バイオテクノロジー

土壌汚染とバイオレメディエーション

土壌汚染対策のための技術開発

VOCの微生物等を利用した環境汚染物質浄化技術開発

「次世代型バイオレメディエーション普及のためのセーフバイオシステムの研究開発」

(平成22年度~H26年度実施)

事業目的

土壌汚染対策として、「掘削除去」、「揚水曝気」、「化学的分解」、「微生物処理」、「盛土」など様々な方法がありますが、我が国においては 確実性が高くかつ短期間での浄化が可能な「掘削除去」が主に採用されています[1,2]。 「掘削除去」は、搬出先における汚染土壌の不適切な管理、掘削や搬出に伴う騒音、振動、CO2排出量の増加などの環境負荷、他の浄化方法に比べ高い費用負担などが問題となっております。

一方、微生物を利用し汚染土壌の浄化を行うバイオレメディエーションは、低コストかつ環境負荷が低い処理技術として今後の利用拡大が期待されています。 しかし、微生物を利用した際の生態系影響等の安全性の確保が必要であることから、経済産業省と環境省では、適正な安全性評価及び管理手法のための基本的な考え方である「微生物によるバイオレメディエーション利用指針 」 (以下、バイレメ指針)を策定しています[3]

バイレメ指針に基づく安全性評価については、事業者にとって未だ経験が浅く、また、標準的な判断基準がないなど課題があります。今後バイオレメディエーションの普及を拡大していくためには、 より具体的かつ定量的な評価手法等を規定していく必要があります。

そこで、NITEでは、バイオレメディエーションに利用する微生物の安全性を評価する手法や環境中に存在する微生物群を包括的にモニタリングするための手法を、大学・研究機関、企業、関係省庁連携のもと開発しております[4,5]

バイオレメディエーションとは?


        1バイオレメディエーションの手法のうち、外部で培養した強力な分解菌を汚染現場に導入する浄化方法

出典

  1. 1. 土壌環境センター「土壌汚染状況調査・対策」に関する実態調査結果 (平成25年度) http://www.gepc.or.jp/04result/press25.pdf【PDF: 外部サイト】
  2. 2. 環境省「土壌汚染対策法の施行状況及び土壌汚染調査・対策事例等に関する調査結果について」http://www.env.go.jp/water/dojo/chosa.html
  3. 3. 環境省バイレメ指針: http://www.env.go.jp/air/tech/bio/02.html
  4. 4. NEDO「土壌汚染対策のための技術開発」: http://www.nedo.go.jp/activities/EV_00352.html
  5. 5. 経産省「土壌汚染対策のための技術開発」:
    http://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/bio/Kennkyuukaihatsu/green/dozyouosen/index.html

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事業内容

1. バイレメ利用菌株の合理的な安全性評価手法の開発
利用微生物と既知の病原菌とを合理的に判別するため、以下の情報を整備する。
  1. 1)微生物有害情報リスト
     様々な機関により公開されている既知の病原菌(動植物を含む)の有害性や法規制について、情報を集約し公開する。
  2. 2)指標遺伝子を利用した病原菌特定方法の開発
     病原菌と分解菌の同異を株レベルで正確に判別するため、16S rRNA遺伝子に加え、より解像度が高いハウスキーピング遺伝子の多型情報に基づいた同定方法(MLSA法:Multi Locus Sequence Analysis)を開発する。
岐阜大学チーム
(国立大学法人岐阜大学、NITE)
2. バイオレメディエーションのための標準微生物の確立
 多様な汚染環境に適し、分解能の高い化学物質分解菌を収集し、指針の適合確認を受ける。また、これらの標準菌株については、事業者が利用できる環境を整備する。
長岡技術科学大学チーム
(国立大学法人長岡技術科学大学、独立行政法人産業技術総合研究所、NITE)
3. 多種微生物群の包括的解析技術の開発
 次世代型シーケンサーを使用したメタゲノム解析により、利用菌株を環境へ導入した際の生態系影響評価についての合理的な評価手法を開発する。
東京大学チーム
(国立大学法人東京大学、独立行政法人産業技術総合研究所、大成建設株式会社、NITE)
4. 生態系への総合的影響評価手法の開発
 2.で選抜した標準菌株を実際の汚染現場に導入して、バイレメの実証試験を実施し、3.で開発した生態系影響評価の手法の適応性を確認する。
国立大学法人長岡技術科学大学、国立大学法人東京大学、独立行政法人産業技術総合研究所、大成建設株式会社、NITE

 微生物を利用したバイオレメディエーションの普及に向け、一連のバイオオーグメンテーションに係わる基盤技術・情報の整備を実施します。
 具体的には、以下の4項目について研究開発を実施します。

研究目的

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事業成果

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お問い合わせ

独立行政法人製品評価技術基盤機構 バイオテクノロジーセンター  産業連携推進課
TEL:0438-20-5764  FAX:0438-20-5582
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