バイオテクノロジー

サーモスルフィディバクター属細菌(Thermosulfidibacter takaii ABI70S6T(= NBRC 103674T))

独立行政法人製品評価技術基盤機構(以下NITEという)バイオテクノロジーセンター(旧バイオテクノロジー本部)では、産業上有用微生物であるサーモスルフィディバクター属細菌(Thermosulfidibacter takaii ABI70S6T (= NBRC 103674T))のゲノム解析を実施するにあたり、産業界等と塩基配列決定、遺伝子機能解析等について共同研究を開始することとし、共同研究者の公募を平成19年11月12日から平成19年12月26日まで行いました。

応募された共同研究者については、提案の内容、実績、能力等について検討を行い、独立行政法人海洋研究開発機構と共同研究を実施することになりました。

その概略につきましては以下の通りです。

1.研究テーマ

サーモスルフィディバクター属細菌(Thermosulfidibacter takaii ABI70S6T (= NBRC 103674T))のゲノム解析に係る共同研究

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2.研究目標

Thermosulfidibacter takaii ABI70S6T (= NBRC 103674T)の完全長ゲノム配列及び構造を基に、バイオインフォマティックス的な解析から各遺伝子の同定を行い、エネルギー、炭素代謝系の構築を行う。バイオインフォマティックス的な解析の他、必要に応じ、生理・生化学実験データに基づいたエネルギー、炭素代謝解析を加え、バイオインフォマティックスでは困難な代謝系の再構成を行う。

また、Aquificae門を含むDeeply branching バクテリアの全ゲノムデータとの比較ゲノム解析を行い、16SrRNA遺伝子系統解析でもたらされた系統関係について検証を行うと共に、バクテリアの初期進化におけるエネルギー及び炭素代謝等について考察する。

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3.共同研究先

独立行政法人海洋研究開発機構

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4.研究費用

NITE及び共同研究先が分担する。

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5.研究期間

平成20年4月から

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微生物の概要

Thermosulfidibacter takaii ABI70S6T (= NBRC 103674T)は、2003年に現・独立行政法人海洋研究開発機構の布浦らによって、沖縄トラフの海丘熱水活動域で分離された新規性の高い極限環境微生物である。
電子供与体として水素 、電子受容体として硫黄を用いて独立栄養的に生育する。

16S rRNA遺伝子系統解析から、古細菌との分岐点に近い一群のバクテリア系統(Deeply Branching バクテリア)に属し、その中でも特に古細菌との分岐点に近い距離に位置することが示唆されていることから、本菌のゲノム解析によって、バクテリアの初期進化、あるいは古細菌・バクテリアの共通祖先に関する研究の進展に大きな影響を与えるものと期待される。

さらに、本菌の分離源周辺に関して、その生態学研究が進んでいるところであり、熱水生態系の研究にも大きく貢献するものと考えられる。

また、系統分類上の新規性が高いことから、エネルギー、炭素代謝等で新たな経路が見いだされることが期待される。

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独立行政法人製品評価技術基盤機構 バイオテクノロジーセンター  産業連携推進課

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