専ら誤使用や不注意な使い方によると考えられるもの」(52%)が最も多く、次いで「原因不明のもの」(35%)となっており、「製造後長期間経過したり、長期間の使用により性能が劣化したと考えられるもの」、及び「その他製品に起因しないと考えられるもの」に係る死亡事故が各1件あった。

「専ら誤使用や不注意な使い方によると考えられるもの」に該当する死亡事故が約半数と特に多いことから、消費者に対する何らかの対応が必要である。

「原因不明のもの」については、事故品の多くは焼損が著しいこと等から製造業者、型式等の確認ができず、詳細な調査ができず原因究明に至らなかったものである。しかしながら、警察署及び消防署との協力を図ること等により更に情報収集に努め、事故品の割り出し、原因究明等について必要に応じて評価センター及び原因究明ネットワーク機関の活用を考え、死亡事故の再発防止を図る必要があると考えている。

表4【gif:17KB】及び図-5より、重傷事故とその事故原因をみると、「専ら誤使用や不注意な使い方によると考えられるもの」(44%)が最も多く、次いで「原因不明」(23%)、「専ら設計上、製造上又は表示等に問題があったと考えられるもの」(11%)となっており、「製品自体に問題があり、使い方も事故発生に影響したと考えられるもの」、及び「その他製品に起因しないと考えられるもの」に該当する重傷事故が各1件あった。

このうち、「専ら設計上、製造上又は表示等に問題があったと考えられるもの」と判断された「折り畳み式自転車」については、速やかに注意喚起のための公表を行っている。

件数が特に多い「専ら誤使用や不注意な使い方によると考えられるもの」に起因する重傷事故については、死亡事故の場合と同様に消費者への対応が必要であり、また、「専ら設計上、製造上又は表示等に問題があったと考えられるもの」に起因する重傷事故には、製造業者等に対して、必要に応じて構造・表示等の改善を求めている。

表4【gif:17KB】及び図-5より、軽傷事故とその事故原因をみると、「専ら誤使用や不注意な使い方によると考えられるもの」(41%)が最も多く、次いで「専ら設計上、製造上又は表示等に問題があったと考えられるもの」(16%)、「原因不明」(13%)、「製品自体に問題があり、使い方も事故発生に影響したと考えられるもの」(6%)、「製造後長期間経過したり、長期間の使用による性能が劣化したと考えられるもの」(2%)の順となっている。

このうち、「専ら誤使用や不注意な使い方によると考えられるもの」に該当する軽傷事故は、死亡事故及び重傷事故に比べて、極めて発生件数が多いことから、消費者のうっかりミスに対する注意喚起が特に必要と考えられる。

また、「専ら設計上、製造上又は表示等に問題があったと考えられるもの」に該当する事故は、軽傷事故といえども重大事故になる可能性も考えられるため、必要に応じて製造業者等に対して改善を求めている。

表4【gif:17KB】及び図-5より、拡大被害とその事故原因をみると、「専ら誤使用や不注意な使い方によると考えられるもの」(56%)が最も多く、発火による他の製品への延焼といった事故が多い。次いで「原因不明のもの」(20%)、「専ら設計上、製造上又は表示等に問題があったと考えられるもの」(3%)、及び「業者による工事、修理又は輸送中の取扱い等に問題があったと考えられるもの」(3%)の順となっている。

拡大被害についても、消費者の誤使用・不注意に起因した被害が多く発生していることから、消費者に対しては注意喚起を行い、また、「専ら設計上、製造上又は表示等に問題があったと考えられるもの」及び、「製品自体に問題があり、使い方も事故発生に影響したと考えられるもの」に該当する事故は、製造業者等に対し、一層の改善を求めていくこととしている。

表4【gif:17KB】及び図-5より、製品破損とその原因をみると、「原因不明のもの」(33%)が最も多く、次いで「専ら設計上、製造上又は表示等に問題があったと考えられるもの」(26%)、「専ら誤使用や不注意な使い方によると考えられるもの」(17%)の順となっている。

製品破損についても、人的被害の発生した事故や拡大被害のあった事故と同様に、消費者の誤使用・不注意に起因した被害が多く発生していることから、消費者に対して注意喚起を行っていくこととしている。

(7) 再発防止措置等の実施状況

表5【gif:21KB】参照)

再発防止措置措置等の実施状況は、調査中のもの167件を除く事故件数879件中、249件の事故について措置が実施されており、そのうち、被害者へ個別に措置を行ったもの(221件)を除いた再発防止措置件数は延べ228件で、その内訳は、図-6のとおりである。

事故原因が判明したものの中で、原因が製品に起因するものについては、事故再発防止の観点から、メーカー、関係業界等に対して、製品交換、製造工程の管理強化等、所要の措置を講ずるよう指導を行うこととしているほか、必要な場合には回収命令等、法令に基づく措置を行うこととしている。

図-6 再発防止措置状況

図-6より、再発防止措置状況は、「製品の改良、製造工程の改善、品質管理の強化等を行ったもの」(47.8%)が最も多く、次いで「製品の交換、部品の交換、安全点検等を行ったもの」(23.2%)、「表示の改善、取扱説明書の見直し等を行ったもの」(13.2%)、「政府、団体、事業者等の広報等により消費者に注意を喚起したもの」(10.1%)、「製品の製造、販売又は輸入を中止したもの」(5.7%)となっている。

表5【gif:21KB】より、商品分類別にみた再発防止措置の実施状況は、「家庭用電気製品」が最も多く(総措置件数249件のうち80件/32%)、製品の改良及び製造工程の改善のほか、製品の交換、部品の交換、表示・取扱説明書の改善等の措置も行われている。

「乗物・乗物用品」では、製造工程の改善、品質管理の強化が多く行われているほか、政府、団体、事業者の広報活動も行われている。

「燃焼器具」では、製品の交換、安全点検等が行われるほか、政府、団体、事業者の広報活動等が行われている。

「身のまわり品」では、製品の改良、製造工程の改善が多く行われている。

「台所・食卓用品」では、製品の改良、製造工程の改善が行われているほか、表示の改善等が行われている。

「保健衛生用品」では、製品の改良、製造工程の改善、表示の改善等が行われている。

「レジャー用品」では、製品の改良、製造工程の改善、製品の交換、部品の交換等が行われている。

「乳幼児用品」及び「繊維製品」では、製品の改良及び製造工程の改善等が行われている。

(8) 商品分類別製造業者等にみた被害者への個別的な措置実施状況

表5【gif:21KB】参照)

商品分類別にみた製造業者、販売業者等の被害者への個別的な措置実施状況は、221件について措置がされており、「身のまわり品」(69%:(個別的措置実施件数35/商品分類別事故通知件数51)×100、以下同じ。)、「家具・住宅用品」(62%)、「乳幼児用品」(60%)、「繊維製品」(50%)については、被害者への対応率が高い。次いで、「レジャー用品」(36%)、「乗物・乗物用品」(33%)、「家庭用電気製品」(26%)、「保健衛生用品」(25%)等となっている。一方、「燃焼器具」(4%)については対応率が比較的低い。

対応率の高い商品については、被害者への対応が良いという半面、事故原因として、製品自体に起因するものが多いとの見方もできる。

一方、対応率の低い商品は、主に事故原因が被害者の誤使用・不注意によるものが多く、また、燃焼器具の対応率が低いのは、製品の焼損が著しく製造業者名及び型式が判明できないものが多いと推測される。

被害者への措置の内容は、被害金額の支払い、製品交換、代金返済、謝罪、調査結果の説明等であった。

(9) 事故情報処理テスト

収集した事故情報のうち、平成11年度中に自転車、石油ファンヒーター、簡易ガスこんろ、ガス給湯器、カラーテレビ、焼肉器、電気炊飯ジャー、ヘアドライヤー等40件について、事故原因の究明のためのテストを行った。そのうち、昨年同様自転車に係るテスト(4件)が目立った。

 

(10)社告回収等一覧

平成11年度に当省あて通知があり、新聞紙上に社告及びリコールを掲載し、又は自主回収を行い、製品の回収・交換等を実施しているものは、22製品(延べ24社)となっている。その概要は、表6-1【のとおりである。

また、平成12年度分として6月6日までに社告された案件については、表6-2に示すとおりであった。

これらの社告に該当する製品事故情報は、平成11年度中に41件寄せられた。その内訳は、①平成12年1月7日付け、社告品の電気冷蔵庫で8件、②平成12年3月15日付け、社告品の加湿機能付き空気清浄機で5件、③平成11年6月15日付け、リコール品の四輪自動車で5件、④平成11年9月7日付、社告品の電子式安定器(天井直付け蛍光灯器具)で4件、⑤平成11年11月12日付け、社告品の湯たんぽ(電子レンジ加熱用)で3件及び⑥平成12年2月8日付け、リコール品である自動二輪車で2件等となっている。

一方で、平成11年度以前に社告等の掲載、又は自主回収を行い、製品の回収・交換等を実施したにもかかわらず、これらの社告に該当する製品事故情報が平成11年度中に6件寄せられた。その内訳は、①平成8年12月7日付け、社告品のオイルヒーターで1件、②平成4年8月6日付け社告品(平成7年8月3日付け、再社告)のスプレー缶(塗料)で1件、③平成8年4月11日付け社告品のカラーテレビで1件、④平成10年5月21日付け、社告品の空気清浄機で1件等である。

したがって、社告後に事故の再発を生じた製造事業者等は、事故の未然防止及び再発防止に資する観点から、社告品の回収・交換の実効性を高めるために一層の取り組みが期待される。

また、消費者においても、社告等の情報の入手に努め、所有する家庭用品について再点検を行い、身のまわりから社告品を一掃することが望まれる。

(本件問い合わせ先)

通商産業省産業政策局製品安全課
今村、竹澤
電話
03-3501-1511(内線2966)
通商産業省製品評価技術センター消費生活部製品調査課
菅沼、岡野
電話
03-3481-1921(内線322)

お問い合わせ

独立行政法人製品評価技術基盤機構 製品安全センター  製品安全広報課
TEL:06-6612-2066  FAX:06-6612-1617
住所:〒559-0034 大阪市住之江区南港北1-22-16 地図