バイオテクノロジー

ベトナムとの協力体制の構築

本ページの最終更新日:2022年8月19日

NITEは、2004年3月にベトナム科学技術省(MOST)との間で覚書(MOU)を、ベトナム国家大学ハノイ校微生物バイオテクノロジー研究所(IMBT-VNUH)との間でMOUに基づく微生物の分類及び生態学とその利用に関する共同研究契約(PA)を締結しました。2016年にはMOUの締結先をベトナムIMBT-VNUHに変更すると共に、PAの内容を微生物の移転・利用と利益配分に関するものに変更して契約を延長し、2021年9月に更に延長しています。2004年にPAを締結して以来、NITEとIMBT-VNUH との間では18年間共同研究を実施しています。

IMBT-VNUHは、ベトナム有数のカルチャーコレクションであるVietnam Type Culture Collection (VTCC)を有しており、ベトナムの微生物学を牽引する機関です。

ベトナムとのMOU

2016年 IMBT-VNUHとのMOU調印
前列左より、Dr. Duong Van Hop IMBT所長(当時)、辰巳 敬 NITE理事長(当時)

ベトナムとのMOU及びPAによる協力内容

  1. 1.専門家、知識、情報、実用技術、経験の交換
  2. 2.日本及びベトナムにおけるアクセスと利益配分関連法令・規則を遵守した微生物資源の交換
  3. 3.微生物資源センター間の連携
  4. 4.その他の活動 (講義、シンポジウム開催若しくは研究)

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ベトナムとのこれまでのプロジェクトの内容と成果

1期~4期 (2005年3月~2016年3月)


1. 微生物資源(カビ、放線菌、細菌など)の探索

2005年から産官合同微生物探索を実施し、日本企業等が直接ベトナムの微生物資源へアクセスする支援を行いました(12年間で、延べ13団体が参加、約6千株を移転・利用)。熱帯から温帯に広がる多様な自然環境から収集した約1.3万株の微生物資源は、適宜整備し、スクリーニング用材料として提供しました。
 探索を通じて得られた知見は、国内外の論文や報告書にまとめ、ベトナム側日本側で共有し、今後のベトナム人日本人研究者への情報、資源提供の際に活用されます。

合同探索参加企業とのプレスリリース一覧:


この事業の成果の論文一覧:
  • Yayoi Sakiyama et al. (2009) Kineosporia babensis sp. nov., isolated from plant litter in Vietnam Int J Syst Evol Microbiol, 59, 550-554
  • Yayoi Sakiyama et al. (2010) Pseudonocardia babensis sp. nov., isolated from plant litter Int J Syst Evol Microbiol, 60, 2336-2340
  • Duong Van Hop et al. (2011) Taxonomic and ecological studies of actinomycetes from Vietnam: isolation and genus-level diversity The Journal of Antibiotics, 64, 599-606
  • Le Thi Hoang Yen et al. (2012) Condylospora vietnamensis, a new Ingoldian hyphomycete isolated from fallen leaves in Vietnam Mycoscience, 53, 326-329
  • Ziqinq Gao et al. (2012) The Productionof b-glucosidases by Fusarium proliferatum NBRC 109045 isolated from Vietnamese forest AMB Express, 2, 49
  • Yayoi Sakiyama et al. (2014) Streptomyces catbensis sp. nov., isolated in Vietnam Int J Syst Evol Microbiol, 64, 2146-2151

 

2.研究者の交流/3.微生物資源の収集、分離、同定に関する技術指導

 微生物資源に関する技術指導のため、ベトナム人研究者を平均1ヶ月日本へ招へいし、NBRCにて微生物の基礎的取扱い、分類、応用利用に関する研究を行いました。この12年間で延べ21人のベトナム人研究者を日本に招へいしました。 さらに、微生物の同定に関して、実験やシンポジウムなどをベトナムにおいて14回開催しました。

5期~6期 (2016年4月~現在)

5期までに収集・整備した微生物資源を、引き続きスクリーニング用材料として提供しております。詳細はこちら(微生物資源の特徴、利用方法 )をご覧ください。

これらの活動により、IMBT-VNUH及びベトナムでアクセスと利益配分(ABS)を担当するベトナム環境省との関係が強化されました。 日本がベトナムでの微生物資源探索及び利用を実践したことにより、ベトナムの豊かな自然環境より多様な微生物群が多様に存在していることがわかり、ベトナムの微生物が豊富かつ有益な生物資源であるという理解が進みました。これら微生物資源は、スクリーニング株(RD株)として適切な条件で企業等の研究者に提供され、産業や学術的見地からの有用性解析に利用されています。

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