サイト内辞書(微生物による金属腐食の基礎知識)
あ・い・う・え・お
あ
アノード
電気化学的に酸化が起こる電極側の呼び方。鉄の腐食においては、鉄が電子を失って鉄イオンになります。
い
陰極脱分極説
カソード復極説(cathodic depolarization theory)とも呼ばれ、1934年にVon Wolzogen KuhrとVon der Vlutによって提案されました。嫌気環境下において、陰極表面(カソード)で鉄由来電子と水由来水素イオンが結合して化学的に生じた水素を嫌気的水素資化性菌(例えば硫酸塩還元菌)が消費することで、陽極表面(アノード)で鉄のイオン化が促進し、結果として金属腐食が起こるとされています。
え
X線回析
XRDとも呼ばれます。試料にX線を照射すると、結晶の構造に由来する回析された回析線の回析角とその強度が得られます。この回析パターンは物質に固有であるため、試料中の物質の種類や量を特定することが出来ます。
エネルギー分散型X線装置付き走査型電子顕微鏡
走査型電子顕微鏡(SEM: Scanning Electron Microscope)に元素分析を行う装置が備えられているもの。エネルギー分散型X線装置はEDXとも呼ばれる。電子顕微鏡で観察している物質表面の元素分析を行うことができ、カラーマッピングとして結果を得ることが出来ます。
お
Open Reading Frame:タンパク質コード領域
タンパク質をコードしている遺伝子上のDNA領域のこと。ORFと略されます。
か・き・く・け・こ
か
カーボニックアンヒドラーゼ(carbonic anhydrase)
カソード
電気化学的に還元が起こる電極側の呼び方。鉄の腐食においては、鉄が電子を奪われます。
鹹(かん)水
塩化ナトリウムなどの塩分を含む水のこと。海水もこれに含まれますが、主に陸水として存在するものに対して呼ぶことが多いです。関東平野の地下には太古に物理的に閉じこめられた鹹水が大量に存在し、多くの天然ガスやヨウ素を含んでいます。
け
原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope)
走査型プローブ顕微鏡の一種で、絶縁性の探針で試料表面をなぞり、探針と試料に働く原子間力を検出することにより画像を得、試料表面を観察します。
こ
古細菌(Archaea:アーキア)
生物の分類群のひとつ。原核生物は古細菌と細菌(真性細菌、バクテリア)とに大きく分類されます。メタン生成古細菌、高度好塩古細菌、超好熱菌、好酸性菌などの極限環境微生物を多数含みます。
さ・し・す・せ・そ
さ
酸素濃淡電池(oxygen concentration cell)
微生物活動に伴った酸素消費等により酸素の濃度差が発生し、これにより酸素濃度の高いところと低いところで電位差が生じ、電池が形成される現象。酸素が枯渇している(濃度の低い)極がアノードとなり、鉄が溶け出します。
し
集積培養
微生物の混合系から目的の活性や性状を持った微生物のみを増殖させ、植継ぎを繰り返すことで特定の微生物を優占的に培養する方法。
16S rRNA遺伝子
原核生物において、タンパク質合成に関わるリボソームの構成成分である16S rRNAをコードする遺伝子。真核生物においては18S rRNA遺伝子が相当します。全ての生物が持っているため、系統分類や生態学的な解析のツールとして使用されています。
す
水溶性ガス田
天然ガスを含んだ地下水が存在している地域のことを水溶性ガス田と呼びます。地中の高圧力の環境から解放された地下水からは、メタンを主成分とする天然ガスを採取することが出来ます。
た・ち・つ・て・と
た
炭酸脱水酵素
炭酸デヒドラターゼ(carbonate dehydratase)とも呼ばれます。H+ + HCO3- ⇔ CO2 + H2Oの反応を可逆的に触媒する酵素。
炭素鋼
「鋼(はがね)」とは、鉄の持つ性能(強度、耐熱性、磁性、靭性(じんせい))を高めるために、主成分の鉄の中に他の物質を混ぜ合わせた合金のことです。炭素鋼は鉄の中に炭素を混ぜ合わせた合金で、一般的に広く使用されている合金の一つです。
つ
twin arginine translocation signal
略してTatとも呼ばれています。細胞表層の内膜・外膜にタンパクを輸送する為の膜透過装置。Tat signalとは翻訳されたタンパクにTatに関わるペプチド鎖を持っていることを意味します。
て
DGGE: Denatureing gradient gel electrotrophoresis
変性剤濃度勾配ゲル電気泳動法。DNA変性剤の濃度勾配をつけたポリアクリルアミドゲル中でDNA電気泳動を行うことにより、同長だが塩基配列が異なる複数種の2本鎖DNA(例えばPCR産物)を分離する方法です。塩基配列の種数だけのDNAバンドを可視化することが出来ます。
定量的PCR
PCR(Polymerase chain reaction)によって増幅した産物をリアルタイムで定量し、その増幅曲線から試料中に含まれていた目的遺伝子の量(コピー数)を測定する方法。
電子供与体
生物における酸化還元反応について、電子伝達系のように、他の分子またはイオンに電子(水素)を与えるもののこと。受け取る分子またはイオンは電子受容体と呼びます。
と
独立行政法人 製品評価技術基盤機構(通称NITE)バイオテクノロジーセンター
独立行政法人 製品評価技術基盤機構(通称NITE)は、2003年4月にバイオテクノロジーセンター(旧バイオテクノロジー本部。バイオ安全技術課・生物資源課・国際連携課よりなり、2004年4月に特許微生物寄託センターを発足)を設置しました。 バイオテクノロジーの産業利用を促進するためには、遺伝子やタンパク質機能に関するデータを収集するとともに、遺伝子機能の解析技術を進展させ、得られたデータを産業に生かす応用研究や、基礎と応用をつなぐ橋渡し的研究の促進を図るとともに、有用な生物遺伝資源を探索して収集し、各種の付加的な情報を整備していくことが不可欠です。このため、NITEは部門間の連携を図って多種多様な微生物のもつさまざまな機能の活用を積極的に進めていこうとしています。
truncated 遺伝子
もともとひとつであったが、他遺伝子の挿入などにより分断された遺伝子。相同欠損による変異が起こりやすい。
は・ひ・ふ・へ・ほ
ひ
比色定量法
目的成分の存在量に由来する化学的な色調変化を比較測定することで、試料中に存在する特定成分を定量する方法。
ヒドロゲナーゼ(Hydrogenase)
H2 ⇔ 2H+の反応を可逆的に触媒する酵素。脱水素酵素とも呼ばれ、様々な種類のヒドロゲナーゼが存在します。
へ
変性剤濃度勾配ゲル電気泳動法
→ DGGE
ま・み・む・め・も
め
メタン生成古細菌
嫌気的環境において、水素と二酸化炭素、または酢酸等からメタンを生産することでエネルギーを獲得する微生物群です。分類学的にすべて古細菌に含まれ、嫌気的環境に普遍的に存在します。メタン菌、メタン生成菌と略されることもあります。
や・ゆ・よ
よ
ヨウ素
原子番号 53 の元素で、元素記号は I 、分子式は I2 。医薬用外劇物に指定されている。 デンプンを加えることによりヨウ素反応を示し藍色に変化する。日常では、エタノールに溶かしたもの(ヨードチンキ)が消毒用として広く用いられている。体内の甲状腺ホルモンの成分であるが、必須元素であるため食物などにより直接的に摂取する必要がある。 日本は世界で第二位のヨウ素産出地であり、特に千葉県南房総での産出量が多い。
ヨウ素酸化細菌
菌体外にヨウ素酸化酵素を分泌して、ヨウ化物イオン(I-)を分子状ヨウ素(I2)に酸化する細菌群の総称。従属栄養的に増殖し、主に鹹水や海水中に生息しています。これまでAlpha-proteobacteria綱に属するものが分離されています。
ら・り・る・れ・ろ
り
硫酸塩還元菌(sulfate-reducing bacteria, SRB)
嫌気的環境下で有機物または水素を電子供与体として硫酸塩を還元し、エネルギーを獲得する微生物群です。分類学的にDelta-proteobacteria 綱、Firmicutes 門及び古細菌に属しているものが知られています。硫酸塩が存在する嫌気的環境に生息し、硫化水素を生産します。
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