バイオテクノロジー

生物多様性条約の原則に則った海外微生物探索の実施~NITE・アステラス製薬 産官共同プロジェクト~

公表日

平成22年11月16日

本件の概要

報道発表資料

発表日:
平成22年11月16日(火)
タイトル:
生物多様性条約の原則に則った海外微生物探索の実施
~NITE・アステラス製薬 産官共同プロジェクト~
発表者名:
独立行政法人製品評価技術基盤機構バイオテクノロジーセンター
資料の概要:
  1. 1.独立行政法人製品評価技術基盤機構(本部:東京、理事長:安井 至、略称:NITE(ナイト))及びアステラス製薬株式会社(本社:東京、社長:野木森 雅郁、以下「アステラス製薬」)は、ベトナムの新規微生物の探索と、それらの創薬を中心とした産業利用を目的とした共同事業を平成22年11月から開始します。
  2. 2.この共同プロジェクトは、NITEがベトナム政府と構築した生物多様性条約に則った協力関係の枠組みにアステラス製薬が参加することで実施されるものです。
  3. 3.ベトナムの微生物を現地において共同で探索、収集、分離し、それらの産業利用の可能性を探ります。アステラス製薬は自らのニーズに合った微生物を集められる好機ととらえています。
  4. 4.NITEは、今後とも微生物の安全な利用を支援することで、バイオ産業の発展に貢献して参ります。

【共同プロジェクトの目的】
 NITEがこれまでに実施したインドネシア等の東南アジアでの微生物探索によって数多くの新規な微生物が発見されたことを踏まえ、アステラス製薬は生物多様性の豊富なベトナムにおいて目的にあった方法で自ら微生物を収集、分離します。そして、それら微生物から創薬のためのリード化合物発見等を目指します。

【共同プロジェクト実施の背景】
 今回の共同プロジェクトは、日本の政府機関のバックアップにより、生物多様性条約の発効後日本企業が単独で行うには負担が大きかったアジアの生物遺伝資源へのアクセスを産官が共同で実施するものです。
 NITEでは、従来海外で収集した微生物を提供する事業を行ってきましたが、同時に東南アジア諸国などの生物多様性の豊富な国へアクセスして、これまでに発見されたことのない新しい微生物の探索を行いたいという企業ニーズをかなえるための仕組みも構築してきました。これは2010年1月に発表され、COP10で提案された「生物多様性条約ポスト2010年目標に関する日本提案」にも記載されている遺伝資源へのアクセスと利益配分(Access to genetic resources and Benefit Sharing、略称「ABS」)の取組を促進するための事業の一環です。
 ベトナム政府との資源へのアクセスに関する枠組みの構築をNITEが担うことで、アステラス製薬は枠組みへの参加を希望してからわずか半年程度でアクセスが実現することとなりました。
 アステラス製薬は2005年にもNITEのベトナムにおける微生物の共同探索に参加しました。その際に得られた微生物を解析したところ、新規な属・種を含む多様な微生物が得られていることが確認できました。その生産物には特有な化合物が含まれていることを強く示唆するデータも得ており、スクリーニング源としての有用性は高いと判断しています。

【共同事業の概要】
 NITE及びアステラス製薬は、11月から12月にかけてベトナムへ渡航し、ベトナム北部において微生物を分離するための試料の収集を行います。
 NITEの共同研究先であるベトナム国家大学ハノイ校の施設で、採集した試料からアステラス製薬の目的にあった微生物を分離します。
 分離された微生物は、ベトナム政府の合意の下、日本へ移転されます。これらの微生物はアステラス製薬へ提供され、創薬のための有用物質の探索に使用されます。研究成果から特許登録や商品化に至った場合には、ベトナム政府へ収益の一部が還元されます。

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発表資料

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