適合性認定

JCSS25周年に寄せて

国立研究開発法人産業技術総合研究所 計量標準総合センター長様より御祝いの言葉

臼田様 JCSS25周年の節目、お慶び申し上げます。
 25年前の計量法の改正におきましては、いくつかの大きな変更が盛り込まれました。まず、法定計量単位は国際単位系(SI)によるものとし、非SI単位の使用については一定の猶予期間をおいて法定計量単位から削除する方向となりました。次に、産業に必要な信頼性の高い各種の計量標準供給に対する需要に対して、国立標準研究機関のみによる標準供給では対応しきれていなかった当時の状況を鑑み、大もとの国家計量標準を国ないし公的機関が設定し、その標準の一般への供給については民間事業者の力を活用するという制度の構築が図られました。

 こうした国家計量標準への途切れない比較の連鎖、いわゆるトレーサビリティを証明するために構築された制度が、現在のJCSSの原点であると理解しています。その後のJCSSは、1999年に始まった計量標準に係るCIPM相互承認取決め(CIPM MRA)や、国際試験所認定協力機構の相互承認取決め(ILAC MRA)への対応、校正事業者の階層化、校正事業者による組立量実現の制度化などと、社会ニーズに対応すべく大きく発展を続けてきたことは皆様ご承知の通りです。

 発足当初は、国際動向への対応を目的とした、法の下でトップダウン的に構築された制度という側面もございましたが、製品評価技術基盤機構認定センターが担ってきた25年の運営の中で、現在260社を超える登録事業者の力により標準供給のトレーサビリティは広がってきています。また、JCSSに対する国際的な認知も高まっており、25年前の法改正が目指していた標準供給の姿が近年実現されていると感じています。

 私ども産業技術総合研究所計量標準総合センター(産総研NMIJ)では、JCSSのトレーサビリティソースである国家計量標準の開発、およびトレーサビリティの大もととなる特定標準器等による校正を担って参りました。また、JCSSに係る技術的適用指針の策定や、審査における技術アドバイザーの派遣、人事交流などを通じ、技術面からの支援に携わって参りました。

 さて、既に新聞報道等でご存知の方も多いかと思いますが、2018年11月に開催される国際度量衡総会において、質量の単位キログラムを含む、4つのSI基本単位の定義改定が審議される見込みです。不変であるべき標準を支える技術は、この25年間を見ても大きく変わってきています。産総研NMIJでは、引き続き国家計量標準の設定に係る研究開発、特定標準器の整備及び標準の供給、JCSS制度への技術的支援を行うと共に、計測技術のイノベーションを支え、あらゆるJCSSのステークホルダーと関わってゆく所存です。

 All Japanの制度として築き上げてきたJCSSが25年の節目を迎えた事、おめでとうございます。今後の一層のご発展を祈念いたします。

国立研究開発法人産業技術総合研究所 
計量標準総合センター長/国際度量衡委員会(CIPM)委員
臼田 孝

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独立行政法人製品評価技術基盤機構 認定センター所長よりご挨拶

山本所長 NITE認定センターが運営するJCSS(計量法校正事業者登録制度)は、本年11月1日、おかげさまで創設25周年を迎えることとなりました。このような四半世紀という節目を迎えることができましたのも、JCSSの信頼の証である『JCSS校正証明書』を発行することができるJCSS登録事業者の皆様、日頃JCSS運営に深く関わっている計測業界・技術専門家の皆様、並びに国家計量標準の供給側としてJCSSを支えている産業技術総合研究所の皆様を初めとした、JCSSに関わる全ての皆様のおかげです。ここに深く厚く御礼申し上げます。
 
 さて、今から5年前のJCSS創設20周年の際には記念シンポジウムを開催し、多くの方々にJCSSの歩みを振り返っていただく機会となりました。そして、それから現在までの5年間は、➀登録対象の拡大、②運営に対する変革、並びに③利活用促進のための方策の実施など、JCSS登録事業者とJCSSユーザー双方にとって利用しやすい運営を目指し、様々な改善を重ねて参りました。

 具体的には、➀最も新しいJCSSの登録区分として「速さ」が追加され25区分となり、この5年間で約30種類のJCSS登録の対象となる計量器が追加されたこと、②CD等による電子媒体を利用したJCSS申請手続きが可能になったことや、登録基準である国際規格(ISO/IEC 17025等)が改訂されたことに伴い制度運営側として対応を進めていること、③50を超えるJCSSの利活用事例をまとめた『活用事例集』を作成し、ホームページ上で公表していること、などが挙げられます。

 また、当センターは、JCSSを初めとする認定制度の活用促進に取り組んでおり、新たなニーズへの対応や、既に認定制度を運用している分野での利用の拡大を図っています。この利活用の指標としてJCSS登録事業者が発行する『JCSS校正証明書』の発行件数がありますが、平成29(2017)年度の発行実績では53万件を超え、創設当初と比べると10倍を超える数に達しています。
これは、JCSSユーザーのニーズに対応して登録対象を拡大したり、新たな計測技術をJCSSの対象に取り入れたりと、時代に合わせてJCSSを柔軟に運用してきたことが実を結んだものと考えております。今後につきましても、例えばAIやIoTの発展に伴い計測技術が新たな展開を迎えることが予想されますが、そうした新たなニーズにも着実に対応して参ります。
 
 同時に、既に認定を利用している分野においても、JCSSがより多く利用されるよう、ユーザーのニーズを把握し、対応するなどの取り組みを行って参ります。これにより、JCSS校正により信頼性が確保された計量器が、製造現場や試験所などで更に広く利用されることを期待しております。
 このような取り組みと共に、引き続きJCSSの適切な運営に努めて参りますので、関係の皆様におかれましては、今後ともなお一層のご指導、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
 

独立行政法人製品評価技術基盤機構
認定センター所長
山本 健一

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独立行政法人製品評価技術基盤機構 認定センター  計量認定課  JCSS担当
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