化学物質管理

CMC letter No.7(第7号) - [特集・2]企業や自治体などの取り組み

連載第5回

企業や自治体の取り組み紹介も5回目に入りました。今回は、県内各地で対話集会を継続的に行っている静岡県県民部環境局生活環境室様と、それに参加した東海パルプ株式会社様を紹介します。取材の際に、「地域住民の方とお互いに情報交換することによって、新たな視点での改善点を見つけることができる」と、東海パルプのご担当者様からお話を伺いました。地域の信頼を得ることで地域社会と事業者が共存していく一つの好例ということができます。

静岡県

静岡県は平成15年度から環境対話集会を開催しています。この取り組みは、PRTRデータの公開を機会に、当県の排出量が全国でも上位であったこともあり、その適切な利用を図ることを目的として始めました。

環境対話集会は、地域住民に対し、企業が工場見学と併せて、環境に関する取り組みの事例を発表し、県が「県内の化学物質の状況」に関する説明を行うというもので、平成15・16年度は3カ所、17・18年度は6カ所で開催してきました。平成18年度までで、県内42市町のうち16市町で実施し、PRTR届出事業所の多い市町での開催は、ほぼ一巡したところと言えます。

実施にあたっては、事業者の選択、住民への周知や受付などは、各市町の協力をいただいています。また、準備にあたっては、実施する企業から、他企業の実績や実施事例を知りたい、などのニーズがあり、その情報提供に苦労したところもあります。

参加した住民の方からは「企業の担当者と直接に対話ができてよかった」、企業からは「やってみると好評だった」などの評価が得られていますが、住民の方の積極的な参加が少ないなどの課題も見えてきています。

また、一回実施した企業への継続を目的としたフォローアップや、化学物質アドバイザーなどを交えて、さらに化学物質管理に係る話題に取り組むなどのレベルアップも今後の課題であり、環境対話集会もその内容を見直しながら、継続していきたいと考えています。

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東海パルプ

環境対話集会での工場見学(東海パルプ) 当社は創業開始以来100年間の長きに渡って、当地で大井川の水と豊かな森林資源をもとに操業を続けてきました。このことは、自治体など地域のさまざまな機関や団体、住民の皆様と顔の見える信頼関係を築くことに不断の努力を払ってきた歴史とも言うことができます。また、1994年に定めた環境憲章では、基本方針に「地域社会との共生に努める」と明示し、その姿勢を明らかにしています。

今回、静岡県が主催する「環境対話集会」の開催に関して打診があったときも、平素実施している活動の延長線上にあるため、特に支障はなく、社員ですべて対応することができました。環境対話集会では、排水処理設備やバイオマスボイラなどの環境への取り組みの実態を見学していただき、さらに環境報告書を使って詳しい説明を行うことによって、当社の事業活動についてご理解いただけたものと思います。

当社は、年間行事として、5月に地域交流会「ふれあいまつり」と、広大な社有林を大井川源流に保有していることから「南アルプス自然体験教室」を開催しています。10月には環境学習として地元小学生の工場見学受け入れを経年的に行っています。

また、不定期ではありますが、工場が東海道線島田駅のすぐ西側にあり、周辺は民家が立ち並んでいるため、工場設備の更新などでは、近隣住民への説明会を必ず行うなど、地域社会とのコミュニケーションを通じた信頼関係の構築に努めており、今後も継続的な対話を続けていこうと考えています。

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