バイオテクノロジー

Clostridium butyricumのボツリヌスE型毒素遺伝子の検出

ボツリヌス中毒を起こすボツリヌス神経毒素は、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)が産生することが知られており、抗原性からA~G型に分類されます。一方で、ブチリカム菌(Clostridium butyricum)の中にもボツリヌスE型毒素を産生する菌株の存在が報告されています(1)。
 そこでNBRCが保有するClostridium butyricum 3株について、ボツリヌスE型毒素遺伝子のPCR法を用いた検出試験を行いました(2)。

供試菌株

NBRCで保有するClostridium butyricum 3株(NBRC 3315, NBRC 3858, NBRC 13949

方法

  1. 1.各菌株指定の液体培地(807培地)で4日間培養
  2. 2.DNAを抽出
  3. 3.ボツリヌスE型毒素遺伝子検出用のプライマーセットを用いて、供試菌株のDNA、対応するポジティブコントロール・テンプレート、およびネガティブコントロールとして滅菌水を鋳型としてPCR反応(PCR条件は製品添付の説明書に従っています)
  4. 4.3%アガロースゲルで電気泳動後、エチジウムブロマイドで染色

PCR法に用いたプライマーセットおよびポジティブコントロール・テンプレート

特殊細菌検出用プライマーセット(タカラバイオ株式会社)
・ボツリヌスE型毒素遺伝子検出用Primer set BES-1&2(製品コード:S025)

特殊細菌検出用ポジティブコントロール・テンプレート(タカラバイオ株式会社)
・BS3(製品コード:S044)

結果

ボツリヌスE型毒素遺伝子検出用Primer set BES-1&2で得られる増幅産物は266bpで、試験したNBRC株3株では増幅産物は得られず、E型毒素遺伝子は保持していないことを確認しました。


PCRの結果



M マーカー
1 NBRC 3315
2 NBRC 3858
3 NBRC 13949
P ポジティブコントロール
N ネガティブコントロール

ポジティブコントロールのPCR増幅産物は、万が一、コントロールにサンプルが混入しても区別することができるように、各毒素遺伝子の増幅産物とはサイズが異なります(691bp)。
 試験は2回行い、同一の結果を得ています。
 さらに、全ゲノム塩基配列解析によってもボツリヌスE型毒素遺伝子を保持していないことを確認しました。


【参考文献】
(1) 小熊ら (1993) 蛋白質核酸酵素,Vol. 37, No. 16, 3060-3072.
(2) Huston et al. (1993) FEMS Microbiology Letters, 108, 103-110.

2017年2月

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