バイオテクノロジー

ヒト糞便由来微生物

 ヒトの腸管、口腔、皮膚等に存在する微生物叢(ヒトマイクロバイオーム)と健康との関連性が次々と明らかになるなか、ヒトマイクロバイオームをシーズとして活用した医薬品や食品等の開発に期待が高まっています。一方で、ヒトマイクロバイオームを構成する微生物は未だ分離されていないものも多く、研究開発に利用できる微生物株が少ないことが産業化に向けた課題となっています。
 そこで、NITEでは権利が明確化された製品開発にも使用できる微生物株の整備を行うため、ヒトの様々な部位より微生物を収集し提供しています。

ヒト糞便由来微生物の収集

 NITEでは、糞便等のヒト由来試料から網羅的に微生物を収集するため、複数の条件を用いた集積培養とMALDI-TOF MSによる迅速同定を組み合わせた方法(Culturomics)により微生物の分離を行っています文献1, 2)
 ヒト糞便からの微生物の収集では、抗生物質や胆汁酸の添加、加熱処理等による集積培養を行った後に、希釈平板培養によりコロニーを分離しています。また、分離株の同定にMALDI-TOF MSを導入することで重複株判別の時間短縮が可能となり、微生物収集の効率化に成功しています。

 

ヒト試料からの微生物の分離手順

ヒト糞便由来微生物の提供

 外部の研究者や研究機関から収集した微生物に加え、NITE 自らで約2200株を分離し、その一部(28属101株)をスクリーニング株(RD 株、1株 1,000円/年)として提供しております。これらの微生物株には、腸内での優占種に加え、肥満との関連性や免疫機能の抑制作用等が示唆されている種が含まれます。ヘルスケア分野における研究開発の新たなソースとしてご利用下さい。
 NITEから提供しているヒト糞便由来の微生物株にご興味のある方は、お問い合わせください。

ご利用が可能な日本人糞便由来の微生物株(一例)

RD番号 近縁種 特徴/期待される特性
RD014252 Acidaminococcus intestini 酪酸生成菌文献3)
RD014186 Bacteroides thetaiotaomicron 管出血性大腸菌の病原性誘導文献4)
RD014187 Bacteroides uniformis CD8陽性T細胞(免疫細胞)の誘導文献5)
RD014214 Christensenella minuta 肥満抑制文献6)
RD014246 "Erysipelatoclostridium ramosum" 肥満抑制文献7)
RD014238 Flavonifractor plautii 制御性T細胞(Treg細胞)の誘導文献8)
RD014220 Hungatella hathewayi 制御性T細胞(Treg細胞)の誘導文献8)
RD014241 Intestinimonas butyriciproducens 酪酸生成菌文献9)
RD014165 Olsenella provencensis 日本人から初めて分離された種
RD014196 Parabacteroides distasonis CD8陽性T細胞(免疫細胞)の誘導文献5)
RD014243 Peptoniphilus grossensis 日本人から初めて分離された種
RD014181 "Raoultibacter timonensis" 日本人から初めて分離された種
RD014182 Rubneribacter badeniensis 日本人から初めて分離された種
RD014228 Ruthenibacterium lactatiformans 日本人から初めて分離された種

文献3:Acidaminococcus intestini sp. nov., isolated from human clinical samples. Int J Syst Evol Microbiol. 2007 Oct;57(Pt 10):2314-9.
文献4:The gut commensal Bacteroides thetaiotaomicron exacerbates enteric infection through modification of the metabolic landscape. Cell Host Microbe. 2014 Dec 10;16(6):759-69.
文献5:A defined commensal consortium elicits CD8 T cells and anti-cancer immunity. Nature. 2019 Jan;565(7741):600-605.
文献6:Human genetics shape the gut microbiome. Cell. 2014 Nov 6;159(4):789-99.
文献7:Clostridium ramosum promotes high-fat diet-induced obesity in gnotobiotic mouse models. MBio. 2014 Sep 30;5(5):e01530-14.
文献8:Treg induction by a rationally selected mixture of Clostridia strains from the human microbiota. Nature. 2013 Aug 8;500(7461):232-6.
文献9:Intestinimonas butyriciproducens gen. nov., sp. nov., a butyrate-producing bacterium from the mouse intestine. Int J Syst Evol Microbiol. 2013 Dec;63(Pt 12):4606-12.

 

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